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【PREXリレーコラム №17】ウクライナ避難民支援について- PREX Island

日本の公的機関
PREX評議員 兵庫県 産業労働部次長 兼 国際局長 小林 拓哉 氏

2022年10月のある週末、9月に来日したウクライナ人女性と丹波篠山市を訪れる機会がありました。同市で開かれたウクライナ情勢を紹介するイベントに招かれたもので、彼女は、スピーカーの一人として、侵略前後の日常から、欧州近隣国への避難、日本への移動、現在の生活などの経験談を淡々と語りました。終了後には、心を打たれた多数の聴衆がウクライナ支援の募金箱に列をなしていました。

イベント前後の僅かな時間、日本文化研究者でもある彼女と周囲を散策しました。焼栗の試食や酒蔵見学、昔の面影を残す旧商家町など、街歩きを心から楽しんでいる様子で、周囲には秋の丹波路を満喫する観光客にしか見えなかったはずです。

国連人権高等弁務官事務所の発表では、11月現在、犠牲となったウクライナの民間人は、把握できただけでも、6千5百人を超えています。最終的にどれぐらいの〝数〟になるのか想像も困難です。戦争がなければ、今も世界のどこかで元気に過ごしていたはずの人々です。城下町を歩く彼女の溌剌とした表情を思い出す時、失われたものの巨大さに愕然とします。

一方、ロシアの侵略がなければ、私自身、ウクライナの人々や歴史・文化に触れることはなかったと思います。国内の避難民約2千人を支援し、交流活動に携わる人々も、多くは同様のはずです。ゼロに近い状態から、異文化交流の輪が全国に広がっており、そこにはウクライナへの強い連帯感という共通項が存在します。社会に与えるインパクトは現時点でも相当なはずです。

歴史を紐解けば、戦争や災厄によって民族や文化が接近遭遇し新たな文明や文化、技術が生まれた例は枚挙にいとまがありません。ウクライナと日本の〝遭遇〟もやがて良き化学反応を起こし、両国固有のものを融合した新たな文化を生み出していく。未来への、そんな願いも去来します。

ただ今は、将来ではなく、ウクライナで苦難に直面している人々への共感を胸に、目の前の避難民支援に集中しようと思う、今日この頃です。

【関連情報】
 ・兵庫県のウクライナ支援プロジェクト
  https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr13/ie22_ukraine.html
 ・ふるさと納税によるウクライナ支援
  https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr13/documents/ukurainatirasi_0401.pdf
 ・物資・サービス等の提供を通じたウクライナ支援
  https://hyogo-ukraine.jp/

  • 掲載日:2022年12月14日
  • 企業名:兵庫県 産業労働部次長 兼 国際局長
  • 氏名:小林 拓哉 氏
  • 役職・職名:PREX評議員

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