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シンポジウム2024パネルディスカッション⑦- PREX Island

日本の専門家 SDGs
パネルディスカッション:世界とともに歩む。~国際協力=日本と世界をつなぐヒト・コト~⑦

左から 日比野 純一氏:特定非営利活動法人エフエムわいわい理事
半井 真明氏:合同会社CHEZA 共同代表
コーディネーター 大野 泉氏:政策研究大学院大学(GRIPS)教授
遠山 晴香氏:ダイキン工業株式会社 ダイキンフィリピン社 出向 営業企画マネージャー
河添 靖宏氏:海士町郷づくり特命担当グローカルコーディネーター

人材育成についての提言

コーディネーター 大野 泉氏

次に、皆様にお話しいただいたような取り組みをますます広げ、活発にしていくために人材育成についての提言をいただければと思います

河添 靖宏氏

隠岐島前高校の教育の魅力化の取り組みは、今、日本の教育改革の中でも取り上げられています。
進学をするだけではなく、地方創生や課題から学んでいく地域課題解決型学習です。
実践して、学びを深め、それを世界と共有し、更に学びを深め、関係人口増につながっていくという連鎖が望ましいと思います。
海士町の幹部も良く話されるのですが、今の世の中は、経済効率性や効率性を大事にする世の中でどちらかと言えば、先進国・都会的な価値が重んじられています。
ですが、海士町は、共創やごちゃ混ぜの中から作り出していくもの、計画的ではないカオスの中から作るということを大切にし、多様性を重んじる形にしていこう、選択肢をたくさん持とう、そういった世の中づくりをしていくことが大事だと言っています。
もう1つは、国際協力を若者がやっていくことです。
世代を超えた共創です。
高校生に任せると、しっかりやります。
それがブータンの人たちには印象に残ったと言われます。
高校生も一緒に共創の形を作っていくのが大事です。

遠山 晴香氏

人材育成には、大きい「枠組み」と「個人」の2つがあると思っています。
「枠組み」は、「選択肢を多く持つ」がいい言葉だと思っています。
弊社ダイキン工業もそうでが、一か国で解決できない課題は数多くあります。
そういうのを、横の連携として、他の国ではどうなのかという事例を気軽に探していけるし、協力を仰ぎたい時に、喜んで助けてくれる仲間というのが他の国の子会社にもいっぱいいます。
「育成」という意味で、その団体や個人が、成長していくにあたりいろいろ情報を集められる、そのような「枠組み」を構築するというのが組織としていいと思いました。

日本の人材の特徴として、ちょっと遠慮がちで、殻にこもった感じというのを私個人としては感じています。
世界で戦えると言うか、交渉事をしていける人材になるためには異なる考えやバックグラウンドを楽しんで理解していける寛容性というのを持っていくこと、その人と繋がっていたいと思わせる魅力的な人材であること、一人一人、個人のレベルというのも上げていく必要があります。

半井 真明氏

日本の若手の人材育成という意味では、早い段階から国際文化と触れ合う機会を提供してあげることが非常に重要だと感じています。
これを提供することで、やはり視界が広がります。
また海外からの人材の育成という視点では、日本側が教えたい技術だけではなくて、現地の需要の拾い上げや現地の産業の掘り起こしと両輪でやっていくというのが、非常に重要だと考えています。
私自身も悩みの中にいますが、そのように考えています。

国内でも非常に面白い取り組みをされいてる企業や活動家の方がいます。
現地で求められるような方々が大勢いらっしゃると思うので、そのプラットフォームができると魅力的だと思います。
日本の活動はどうしても日本語をベースで紹介してしまうことが多いので、多言語でも紹介するプラットフォームがあり、今回のように、PREXのような、関西初のプラットフォームから世界に発信できると魅力的な取り組みにつながっていくと思います。

日本の子供たちに英語やスポーツを教えていますが、主にアフリカの方々を先生としており、1番最初のアフリカ人を獲得する際はSNS等で告知をかけるなど非常に苦労しました。
しかし、ひとたび、そのネットワークに入ると彼ら同士の繋がりがあり、パッと広がっていきました。
それは同じく日本側のお子さんの保護者とか、そういった教育の機会を欲してる方も、まさに同じような状況でした。
彼ら彼女ら同士のネットワークがあるので、そういったネットワークに早くリーチして広げるというところが、打開のポイントだと思います。
そういう意味でも、みんなを巻き込むネットワークや経験を共有するプラットフォーム作りが重要です。

日比野 純一氏

神戸で、在住外国人の方々と一緒にまちづくりを29年続けてきて、その延長線上に国際協力があるとお話をしました。
人材育成の観点から考えると、外国から日本に来ている人たちの人材育成を日本社会が取り組んでいます。
その一方で、1990年に入管法が改訂されて、日系人がラテンアメリカからたくさんやってきています。
もっと言うと、1980年前後ぐらいから難民のボートピープルとして、たくさんのインドシナ半島から人々がやってきています。
また、いろいろな事情で、外国から親と一緒に日本に渡ってきた子どもたち、ないしは日本で生まれた子どもたちがいます。
その子どもたちは、もう大きくなっています。
ですが、例えば言語の壁があることや、親が日本語を話せないから学習が遅れてしまうことや、社会の中での偏見や差別があることによってその力が生かせない子たちが、残念ながらたくさんいます。
しかし、29年前に比べたら、社会は変わってきています。
今日、私の最初の話の中で、 日系のペルー人の小さな男の子だった子が、今は、JICAの事業でペルーで活躍してるお話を紹介しました。
そういった子たちは、2つの祖国を持っています。
例えば、ビジネスの世界にそういった子たちが入っていったら、もっとペルーと日本のビジネスが進むかもしれません。
ベトナムと日本のビジネスが進むかもしれません。
架け橋となる人材が、この社会の中に実はたくさんいます。
その子たちをこの社会の中で活かせるなら、学校現場の中で、そういった子たちと交わることによって、日本の子たちも刺激を受けて、この子のふるさとの国に行ってみたいということになったという話もたくさん聞きました。
こういう人材育成をもっと加速していくことが、私たちの社会の中で求められているのではないか考えています。
私は29年、特に今、外国の人材がたくさん入ってますけども、そこの部分を置き去りにしないで、そこの部分にも力を入れていく必要があるんではないかと考えてます。
それと29年やってこれたモチベーションは、やっぱり「仲間」です。
今日もこうやってたくさんの方にお会いできました。
これを機会に繋がっていけたらいいなと思います。
いろんな立場や国籍や文化や、いろんな違いのある人たちと交わって活動できるっていうことが、自分にとってもいいし、その仲間たちにとってもいい。
それがモチベーションだったと考えています。

コーディネーター 大野 泉氏

ありがとうございます。
いろいろな立場から、それぞれの経験を共有しながら、国内と海外を繋ぐプラットフォームを作っていくことが重要だと、改めて思いました。

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  • 掲載日:2024年4月6日
  • 研修名:PREX×JICA関西シンポジウム
  • 氏名:大野 泉氏,河添 靖宏氏,遠山 晴香氏,半井 真明氏,日比野 純一氏
  • 役職・職名:大野 泉氏(政策研究大学院大学(GRIPS)教授)
    河添 靖宏氏(海士町郷づくり特命担当グローカルコーディネーター)
    遠山 晴香氏(ダイキン工業株式会社 ダイキンフィリピン社 出向 営業企画マネージャー)
    半井 真明氏(合同会社CHEZA(チェザ)共同代表)
    日比野 純一氏(特定非営利活動法人エフエムわいわい理事)

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