【アフリカコラム⑫】チョコレート島「サントメ・プリンシペ共和国São Tomé and Príncipe」とプランテーション- PREX Island
PREXスタッフ
【アフリカコラム⑫】チョコレート島「サントメ・プリンシペ共和国São Tomé and Príncipe」とプランテーション
「サントメ・プリンシペ」という国をご存じですか?
ギニア湾に浮かぶ2つの島で構成された小さな元ポルトガル領の国です。
鳥や植物などの固有種も多数生息する自然豊かな国で、ヨーロッパから多くの観光客が訪れます。
日本大使館はなく在ガボン大使館が管轄、在日サントメ・プリンシペ大使館もありません。
外務省のHPでは現在3名のサントメ・プリンシペ人が日本に住んでいるとされています。
そのうちのお一人と、イベントを2回開催しました。(国紹介・お料理教室)
サントメ・プリンシペは、ポルトガル人によって発見され、ポルトガル人の流刑地として、ポルトガルの植民地として、そして奴隷貿易の拠点として据えられました。
そのような背景から、アフリカの周辺各国とポルトガルが入り混じった文化が形成されています。
アフリカで 初めてカカオの栽培が行われた「チョコレート島」と言われていたそうです。
サントメ・プリンシペ民主共和国|外務省 (mofa.go.jp)
私が日本語で検索しただけでも、サントメ・プリンシペのカカオを使ったブランドがいくつか出てきます。
・KAOKA ・Callebaut ・CRAUDIO CORALLO ・DIOGO VAZ
ポルトガルからの独立後、奴隷を働かせて作られていたカカオ農園は労働力不足に陥り、また周辺諸国とその元植民地(コートジボワール(仏)・ガーナ(英)など)により、自国のカカオをより多く販売する目的で「奴隷を働かせて作られたサントメ・プリンシペ産カカオ」というネガディブキャンペーンが行われ、残念ながら急速に減退しました。(サントメ・プリンシペ人、エドリーさんの話より)
現在は例えば先ほど挙げたチョコレート企業により、栽培教育やコミュニティ発展のプロジェクトが行われる等して、経済的にも成長し、生活環境も改善されてきているようですが、1つ問題になるのは「プランテーション」です。
先ほども述べましたが、サントメ・プリンシペは自然が豊かな国ですが、FDI(海外投資)により何千haものパームオイルのプランテーションが新たに設置されるなどしています。
もともと多種多様な植物があった所に1つの植物を植えることは、自然の力や循環に悪影響を及ぼすとともに、一度一部が病気になればそれが広がってしまう経済的リスク、災害が起きやすくなる生活リスクもはらんでいます。
この問題はこの国に限らず、フィリピンのバナナプランテーション、日本の杉の人口植林などでも問題になっています。
このような状況に対して、私たちはどのような選択ができるでしょうか。
どうすれば、サントメ・プリンシペの方々が大好きな自然を守ることができるでしょうか。
どうすれば、住民の方々の生活が守られるでしょうか。
最後に美しいサントメ・プリンシペの映像を共有します。
今日から遠く離れた日本と同じ島国について、思いをはせていただければ幸いです。
- 掲載日:2021年8月30日
- 氏名:前田(智)
関連記事
- 【アフリカコラム①】 アフリカ大陸54カ国は、遠い遠い国で、どこで何が起こっているのかわからない?
- 【アフリカコラム②】 マリのクーデター
- 【アフリカコラム③】 アフリカに帰るディアスポラたち
- 【アフリカコラム④】 KNS:日本とアフリカのネットワークづくり紹介
- 【アフリカコラム⑤】一緒に異文化と対峙しましょう。
- 【アフリカコラム⑥】コンゴ民主共和国のこと。
- 【アフリカコラム⑦】タンザニア女性大統領の誕生
- 「アフリカを見る アフリカから見る」
- 【アフリカコラム⑧】アフリカは間違った認識を持たれているのか。
- 【アフリカコラム⑨】スーダン・南スーダンともに一番の資源は「人」
- 【アフリカコラム⑩】ケニア・「おかえり」「ただいま」が言えること。
- 【アフリカコラム⑪】私の第二のふるさとからの研修員を受け入れました!