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シンポジウム2019パネルディスカッション③- PREX Island

SDGs
パネルディスカッション:世界とシェアする日本の未来③

左から高橋 基樹氏 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究 研究科教授、神戸大学名誉教授)
フェルダ ゲレゲン氏 (UNIDO東京投資・技術移転促進事務所 次長)
ウスビ・サコ 氏(京都精華大学 学長)
高津 玉枝氏(株式会社 福市 代表取締役)
西堀 耕太郎氏(株式会社 日吉屋 代表取締役)

個人・企業・社会としてどう変わっていくか

高橋氏:
さきほどサコ学長からは「衝突しあうことが重要」、高津氏からは「辛抱強く付き合うことが大切」、
さらに「信頼しあうことが大事」という西堀氏のお話が加わったと思います。
目標年である2030年に向けてSDGsの達成を図らなければならない。あと11年。
そして2050年が来て2063年にはアフリカ統一機構が発足100周年になる。
さらに2100年というのも、すぐ目の前にきてしまうかもしれません。
将来に向けて、どの年を目途にしてもいいですが、今後日本は個人・企業・社会として、どう変わっていったらよいでしょうか。

個人として

ゲレゲン氏:
個人として、日本はもう少し世界にオープンになることが大事だと思います。
まず世界で起こっていることを知ること、それからインターナショナルな言葉である英語でコミュニケーションできるようになる必要があると思います。
日本のすばらしさを見せることも個人としてやらなければならないと思います。

高津氏:
私は途上国に行くことが多いのですが、例えばカンボジアの若者はとてもアグレッシブです。
自分たちで勉強していて、行くたびに成長しています。
みんなが自分の頭で考えて何をすべきか行動を起こしています。
しかし、日本社会に帰ってくるとその感じがしません。
そこにものすごい危機感を覚えます。
日本の若者に対しては、自分の頭で考えて行動を起こすということをしていただきたいと思っています。

西堀氏:
外を知ることだと思います。
他の国に行ったり、生活してみたりすると外から見た日本を感じることができます。
外に行くと自分が日本代表のようにいろいろ質問されます。
日本社会は進んでいる所も遅れている所もありますが、外から見てどういう状況にあるということを知ることが非常に大事かと思います。

企業として変わるべきことは?

ゲレゲン氏:
リスクをどこまで取るか。
企業にもいろんな計画があると思います。
日本の企業と海外の企業を訪問すると、日本の技術力は理解しているが、値段が高く、経営の決断が遅いという声が目立ちます。
日本の企業は見積りの際、10年ごとの修理費等、先にかかるお金も含めて高く出します。
現地の国の方はびっくりします。
嘘をつけなくても、ほかの企業と競争できる対策が必要です。
あとは新しいマーケットを見る時、現地企業ともぜひ話をして、どうやって仕事をしているか見てほしい。
日本企業の場合、リサーチに時間がかかることが多いです。
ですが、日本企業は、一旦決断すれば、何があってもその国から出ない、諦めないという良い点もあります。
実は「アラブの春」の時、問題がたくさん起こったにも関わらず、日本企業は一社も撤退せず、ビジネスを止めもしませんでした。
これもすごく素晴らしいと思います。
リスクと事業継続のバランスを検討する必要があると思います。

高津氏:
最近、SDGsに積極的に取り組みだす企業が増えています。
何かSDGsに取り組むために新しいことやらなければいけないという流れですが、一から枠を作る必要はないと思っています。
例えば、アメリカの多くの企業が、自分たちの商品調達のある程度の部分を、女性の企業から買うことで女性のエンパワメントにつなげようと仕事を進めています。
こういった貢献の仕方もあるのではないでしょうか。

西堀氏:
今後日本は、人口は減少し、経済力が衰え、外から見て存在感が薄い国になってしまうでしょう。
アフリカの人口が世界の4分の1になって経済需要が高くなるなら、アフリカに行き、その国を知り、提供させてもらうサービスを考えなければなりません。
それから、人口100億人ともなると、地球環境が心配になります。
たとえ、経済的にマイナスであっても、企業は環境問題に取り組んでいかなければなりません。

社会として

ゲレゲン氏:
日本は、世界をパートナーとして見てほしいです。
途上国の方も日本に対し好印象を持ち、すごく感謝しています。
それを活かして、新しい産業・仕事、社会を構築できるよう考えればよいと思います。

高津氏:
先日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)について学びました。
一つのものをすぐ捨てること前提ではなく、リサイクルや修理をするという新しい取り組みです。
資源が枯渇に近づいていく中、いかに循環して使い続けていくのか、社会としてそれが100年後も存在する状態を作らなければいけないと思います。
日本の未来にとても大事だなと思うのは、江戸の町で行われていたような完璧な循環型経済です。
もし、循環型経済の知恵は、日本の中にまだまだあって、それをシェアすることで日本としても世界に貢献できることがあるのではないかと思っています。
この辺りは自分も考えが発展途上なので、自分に何ができるかはわかりませんが、挑戦したいなと思っています。

西堀氏:
日本の社会として世界で生き残るために必要なことは、グローバルな視点を持った子供たちを育てることだと思います。
例えば、日本の小学校とインターナショナルスクールでは、学び方が大きく違います。
インターナショナルスクールでは、小学校からリサーチとプレゼンテーションのクラスがあります。
自分の頭で考え、その考えをまとめて人に伝え、説得する力が非常に重要視されています。
マレーシアにしばらく仕事で行く機会があって、お話を聞くと中国・韓国等東アジアの子どもたちが大勢、マレーシアに留学したり、サマースクールに参加しているそうです。
英語ができるようになることはもちろん、マレーシアはイスラム国家なので、中東からも多くの子供たちが学びにきています。
親は、自分の子どもたちが、今より発展することが見込まれている中東地域で、将来、政治・経済上重要なポストに就くことになるであろう子どもたちと 共に学び、幼い時から人間関係を作らせることを想定して、マレーシアに留学させていると聞きました。
このように、将来を見据えて戦略的にグローバル教育の中で育っている彼らの子どもたちと、日本の子どもたちは、20年30年後、社会に出たときにグローバル競争の中で、
勝負しなければならないのです。
日本では、最近になり、ようやく小学校で基礎の英語教育がはじめると聞きました。
彼らが社会に出るスタート地点に立った時点で、その格差はあまりに圧倒的なものになっているでしょう。
このままの変化のスピードで本当に良いのか?私たちは真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

大切なことは、知識と思いの共有

高橋氏:
最後にサコ学長お願いします。

サコ氏:
パネルディスカッションを聞いていて、勉強になったと同時に心配になりました。
1つはアフリカの都市化の問題。農業従事者が全員都市に住むことで、食糧生産、第一次産業がもたなくなります。
世界人口の4分の1がアフリカにいるということは、相応の食糧が必要になります。
何を食べるか、について考えなければいけません。
みなさんが食べているものは、いろんなルートで海外からやってきています。
フェアトレードと同じように、農業をしていていも、農作物にいい値段がつかない。
資源も同じです。
戦争や様々な問題で社会が崩れかけている地域でしか取れない資源を、日本はいつまで取り続けるのでしょうか。
もう一つ、SDGsを達成するためにSDGsに取り組む。
これは非常に問題です。2030年以降どうするのか、本当に考えないといけないと思います。
いろんな場所・人と様々なものを共有していく中で、共感できる仕事に個人、企業、社会として取り組んでいけたらよいと思っています。

高橋氏:
大事なことは我々は個人、企業、社会として、異文化・異人、異なる人々と付き合わねば、もう生き残っていけないということです。
日本の未来を世界の国や人々とシェアするためには
「摩擦や衝突を恐れない」、そういう勇気が必要です。
同時に、ぶつかっただけでは何も生まれないので、「辛抱・忍耐」が重要になります。
その忍耐を続けるためには、相手との人間としての信頼関係、お互いのことを学ぶということも大事です。
そういうことをひっくるめて世界中で人間同士が共感をしていくということが何より肝心で、
私たちの取り組んでいる国際協力・援助、あるいは企業同士の関係、個人同士の協力、助け合いといったことも、
人間同士の共感から始まっていくのではないかと思うのです。
世界全体の絆を軽視して、世界に褒められたい日本ばかりを追求するようになれば、社会は衰えていくと思います。
あたらめて我々の意識を変える必要があると思いました。

2019年4月9日、PREXシンポジウムパネルディスカッションより

  • 掲載日:2019年5月26日
  • 氏名:高橋 基樹氏,フェルダ ゲレゲン氏,ウスビ・サコ 氏,高津 玉枝氏,西堀 耕太郎氏
  • 役職・職名:高橋 基樹氏 (京都大学大学院)
    フェルダ ゲレゲン氏 (UNIDO東京投資・技術移転促進事務所 次長)
    ウスビ・サコ 氏(京都精華大学 学長)
    高津 玉枝氏(株式会社福市 代表取締役)
    西堀 耕太郎氏(株式会社日吉屋 代表取締役)

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