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①基調講演~PREXシンポジウム2019~- PREX Island

SDGs
グローバル化された世界の 未来で、人間らしく生きること。~多様な価値観を認めあえる 社会の実現にむけて~

ウスビ・サコ 氏 京都精華大学 学長

ウスビ・サコ氏
京都精華大学 学長

西アフリカのマリ共和国出身。
高校卒業と同時に国の奨学金を得て改革開放時代の中国に留学。
その後1991年に来日し、京都大学大学院で建築計画学を学ぶ。
2001年京都精華大学人文学部教員に着任。
2018年4月から現職。

グローバル化とは、大きなスケールの話ではない。

多様化する社会の中で「自分の姿勢を他者の姿勢とどう関連させ考えていくか」ということは非常に重要なポイントです。
私が学んだことでいうと、「他者と出会うことによって自分を発見する。あるいは他者を通して自分を見ていく」ということでした。
「グローバル化」というと、私たちはかなり大きいスケールで考えますが、実際は、個々人の話で、個々人が自分の中に多様性を認めることによって社会全体が変わっていくのではないでしょうか?

多様性や多様な文化をどう受容していくか?

私は、「日本人は協調性がないんじゃないか」って勝手に批判しているのですが、日本人は、「空気を読む」ことを大切にします。
しかし、これは「逃げる」ことです。
例えば、ぶつからずにちょっと距離を置くとか、相手のことを理解しないけど衝突をしないために受け入れる、こんなことは、多文化共生を迎えるこれからの社会の中で、通用しないですね。
能動的に行動し、能動的に相手に関わり、相手とぶつかり合うことで新しいものが生まれる。
ぶつかり合いがないところにはイノベーションはありません。
必ずぶつかる。それは悪いことでは全くありません。

アフリカと日本

SDGsということでは、アフリカとどうかかわっていくかということは大きなポイントです。
アフリカは1960年代に多くの国が独立していますが、民主主義との関係性等、さまざまな問題を抱えています。
一方で、労働人口、天然資源が豊富にあります。
このシンポジウムの「世界とシェアする日本の未来」というテーマについて、1955年のアジア・アフリカ会議に戻って考えたいです。
アフリカ諸国とアジア諸国が集まったこのバンドン会議で、インドネシアのスカルノ大統領は「Let a new Asia and new Africa be born!」、新しいアフリカとアジアを実現させましょうよ、と呼びかけました。
そして各国のリーダーが共同声明として「平和十原則」を発表して閉会しました。
これは、社会の安定性に、重要なポイントになりました。
アフリカとアジア、日本は様々なことをすでに共有しています。
その中でも、人の能力開発、都市や建物、経済、アフリカにとって役に立つことが多くあります。
日本はグローバル社会の中で、リーダーとしてどう役に立っていくのか、日本の教育の強みを生かした人間育成は大きな可能性があるし、共同イノベーションを起こして、日本の経験を外に出していくのがよいと考えています。
これからのグローバル社会の中で私たちに求められているのは、強い日本と強い世界、あるいは変わっていく日本と、変わっていくアフリカ、それらをどうやって繋げていくかということだと思います。

  • 掲載日:2019年5月26日
  • 研修名:PREXシンポジウム2019
  • 企業名:京都精華大学
  • 氏名:ウスビ・サコ 氏
  • 役職・職名:学長

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