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インタビュー記事3:きっかけはインターンシップからの相談- PREX Island

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インタビュー記事3: ‐他国の環境に関する悩み事に対しても、自社のコア技術を駆使して挑みつづける海外事業-

きっかけはインターンシップからの相談。
必要とされる仕事は何か?
自社保有の技術を海外に展開し事業化することへの挑戦でもありました。

先程の国内事業インタビューでも触れましたが、株式会社浜田の4つのコア事業の中にトータルマネージメントでの産業廃棄物の分別処理、リユース(再生)バッテリーを中心にしたエネルギーソリューションがあります。
その強みの技術の融合をいかして、2020年より、西アフリカにあるコートジボワール国を対象に、廃バッテリーのリユース・リサイクル化事業に携わられています。
背景を交えて海外事業コートジボワールの案件化調査について丸小野愛梨氏にお伺いしました。

※2022年1月に入端隆二氏、上田俊秀氏、丸小野愛梨氏、寺井正幸氏、濵田真弥氏にインタビューさせていただきました。(以下敬称略)

JICA-SDGsビジネス支援事業案件化調査に応募された経緯について、お聞かせ願えますでしょうか?

【丸小野】
途上国では鉛バッテリーを不適切に再利用することが途上国で暮らす子どもたちの鉛中毒の主な原因であり、約3人に1人の子どもが鉛中毒になっていると言われております。
鉛は初期症状がほとんどないまま、子どもたちの健康と成長に被害をもたらし、致命的な結果をもたらす場合もあります。
鉛バッテリーの不適切処理による健康被害や環境汚染の問題を解決すべく、途上国における鉛バッテリーのリユース、リサイクルの事業ができないか考えておりました。
その中でまずコートジボワールで鉛バッテリーのリユース、リサイクル事業の検討を始めたのは、当社へインターンシップに来られていたコートジボワール出身の方がきっかけです。
その方から「コートジボワールは鉛バッテリーのリサイクル処理施設がなく不法投棄が常態化しています。浜田さんの技術で解決できませんか?」と相談を持ち掛けられました。
そこで、まずは自社で現場調査に赴き不法投棄の現場を確認し、また現地政府の方との意見交換においても不適正処理が問題視されていることを確認できました。
当社へ適正処理の協力依頼を受けたこともあり、JICA-SDGsビジネス支援事業案件化調査へ応募を行いました。

本案件化調査に関するSDGsを、6「安全な水とトイレを世界中に」、7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、12「つくる責任つかう責任」の3つに絞り、JICAへ提出されていますが、どのようにこの3つのゴールに整理し決定されたのでしょうか?

【丸小野】
本調査では、廃棄されるバッテリーを当社の技術を用いて再生してリユースする仕組み、リユースできないバッテリーは適切に処理してリサイクルする仕組みをコートジボワールで構築することを目的としています。
物理劣化していない鉛バッテリーは弊社の技術を使い、もう一度バッテリーを使用できる状態に戻します。
リユースした鉛バッテリーを活用し、蓄電池システムを製品化し、冷蔵庫やパソコン、電気などが使用できるように販売をしていきます。
昨今コロナウィルスのワクチン保存で冷蔵庫が必要ですが、停電や未電化地域の多いコートジボワールでもそういった場面で安定した電力が使用できるよう、公共サービスと生活インフラの構築に貢献したいと考えております。
物理劣化などが原因でリサイクルが必要な鉛バッテリーは、まず収集後、素材ごとに特殊な機械を使用して分解し、プラスチックのケース、鉛、廃液(希硫酸)の3種類に分けます。
プラスチックは再度プラスチックに再生できる先へ販売、鉛は精錬メーカーへ委託しリサイクルします。
有害物質である希硫酸は無害化処理を行い、水が汚染されない状態を作り河川へ放流します。このように適切にリサイクルを行うことで不法投棄や不適切処理を減らし、住環境の整備や廃棄物処理場の負荷低減を行う予定です。
さらに現地への技術移転を進め、現地関係者の技術力向上、住民の環境に対する意識向上、現地の雇用創出に繋がっていくことを期待しています。
これらの取り組みを通して、ゴール6、7、12の達成に貢献できればと考えています。

現地視察をされて数多くの課題も散見されたと察しますが現地の状況はいかがでしたか?

【丸小野】
鉛バッテリーは空港や市役所などの公共施設などで使用されており、災害時に停電や火災が起こった際、誘導灯や火災報知器などが作動できるように設置されています。
また自動車用でも鉛バッテリーが使用されています。
バッテリーの中に入っている鉛は売却できるため、コートジボワールではケースを割って鉛だけを取り出しています。
中には希硫酸と呼ばれる呼吸困難や失明などの健康被害を引き起こす物質が使われていますが、そのまま土壌へ垂れ流ししている状況でした。
この問題は現地政府としても大きな課題として認識しており、各関係者との意見交換を行うことで適正処理のニーズを強く確認できました。

現在コロナ禍で充分な調査ができない状況ですよね。
そんな中でも現地とのやりとりはオンライン等で意思疎通をとりながら進めていらっしゃるのでしょうか?

【丸小野】
国内で進められるところは対応しており、現地側とは電話やメールでコンタクトを取っております。
まだ調査段階ではありますが、将来的に技術をコートジボワールに導入できるか等検討を進めております。
コロナ感染状況次第ですが、今年中に現地渡航を行い、引き続き現地での調査を進めていきたいと考えています。

【PREX】
世の中の企業もそうですがこのコロナ禍での海外ビジネス展開は困難を極めますね。
今後いつか来るべき時に備え粛々と進められている姿勢に感銘致しました。
状況も含めて色々とご回答頂きありがとうございました。

次のインタビュー

インタビュー記事4: ‐活力ある組織風土の醸成は会社意向を愚直に自分事ととらえた社内外での取り組み-

  • 掲載日:2022年5月31日
  • 企業名:株式会社浜田
  • 氏名:PREX兵頭

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