世界は人で、できている。
HOME > PREX island > インタビュー記事2: ‐先見性を持ちながら、来るべき時代のニーズに応えを模索し展開をつづける国内事業-

インタビュー記事2:環境ソリューション企業のSDGsとの出会いそして関わり方- PREX Island

日本企業の方々 SDGs
インタビュー記事2: ‐先見性を持ちながら、来るべき時代のニーズに応えを模索し展開をつづける国内事業-

太陽光発電システムが広まっておおよそ20年が経過。
これから更新需要の時代が到来。
「環境・低コスト」視点での非常用発電機のバッテリーの定期的な交換や修理も展開。

株式会社浜田は「太陽光パネルのリユース・リサイクルサービス」を手掛けられています。
太陽光発電システムの更新需要の到来を見据えて、ガラスと金属などの素材ごとに分離し、それぞれ素材として再利用できるように処理システムを考案されました。
寿命を迎えた太陽光パネル以外にも台風等の災害により破損したものにも対応されています。
リユースできるものは中古パネルとして販売しておられます。
また、「非常用(バックアップ)バッテリーのリユース」もビジネス展開されておられます。
現代社会において電気は必要不可欠です。自然災害に備えて非常用バッテリーを常備している施設は多くありますが、いざ必要な時に経年劣化により機能しないということになれば大変です。
そのような非日常に重要となる非常用バッテリーの交換・メンテナンスに着目したのがこのサービスです。
その他、多くの国内事業を展開される中、この太陽光パネル及び非常用バッテリーのリユース・リサイクルについて入端隆二氏に話をお伺いしました。

※2022年1月に入端隆二氏、上田俊秀氏、丸小野愛梨氏、寺井正幸氏、濵田真弥氏にインタビューさせていただきました。(以下敬称略)

まず初めに、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業の概要をお聞かせ願えますでしょうか?

【入端】
そうですね、2014年頃に社内で話題にあがり、それから1年後、2015年頃に事業化に向けて本格化しました。
再生可能エネルギーの普及が促進されている状況の中で、「必ず将来的に大量に太陽光パネルが廃棄されるよね」ということで、当社の事業企画の場でどのようにアプローチしていくか検討を始めました。そこから色々なパートナーさんとも出会い対応していっています。
引き取りの連絡がある際、使えるものと使えないものがでてきます。
まだ使用可能な太陽光パネルは中古買取して、選別・洗浄してリユース品として販売します。
使用不可能なものは東京と京都にある太陽光パネル処理施設で処理をします。
また、全国に産業廃棄物処理業者のネットワークがありますので、関東関西に限らずリサイクルの提案を行っています。
リユースに関しても全国各地へ買い取りに回らせて頂いています。

いち早く事業化への検討に着手されておられますが、現在のようなスキーム構築が可能と判断された理由や背景はどういったことでしょうか?

【入端】
まずは太陽光パネルのリユースを想定しました。
建屋の取り壊し等で寿命を迎える前の太陽光パネルが出てくると。
日本では新設時や更新時には新品の使用が多いですが、海外に目を向ければ中古品の使用は当たり前ですし、特に無電化地域において中古太陽光パネルを活用した太陽光発電システムは需要が高いと考えていました。
一方、当初から使えない太陽光発電システムも出てくると考えていました。
中古需要の後にいずれ訪れるリサイクルに備えて事業化を検討していましたが、当時社内的にはリサイクル技術の開発はハードルが高く、廃棄量が増加するまでにも年数があることから、取り組むには時期尚早と思われていました。
しかし、2015年に株式会社エヌ・ピー・シーというパートナーと出会い、NEDOの「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」というテーマを通じて、共同研究で「ホットナイフ分離法による金属・ガラスの完全リサイクル」という技術を確立させ、事業化を大きく前進させました。
グローバル展開も視野に入れたリユース品の拡販、リサイクル技術パートナーとの繋がり、そして何よりも途上国を始めとする「電気そのものに価値がある」と考えてくれるマーケットの存在が現在のスキームでの事業化を可能としたと言えます。

課題点や懸念事項があれば教えて頂けますか?

【入端】
昨年、環境省が「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を策定しました。
使用できない状態の太陽光パネルを海外へ輸出する不適正輸出やリユース可能な状態のパネルまで処分される過剰な処分等に対する対処すべき事項を示したものです。
但し、そのガイドラインを守らないブローカーが後を絶たず、使用できない状態の太陽光パネルを海外に輸出する不適正輸出が続いているのが現状です。
また太陽光パネルには鉛、カドミウム等の有害物質が含まれていますが、海外では適正な処理施設がないという国も多く、不法投棄等による土壌汚染につながることが懸念事項です。
私たちは展示会などでガイドラインに沿った適正なリユース市場の在り方をPRするなど啓発活動を行っています。
太陽光パネルの処理については、国や自治体が補助金を出しているのでリサイクル処理施設は増えてきていると思いますが、破砕技術処理でガラスを砕いてセメント原料にしているレベルで、ガラスと金属との分別レベルまでには至っていないことも今後の対策課題です。

続いてバッテリーのリユース・リサイクルについて、事業化の概要、ニーズ等をお聞かせ願います。

【上田】
リユースバッテリーは、まだ使用できるのに廃棄されるバッテリーに再生技術を活用し再利用することで、環境にもコストにも優しい製品です。
再生技術を活用しても再生できないバッテリーは適正にリサイクルされ、また鉛の資源として生まれ変わります。
また、現在は鉛バッテリーだけでなく、リチウムイオンバッテリーのリユース・リサイクルも検討しております。

他社製品や新品バッテリーを使用されている企業などユーザーから御社の再生バッテリーへ切り替えられる経緯といったところは?

【上田】
弊社のリユースバッテリーはコストだけでなく、長期保証サービスが一番の魅力となります。新品バッテリーの保証期間は1年間で期待寿命は約5年~7年です。
しかし、使用環境や用途によっては寿命期間内に劣化するため、交換しなければなりません。
当社では契約期間中には1年に1回の点検を実施し、不良品が発生した場合は無償で交換します。
そのため、新品と同等以上の安心を提供することができ、費用面でも新品より安価で導入が出来ます。
これらの理由から新品バッテリーではなく弊社の長期保証サービスが付帯したリユースバッテリーに切り替えて頂いております。

環境配慮やSDGsの広まりから過去に比べて減っているとは思いますが、海外ではバッテリーの不法投棄が常態化しています。バッテリー不法投棄による課題を教えて頂けますでしょうか?

【上田】
途上国では急激なインフラ開発、自動車産業の成長により鉛バッテリー使用量が増加しております。
鉛バッテリーには資源価値のある鉛が使用されていることから、バッテリーを不適切な方法で解体し、有害物質である希硫酸は捨てられ土壌汚染や水質汚染が発生しております。
これはバッテリーがもたらす住環境汚染リスクとリサイクル技術の無さが課題だと考えております。
当社では、このような課題を解決できるよう海外においても廃バッテリーのリユース、リサイクル技術の導入を検討していきたいと思っております。

【PREX】
色々な取り組み、想いを語って頂き感謝申し上げます。
ありがとうございました。

次のインタビュー

インタビュー記事3: ‐他国の環境に関する悩み事に対しても、自社のコア技術を駆使して挑みつづける海外事業-

  • 掲載日:2022年5月31日
  • 企業名:株式会社浜田
  • 氏名:PREX兵頭

関連記事