PREXグローバルネットワーク フォーラム (ブレイクアウトルーム2:企業経営・カイゼン)
プレゼンテーション③ キルギス・チンギス氏
映像制作会社を経営していますが、今回のコロナは私たちのような中小企業にとっては大きなチャレンジでした。
売上40%減、手持ち資金は50%なくなり、政府からの支援はありませんでした。
この状況で自分のこれからの仕事、将来を考えたとき、研修で学んだ「不利な条件をチャンスにする」、「仕事のデジタル化で作業プロセスを効率化する」、といった仕事の見直しをすることで、結果、新規顧客、新規プロジェクトを獲得することができました。
日本の文化も大好きです。
これからも両国の文化的・経済的つながりを強めるために少しでもお役にたてたら、と思います。
プレゼンテーション④ シリア・イマード氏
1999年から紡績会社を経営し、2007年にはオーダーメイドのタフトラグ製造を開始するなど、順調にビジネスを拡張してきました。2010年にはJICAの研修で、日本にて経営を総合的に学ぶチャンスに恵まれました。 帰国後も日本で学んだカイゼン活動、5S、提案活動を自社経営に適応し、手ごたえを感じていました。
しかし、皆さんご存じの通り、2012年からシリアで戦争がはじまり、私の工場は閉鎖となってしまいました。
最初は自宅にとどまっているしかありませんでしたが、シリアのJICA帰国研修員と協力し、カイゼンに関する教科書の作成、発行(アラビア語にて)や、各所でこれらのテーマの講演を行い、学んだことを忘れないよう活動を維持してきました。
5年後の2017年にようやく工場に戻ることができたのですが、すべては破壊され、機械は略奪されていました。
それに加え、当然シリアにもコロナは広がり、今のインフラの状況、原材料の高騰などなど、これらの状況を考えると、近い将来に生産活動に戻ることは難しいでしょう。
それでもシリアにも従業員のために環境を整えていこうとしている企業はあります。困難は沢山あります。
しかし、それでもあきらめず、これからも自分なりの活動を続けていきたいと思います。
皆様のフォローアップとご支援に心から感謝しています。
伴氏(ファシリテーター)
皆さんシリアスな状況に囲まれていますが、これから、将来に向けてどんな新しいことができるか、という観点でリラックスして意見交換ができれば、と思います。
プレゼンテーションをくださったお二人とも、大変な状況の中で参加いただき、御礼を申し上げたいと思います。
日本と、本日プレゼンテーションをいただいた国々の方は、当然違う環境にありますが、しかし、逆に急激な変化、予期せぬ変化、それに対する素早い対応とチャレンジが必要とされていることは共通なのではないかと感じました。
お互いに今回の意見を交換し、将来に向けた元気、勇気のもとを感じ取っていきたいと思います。
そのような観点で、チンギスさんと、イマードさん、何かコメントとして付け加えていただく事はありますか?
チンギス氏
この時期は私たちにとって、大きなターニングポイントだと考えています。
一人ずつの業務プロセスを見直し、大きな視点で経営のことを考え、仕事を振り返る、いい機会になりました。
たとえばですが、COVIDの前は必須、と思っていたオフィスやその他スペースは、今は作業ができる環境さえあれば、オフィスはなくてもいいのでは、とも思っております。
例を挙げれば、わが社にも就労時間等についてルールがありました。
でも今は、それぞれの職員が決められた締め切りまでに、決められた仕事を終えることができればよい、という考え方になりました。 そして、厳しい就業規則というものもなくなりました。
仕事を振り返った結果、チームとして自分たちを考え、よりお互いを信用しつつ働けばいいという考え方にいたっています。
上からの命令というものがなくても、人々は自主的に働いていくのだということを実感できました。
伴氏(ファシリテーター)
フィロソフィーの側から経営を考え直したというのは非常によい視点だったかと思います。
そういった視点から仕事を振り返っていくことが、ご自身の楽しいアイディアを生み出していくことにつながっていると思います。
そして、イマードさんの場合は、COVID以上の状態で、会社や人材、すべての物が破壊されてしまったということで、ちょうど日本の戦後のような状態かと思います。
イマードさんは先の光が見えにくい状態にあるかとは思いますが、もしご自身で、今これならやれるのでは、というお考えをお持ちであれば、ご意見をいただきたいと思います。
イマード氏
日本の戦後の復興過程は私たちが学ぶものであり、勇気を与えられる経験です。
今、私は、日本は一度敗戦で何もかもなくしたけれども、自分たちの努力により復興を果たした、ということをシリアの大学や各機関で講演をしています。
日本の経済復興の話は私たちにとても勇気を与えてくれます。
伴氏(ファシリテーター)
自分の会社の事だけでなく、自分のお国のことを考え、活動されるのが大変印象に残りますね。
Miguel Diversity consulting 水野氏
感想になってしまいますが、本日のお話を伺い、私も自分の会社の価値を考え直しているところです。
お客様に価値を認められ、お客様とともに価値を作り上げ、それをご理解いただくのが今の自分の会社の課題と考えています。
世界の情勢、私たちを取り囲む情勢も厳しいですが、この中でどのように革新をはかっていくか、が自分の課題です。
プレゼンテーションいただいた皆様はより大変で、そんな状況ではないかもしれませんが、今日のお話を伺い、アフターコロナ、情況が変わった後にどう会社の価値を生み出していくのか、過去を振り返り、どう顧客を引き付けていき、自分たちの技術を向上させイノベーションをおこしていくのか、が今後の私たちの課題かと感じた次第です。
伴氏(ファシリテーター)
チンギスさんの会社は映像会社ですが、業務の見直しにカンバン方式を取り入れられたとおっしゃられていましたね?
カンバン方式は幅広く、色々な取り入れ方ができるとは思いますが、映像制作会社のお仕事に「カンバン方式」を取り入れよう、と思われたのか。
そのきっかけや、どのように取り入れられたかを少しお伺いできますか?
チンギス氏
コロナの前から取り入れていたのですが、それはあまり仕事の中で大きな比重をしめた業務ではありませんでした。
COVIDになって、変わったのですが、まず仕事をプロセスを見直すために、仕事のプロセスを全て書き出し、必須であるものといらないものを見分けていき、作業を見直す、という作業をしました。
小さい例ですが、例えば紙がなくなりそうになる前に、ある一定の箇所に発注ポイントカードをいれてき、紙が切れてしまう前に発注が出きる、というような工夫も取り入れています。 このような感じで、日本で学んだことを仕事に生かしているところです。
株式会社サンパック 青山氏
プログラムを通じ、自分たちにとっての仕事とはどういうものなのだろう ?と改めて考えさせていただき、自分たちのほうが勉強をさせていただきました。
プレゼンテーションを伺って、大変な状況の中で、頑張り、そしてビジネスで生き残り、改めてこういうディスカッションの時間を共に持てている、ということはとても意味のあることだと感じました。
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PREX Follow-up Team