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PREXグローバルネットワーク フォーラム (ブレイクアウトルーム3:海外との貿易・投資)

名古屋大学大学院国際開発研究科 小林氏
今回の参加を楽しみにしています。
スリランカの方のプレゼンでココナッツのバリューチェーンに関する調査を共有されたとのことなので、詳しいことを教えていただきたいと思っています。

日本政策金融公庫 姫路氏
日本政策金融公庫の職員です。両国の投資、金融環境を伺いたいと思っています。

プレゼンテーション⑤  スリランカ・カシール氏”

スリランカ投資委員会で、わが国への投資誘致に関する業務に携わっています。
私は自分の国が発展するには、スリランカに拠点をおいてビジネスを展開してくれる、かつ、潜在力のある企業に沢山来ていただく事が必要だと考えています。
日本の研修では沢山の学びがありましたが、いろいろ考え、帰国後にスリランカのココナッツについてバリューチェーンに関する調査結果を関係者で共有することにより、産業促進のアプローチをいくつか改善することができました。
委員会としても輸出加工区やの開設や、輸出加工区域内での輸出入に関するサービスの提供、その他、さまざまなサービスを提供していますが、まだまだFDI誘致は十分だとは思っていません。
現在の投資家の再投資促進、投資家の問題解決のために政府機関と協業していくなど、より、積極的に、かつ、俊敏にサービスを提供していかなくてはなりません。 これからも、学びを生かし、FDI招致のためのアクションを取っていきたいと思います。

プレゼンテーション⑥ セルビア・フラスタ氏”

地方開発庁の振興部門でPRアドバイザーとして働いています。
外国からの投資誘致や、母国の企業が海外市場に参入するための活動を日々行っています。
研修では、市場調査の重要性や、自分たちの知識、しかも潜在的な知的財産を活用すること、自国の開発ポテンシャルを特定し、それをどう輸出に結び付けるかを考える必要性がある、など沢山のヒントを得ることができました。
しかし、他の方々と同様、セルビアもコロナの影響からは逃れられず、いままで参加していたヨーロッパのほとんどのフェアはキャンセルになってしまいました。
今は予定されている展示会に向け準備自体は進めていますが、この状況が続けば、オンラインでの活動として続けていかざるを得ないと思います。
幸い、自動車を中心に、貿易は好調なので世界の情勢をみながら、地方開発庁としてやるべきことは何か、引き続き考えていきたいと思います。

後藤教授(ファシリテーター)
講義を通じ、投資にしても貿易にしても、つながりが増える、特に投資、貿易については、グローバルバリューチェーンという概念についてフォーカスしてきましたが、しかし、コロナでこの状況が直接的に変わった、という理解をお二人は示されたと思います。
ただ、コロナの前から変化は起こっていて、保護主義の台頭などがありましたが、コロナでそれが大きく加速したと感じています。
この環境で第一に考えないといけないのは、貿易と投資の未来はどうなっていくのか?各国の貿易と投資にどういう影響がでてくるのか。
2番目に考えないといけないことは、一定のルールにのっとって存在していたグローバル社会の在り方が不透明になってきました。
21世紀、世界は今までは自由で開かれていた多国間システムのおかげで繁栄を築いてきましたが、そのシステムの役割は、どうなったのか?
終わってしまったのか?
3番目として、持続可能性にむけた新しい課題と可能性について、転換点に来ているように思います。
グローバルゼーションの在り方が不透明になっている中、全体的な信頼性が低下しているのではないか?という状況があるのでは?
では、今社会は持続可能性のある社会と逆の方向に向かって動いているのではないか?
こういう大きな背景を考えると、貿易と投資に対してかなり大きな影響を与えると思います。
皆さんは、この状況に対して、現在どのような認識、そして、それに対して何ができると思っておられるのか、プレゼンテーターのお二人、そして日本側の参加者の皆様のご意見が聞ければと思っています。

フラスタ氏
UNCTADの投資レポートによると、世界のFDIが2021年、1/3も下がりました。
これは金融危機の時もひどかったですが、今回の減少はコロナ感染が原因です。
ただ、セルビアでは対内投資は微増しているのが現状です。
これはおそらく、サプライチェーンの影響で、簡単には他の場所に代替できないということ、ひょっとしたら地域ブロック化しているということがあるのかもしれません。
いままで域外にいっていたもののが、再度域内に戻ってくるカタチに再編成されてきているのではないでしょうか。
あとは単純に、労働コスト、物流コストが上がってきていることにより、グローバルバリューチェーン自体が短くなっているのではないか、と考えています。
日本企業のセルビア向け投資も、減少状況はありません。
特にこのパンデミックで経済もひどい状態になるのではないか、と考えていたのですが、幸い自動車産業に対しドイツからの投資がけん引したような形で、堅実な状態を保つことができました。
ですので、セルビアの経済全体としてはそんなにひどい影響を受けなかったのでは、そして、その要因は自動車産業の役割が大きかったと考えています。

PREX中山氏
セルビアは輸出も輸入も対象はドイツが突出しており、特に自動車、および、電子部品の製造など、経済的なつながりが強いのでは、と感じています。
となると、持続性という観点からみると、関係性が強いのがドイツだけで大丈夫なのか。
特に今、ドイツも天然ガスが必要量供給されるのか、などの問題を抱えています。
セルビアが製造のための原材料、稀金属(レアメタル)など原材料を自国で賄えるのか。
もし海外から輸入しないといけないとすれば、それがどこから輸入されて安定して入手できるのかということでも違いがあると思います。
その辺については、どのようにお考えでしょうか。

フラスタ氏
正直な意見を申し上げますと、本当に色々な要素があり、将来のことは不明確だと思っています。
ただ、知っている限りのことを申し上げると、確かに我が国には自動車産業がありませんが、現在セルビアに新しい自動車工場が建設されており、大規模なR&Dセクターもできることになっております。
そういう意味では、直近については大きな不安は感じていません。
しかし、これからの状況の変化によって将来どう変わっていくか、不透明だとは思います。
レアメタル等、原材料の調達についても、詳しくはわからないのですけれども、確かに存在する外国企業などで、レアメタル等を必要としている所もございます。ただ、こちらが輸入なのか、国内で賄えているのかは恐縮ながら存じ上げません。

後藤教授(ファシリテーター)
原材料の問題については、日本も資源が自国にないので重要な課題だと感じました。
戦略的に原材料の入手先を多様化できるかどうかも関係してくるので、重要な点だと思います。
日本の場合は、資源は海外に頼っていく、ということを1960年代に決断がなされました。
国内の炭鉱なども閉鎖し、そのような材料は海外から、という方向性になりました。
しかし、今、グローバル化の在り方が変わってきていて、国と国との信頼関係が下がってきた、というのは、日本にとって、非常に深刻な事態ととらえています。

フラスタ氏
わたくしのほうからご質問させていただきたいのですけれども、コロナの状態になってから補助金、助成金など中小企業をサポートするために、何をされてきましたか?
というのも、今までは対面でコミュニケーションをとりつつ、企業をサポートしてきたのですけれども、それができなくなった中、どうしていけばよいのかと思っています。日本側の経験をご教示いただけませんか?

日本政策金融公庫 姫路氏
日本政策金融公庫では、コロナ禍になって、経済活動が停滞し、資金繰りが厳しくなったSMEからの融資申し込みが非常に増えました。
政府系金融機関として、政府の発表する中小企業支援策のパッケージのもとで、中小企業へ金融の面でサポートを実施してきました。
コロナ禍における支援では、影響を受けたSMEへの低利・長期融資を提供してきました。
一定の要件に該当する場合には実質無利子で融資を行うケースも実際にありました。
対面が難しいという状況で、電話で経営状況をヒアリングしたり、オンラインツールでインタビューしたり、という方法により融資審査が滞らないようにしてきました。

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