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コロナに負けない③コロナで考え出された「オンラインツアー」には、旅行の未来を変える可能性があります。- PREX Island

日本の専門家
阪南大学 国際観光学部 教授 清水 苗穂子氏①

研修のコースリーダーの清水です。

2021年7月に終了した「JICA持続可能な観光地域づくりのための人材育成」。
コロナの影響で、観光・旅行業界はどの国も大打撃を受けていますが、参加している研修員の皆さんも、それぞれの国で工夫された独自の取組みをされていました。
観光では現地に行くことがまず重要だと考えます。
あまり難しいことを考えず、とにかく行ってみる。
すると、そこには、海外に出てみて初めて気づかされることがあります。
観光は、「平和へのパスポート」と呼ばれています。
あまり良く知らない国でも行ってみると、人はその国に親近感を持つようになります。
民間人が観光により、外交しているのです。
世界中で観光がストップすると、世界の人はお互いに理解しにくくなるのではないでしょうか。
こうした機会が失われているのは残念なことです。

コロナだからこそ、クリエイティブなことが生まれています。

日本の旅行会社は、倒産件数は増えていませんが、各社負債が増えています。
店舗の閉鎖、さらに従業員の定年を早めたり、新入社員を採用しないといった動きがあります。
そんな中、オンラインのツアーが生まれています。
これはコロナ禍で生み出された新しい商品で、現地人材の雇用も継続できます。
ツアー参加者は、通常では条件が合わないとなかなか選択できないディスティネーションでも、オンラインツアーなら気軽に参加できます。
また通常は観光客が入場できない場所に現地ガイドが行き、その魅力を紹介するツアーもあります。
旅行会社にとってはリアルのツアーよりも参加者数に制限がなく、利益を得やすいツアーもあります。
つまり「地域」にとっても、「お客さん」にとっても、「旅行会社」にとっても、コロナ禍において「画期的な商品」になっています。
また「オンラインツアー」なら、ハンディキャップがあり現地に行くのが難しい方なども参加できる、また現地の人と双方向で質問したり会話ができるインタラクティブ性があるなど、これまでの旅行のあり方を変えていく可能性もあります。
誰もが参加でき、現地の人々とのコミュニケーションが可能になる、観光における「社会貢献」的な新しい価値を生む動きです。
おおげさかもしれませんが、人間は危機に直面してもそれを乗り越えて新しいものを作りだせるのだと実感しています。
大学の学生には、「コロナに負けずに、企業がどういう努力をしているのか、自分で見たり調べたりして意見を持つようにしてください」と言っています。
オンラインツアーが評価される中、競争は激しくなり、似通った商品も出てきています。
企業はたゆまぬ努力が求められています。
そうした状況も含め、学生にはしっかり現状を見てほしいと思っています。

阪南大学 国際観光学部 教授 清水 苗穂子氏インタビュー②はこちらから

*清水先生にコースリーダーを務めていただいた研修はこちら↓

2021年度 JICA持続可能な観光地域づくりのための人材育成(遠隔研修)

観光地域づくりを通じて持続可能な観光振興を推進する関連省庁、地方自治体またはその外郭団体に所属し「観光地域づくりを行う人材育成」の計画を作成、実施を担当する職員が参加。
2021年5月31日~7月2日
【7か国、9名】
モンゴル(3)、ブータン(1)、パキスタン(1)、キリバス(1)、エチオピア(1)、アルメニア(1)、アゼルバイジャン(1)

  • 掲載日:2021年11月4日
  • 研修名:2021年度 JICA持続可能な観光地域づくりのための人材育成(遠隔研修)
  • 企業名:阪南大学 国際観光学部
  • 氏名:清水 苗穂子氏
  • 役職・職名:教授

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