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インタビュー記事1:いつまでこの価格で美味しいコーヒーが飲めるのか?- PREX Island

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インタビュー記事1:美味しいコーヒーの秘密

阪神百貨店の1階に並ぶ色とりどりのパッケージ。
そこは田代珈琲さんの店舗です。
コーヒー豆の購入と共に、コーヒースイーツを楽しむことができるようにもなっています。

田代珈琲さんは阪神百貨店・本社・オンラインショップでコーヒー豆の販売とカフェへの卸売りをされているのですが、中南米・アジア・アフリカの農家さんから品質の良いコーヒー豆を直接仕入れておられます。

私は店舗の一角にある1袋190円の個包装のドリップコーヒーをよく購入しています。
高いと思うか安いと思うかは人それぞれ。
田代珈琲のコーヒーが世界で一番美味しい私にとっては毎日のご褒美として必要経費ですが、少し高いなと思っていました。

しかし、田代社長へのインタビューを通じてコーヒー産業の現状と未来を聞いた今、この美味しさのコーヒーが190円であることは当然だし、飲めなくなる未来がくるかもしれないのであれば、少しでも未来を変える貢献ができたらと感じています。

※2024年1月に田代社長と娘の彩(ひかる)さんにPREXの奥村、荒木、児島がインタビューをさせていただきました。

品質と価格のバランスを見極める

【PREX奥村】
田代珈琲がこれほど美味しい理由を教えてください。

【田代社長】
品質が良いことですね。
果実が完熟しているかどうか、コーヒー豆となる種子に十分な栄養があるか、天日による高温を避け陰干し乾燥させているかなどが良い品質のコーヒー豆をつくる秘訣です。
そのほか、鮮度もとても大切です。

現地のコーヒー農園に行くようになってわかってきたことは、選別すればするほど品質は良くなるということです。
しかし、選別すればするほど人件費がかかります。
日本の消費者の皆さんに買ってもらえる価格と、購入する豆の品質のバランスをいかに見極めるかが難しいところです。
コーヒー1杯には、だいたいコーヒー豆80粒くらいが必要になります。

【全員(PREX)】
1杯80粒?!

【PREX奥村】
10杯で800粒、100杯で8,000粒。それを手作業で選別しながら摘んでいるんですか?
それはかなりの人件費がかかりますね。

【田代社長】
そうですね。
各国の人件費が安いからこそ、今は日本円が強いからこそ、日本ではこの価格でコーヒーを販売することができています。

【PREX荒木】
日本でコーヒー栽培をすることは可能なのでしょうか?

【田代社長】
沖縄など一部の地域では可能です。
しかし、日本で栽培収穫した豆を使ったコーヒーはかなり高価なものになるでしょうね。

2050年美味しいコーヒーが飲めなくなる?!

【PREX奥村】
気候変動の影響により農作物の栽培国を変える取り組みがあるとニュースで見たことがあります。
以前、コーヒー業界では2050年問題が取りざたされていると伺いましたが、それは具体的にどういう問題なのでしょうか。
コーヒーは飲めなくなってしまうのでしょうか。

【田代社長】
地球温暖化による気候変動の結果、2050年にはアラビカ種がほとんど栽培できない状況に陥るとされています。
※世界で飲まれているコーヒーのほとんどがアラビカ種かカネフェラ種の一種ロブスタで、スペシャルティコーヒーはアラビカ種が多い。

現在、気候変動にも強い品種の開発が急がれていますが、アラビカ種ではありません。
しかし、そもそもコーヒーの木自体を栽培できないことの方が大きな課題なので、コーヒー自体が無くならないよう品種改良・開発・植え替えが行われています。

農家にとっても喫緊の課題です。
コロンビアでは、すでにほとんどの農家がアラビカ種から新しい品種に植え替えました。

【PREX奥村】
直接取引されている現地の農家さんも2050年問題のことはご存知なのでしょうか。

【田代社長】
よくわかっています。
ですから、植え替えていっていますね。

【PREX奥村】
2050年以降はアラビカ種のコーヒーは無くなってしまうということでしょうか。

【田代社長】
無くなることはないかもしれませんが、高額になるでしょうね。

【PREX奥村】
アラビカ種に匹敵する品種が開発されることを願います!

次のインタビュー

インタビュー記事2:農家さんからの直接買付

  • 掲載日:2024年3月21日
  • 企業名:田代珈琲株式会社
  • 氏名:PREX 奥村