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インタビュー記事2:誰でもふらっと訪れることができる場所 さばえSDGs推進センター- PREX Island

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インタビュー記事2:さばえSDGs推進センターの多岐にわたる活動について

さばえSDGs推進センターは、JR鯖江駅から徒歩15分。
メガネストリートに面しためがね会館の中の9階にあります。
2020年にオープンしました。
関本所長とサマンサさんにセンター設立までの経緯とセンターでの取り組みについて伺いました。
常駐のスタッフはわずか4名。
人数からは想像もつかない程の幅広い活動に取り組まれています。
取り組みの幅広さの秘訣はどこにあるのでしょうか?

開設時はちょうど新型コロナウイルスが始まったころ。多くの人に来ていただけるのか?と心配になったことも

【関本所長】
センターが設立される前は、市役所の中にSDGs推進グループがありました。
センター設立は2018年に牧野前市長が鯖江市のジェンダー平等や市民主役事業の取り組み、そして特徴的な鯖江市役所JK課(※1参照)の活動などについて国連でスピーチをしたことがきっかけです。
加えて、センターの名誉顧問アンワルルK.チャウドリー氏(※2参照)との出会いも大きかったと思います。
2019年にチャウドリー氏が鯖江市を訪問され、滞在中には鯖江市議会議場でのスピーチ、市内の中学校での講演、さばえSDGs推進シンポジウムなどが開催されました。
こういった流れの中でさばえSDGs推進センターが開設する運びとなりました。

※1:JK課とは?
「鯖江市役所JK課」は、「市民主役条例」を制定するなど、市民参加による新しいまちづくりを進めてきた福井県鯖江市が、2014年にスタートさせた実験的な市民協働推進プロジェクトのこと。
地元のJK(女子高生)たちが中心となって、自由にアイディアを出し合い、さまざまな市民・団体や地元企業、大学、地域メディアなど連携・協力しながら自分たちのまちづくりを楽しむ企画や活動をたくさん行っている。
→鯖江市役所JK課の詳細はこちらから

※2:アンワルルK.チャウドリー氏
バングラディシュ国連常駐代表として、国連安全保障理事会議長、ユニセフ執行理事会議長などを歴任。
国連における女性問題の先駆者の1人として現在も活動を行っている。
2018年、2019年には国連ニューヨーク本部SDGs推進会議議長も務めた。
チャウドリー氏は2007年に国連事務次長として福井県へ来られ、2018年に国連ニューヨーク本部SDGs推進会議議長時代に鯖江市の当時の市長、牧野氏へ「SDGs推進カンファレンス」への出席を打診。
鯖江市とSDGs推進には欠かせないキーパーソンである。

【関本所長】
センター開設の日、オープニングセレモニーを実施しました。
ちょうど新型コロナウイルスが蔓延しているころで、開設時は本当に不安な気持ちでいっぱいでした。
牧野前市長が積み上げてきた活動によりオープンしたセンターに自身が携わることで運営がうまくいくだろうか・・・と。
しかし、オープン後は、早速出前講座の依頼がたくさん入ってきました。
また、センターへの来場者数も毎日平均15名程度と順調でした。
さらにサマンサが着任をして、さまざまなアイディアも出してもらい、どんどん活動の幅が広がっていきました。
2021年度は全38回、約2,300名を対象に出前講座を実施し、一年間の来場者は約3,500人を超えました。
当初は市内からの依頼が中心でしたが、今では市外や県外からの依頼もあります。
またマスコミさんや雑誌の取材を受けるなど手ごたえを感じています。

SDGsと絡めた事業なら何でも実施

【サマンサさん】
さばえSDGs推進センターは、皆さんの拠点となるように鯖江市民だけではなく、福井県民、また県外の人でもどなたでも利用が可能です。
SDGsの理解を深める取り組みを幅広く実施しています。
SDGs推進に取り組む企業や団体紹介、講演会、イベントの企画運営、出前講座の実施、施設内での展示など、SDGsに関わることならなんでも私たちの事業です。
事業の方針も
①みんなの拠点になること
②SDGsを理解しつつ、楽しく活動ができること。

この2点が中心です。

アイディアは常に話し合いの中から生まれる

【サマンサさん】
センターでは、さまざまな取り組みを行っていますが、企画会議はこれまで1度も実施をしたことがありません。
話し合いのなかから出たアイディアを具体的に実現させていくイメージです。
常にセンターから情報を発信しているので、その情報をもとにセンターに企画を持ち込んでくださる企業や団体の方もおられます。
例えば、市内にプログラミングを専門とされている企業があります。
その企業さんからSDGsに関連して何か企画ができないか相談を受けました。
SDGsとプログラミング?と一見なるかと思うのですが、その際も一緒に話し合い、子供たちに向けたプログラミング教室を実施することにしました。
プログラミングとLED電球をつなげて各ゴールの色を再現したものをセンターの壁にも貼り付けているので、12月はSDGsのそれぞれの色のイルミネーションを楽しむことができます。
SDGsは続けて実践することが重要ですので、このような楽しいイベントを企画・運営することがセンターの役目だと思います。
センターにはいつでもだれでも訪れていただけますので、ふらっと訪れた方とお話しているうちに、新しい企画やイベントの実施につながったこともありました。

【関本所長】
今はセンター内で常設展示と特別パネル展示を実施していますが、もともと特別パネル展示の企画があったわけではありません。
サマンサが展示物を作成してきて、飾り始めたことが、いつのまにか特別パネル展示になっています。
思いつきでもまずは実施をしてみるという雰囲気がこのセンターにはあると思います。
また、旅行会社との連携事業もセンターでは実施していますが、こちらの話は、旅行会社のほうから頂きました。
SDGs未来都市に選定された100以上の市町村の中から3都市が教育旅行先に選ばれ、鯖江市もそのうちの1つに選んでいただきました。
旅行会社の担当の方が鯖江市に来れ、現場を案内するなど鯖江市の魅力をお伝えしていたら、先方でプログラムを策定し教育旅行として商品化していただきました。

最近の一押しの活動:学生のためのSDGsプラットフォーム~さばえSDGs部~

【サマンサさん】
様々な事業を実施していますが、最近実現できてうれしかった活動は学生のためのSDGsプラットフォームを立ち上げたことです。
さばえSDGs部とは、学生が集まってSDGsについて考え、楽しく行動する場のことを指しています。
学校以外でも活動をしたいけれど、どうすればよいのかわからない、活動場所がないという学生からの声もあったため、学生であればだれでも集まることができる場所を提供したいと考えました。
学校などへ広報をして、10名くらいの学生に集まってもらえるとよいなと思い発案しましたが、なんと16名の意識の高い学生が集まりました。
今年の4月に発足して、私が顧問を務めています。
学生の皆さんも学校やそのほかの課外活動で忙しいので、集まれるときに集まる緩やかな部活をイメージしています。
方針は「大人が口出ししないこと」。
参加している学生がどんな活動をするか、どんな進め方をするかなどすべて自主的に考えて進めています。
小学生から大学生まで年齢も学校も全く違いますが、話し合って活動に取り組んでいます。
4月からの半年間(インタビュー時は10月上旬)で、子供たちに向けたSDGsについて学ぶ紙芝居を作成し、先日開催したSDGsフェスで披露しました。
紙芝居の内容やSDGsに対する考え方は本当に素晴らしいものでした。
次の活動は学生が決めることなのでまだ具体的には決まっていませんが、これからの彼らの活動もとても楽しみにしています。

ここまでのインタビューの感想

今回、サマンサさん、関本所長からは多岐にわたる活動をたくさんご紹介いただいています。
4名で実施されているとは思えない事業数・量です。
活動の多くをほかの企業や団体、学校等教育機関などと連携されているのですが、その連携そのものがすでにSDGsゴールへの貢献を体現されているなとお話を伺って感じました。
続いては、センターが最も力を入れて活動しているゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」についての想いを伺いました。

次のインタビュー

インタビュー記事3:ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」についての想い

  • 掲載日:2023年2月14日
  • 氏名:PREX SDGs推進チーム