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インタビュー記事2:原点回帰でアフリカ事業展開に挑むことを決意- PREX Island

日本企業の方々 SDGs
インタビュー記事2:信頼できるビジネスパートナーを探せ

最初の失敗

【辻】
日本では交通インフラ整備需要が減って自社製品である道路鋲の需要は落ちているのですが、海外からの問い合わせは多くあります。
2016年に在ケニア日本大使館からもサンプルを送って欲しいという連絡が来ていつものように送りました。
そしたら国交省からケニアで開催されるTICADⅥで製品プレゼンをしてほしいという連絡がありました。
すべて自費だったのですが、これも経験と思って出展・プレゼンすることにしました。

当社以外はすべて大企業。
競争相手ではないと認識され大企業の皆さんからとても親切にしてもらいました。
発表を終えるとアフリカ人の方からとても好評で、アフリカでは交通事故が多いのかという認識を持ちました。
大企業の皆さんからは「進出したらいいよ」「JICAのスキームを使えるよ」「最初はタンザニアが良いと思う」などアドバイスをいただいて、JICA案件化調査に応募し採択されました。

この調査の最終目的は当社製品を現地に導入する政府開発援助プロジェクトとしての可能性を調査すること。
プロジェクトとして案件化するためには現地パートナーが必要でした。
1年半探し続けました。
でも、短期出張の繰り返しでは見つけることができませんでした。
現地大企業からすれば当社と取引するメリットはない。
しかし、現地中小企業は本当に任せてもいいのか信頼できない。
お互いにそうなのだと思います。
お互いに信頼できないと不安ですよね。
その結果、原点回帰でアフリカ事業展開に挑むことを決意しました。

インターンシップの活用

【辻】
仕切り直しを決めた時、1から考え直そうと決意しました。
そして、現地のリアルな情報収集と信頼できるパートナーを探すため、インターンシップを活用することを決めました。

【林】
当社では1週間の短期インターンシップと1年間の長期インターンシップの2つを行っています。
短期インターン生の選考条件は、当社に関心を持っていて意欲があることですが、長期インターン生の選考条件は、
①帰国して起業する意思を持っていること
②現地で当社ビジネスを展開する意思があること
③当社製品需要のある国、当社のターゲットカントリーの出身であること
④人となりを信じられる
ことです。
長期インターン生は今までで3名。
2人は短期インターンシップに参加しています。
1人は短期インターンシップには来ていなかったのですが、熱意があったため長くオンラインベースでやり取りをしていました。
そして、その3名が現在のビジネスパートナーです。

現地パートナーの業務

【林】
現地パートナーには現地業務の全てを担ってもらっています。
現地調査、製品導入、修理、新規事業調査など。新規事業は当社の事業戦略に基づき当社から仮提案をして、価格や販売方法など現地パートナーと協議しながら決めていきます。
オンラインで得られる情報もありますが、やはり現地情報は現地で調査が必要です。
特に村の状況は現地でしかわからないため、裨益者の有無、販売場所、治安などを調べてもらいます。

パートナーのモチベーション維持

【辻】
海外事業にはトラブルが付き物です。
課題も山積みです。
各パートナーとの考え方も違います。
それらを柔軟に素早く軌道修正して事業を続けようというモチベーションをお互い保ち続けることを意識しています。
問題を放っておくとどちらかが諦めてしまいます。
そうなると良くありません。
また、現地で出た利益は新規事業への投資に使う。
そうすることで、現地パートナーのモチベーションが持続されます。

アフリカ事業を成功させるために

【辻】
多くの日本企業が自社製品を売ることができる国へ進出しようとされていると思います。
当社も最初はそうでした。
でも、そうじゃない。
まず信頼できて自社技術を取り入れたいというビジネスパートナーを見つけることがアフリカ事業のスタート地点です。
そしてパートナーの声を聞きながら、現地ニ-ズを満たすこと。
それが秘訣ではないでしょうか。

【PREX奥村】
利益が多くはないとはいえ、すべての利益を現地の次の投資のために使う。
とても驚きました。
それを実現できる組織とはどういう組織風土なのか?次の記事でお話いただいています。

次のインタビュー

インタビュー記事3:新規事業の芽を育てる組織

  • 掲載日:2022年11月5日
  • 企業名:辻プラスチック株式会社
  • 氏名:PREX奥村