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インタビュー記事1:自社の技術でアフリカの人々の電気と水の課題を解決する- PREX Island

日本企業の方々 SDGs
インタビュー記事1:自社の技術でアフリカの人々の課題を解決してみせる

プラスチック成形で培った技術をフレーム事業やソーラー機器事業に展開し、2016年にケニアで開催されたアフリカ開発会議(TICADⅥ)に参加したことをきっかけに、アフリカ進出を決意した辻プラスチック株式会社。
現在はセネガル、ニジェール、ブルキナファソなどでソーラー充電器や浄水器など自社製品のサブスクリプションビジネスを展開しています。
アフリカの課題を解決する企業として有名ですが、実は事業担当者は4名のみ。
しかも他業務と兼任。
うち2名である同社でアフリカ事業を興し現在も指揮を執る辻喜勝取締役と、アフリカ一人出張可で入社しアフリカに対する深い想いを持つ林佐紀さんにお話を伺いました。

安全より水と電気を

【辻】
2017年にJICAの中小企業向け海外展開支援プログラムを使って、太陽光で蓄電し夜間発光する道路鋲をタンザニアに導入するための調査を行いました。
地方にも行ったのですが、その時に地元の人から「交通安全も大事だけれど、まずは生活ができるように、安全で手に入りやすい水と電気が欲しい」と言われて、「確かにその通りだな」と思いました。
私は自社製品の開発担当者でもあったので、自社技術であればその課題を解決できるとすぐに想像がつきました。
ですので、帰国して手作りでソーラー充電器を作って、次の出張の際、その村の人に見せたんです。
大絶賛でした。

アフリカの貧しい国では電気インフラが整備されておらず、無電化の地域があります。
無電化地域では、太陽光でつくった電気をバッテリーに蓄電し、バッテリーから充電して家電製品を使います。
しかし、バッテリーは高価なので、貧しい人々は買うことができないだろうと簡単に予想できました。
そこで、自社技術ならこの問題を解決できると思い、バッテリーに蓄電しなくても、太陽光でつくった電気を家電製品に充電できるバッテリーの無いソーラー充電器を開発しました。

【林】
この充電器は月額いくらと決めて、キオスクのオーナー(もしくは村長など)に貸し出しています。
つまり、サブスクです。
充電器の販売、月額使用料の回収(電子マネー)、修理・メンテナンスなどは現地パートナーに任せています。
そして、キオスクオーナーはこの充電器を使い地元の人に充電サービスを提供しています。
充電サービス料金はオーナーたちの自由で私たちは関与しません。
オーナーが現地パートナーに使用料を払えなくなったらサブスクを停止させますが、オーナーにとってもすぐに利益が出るくらいの月額使用料です。

【辻】
このサブスク事業の利益は今のところそれほど大きくありません。
そのため、現地でパートナーが当社の新規事業を始めるための準備資金源にしてもらっています。

自社技術とビジネスで現地課題の解決を

【辻】
私は最初からアフリカ事業をやりたいと思っていた訳ではありません。
「自社の技術を世の中に広めたい。それが世のためになったらより嬉しい」と思っていました。
それが合っていたのがアフリカだったということです。

【林】
海外協力隊でニジェールにいた時、素晴らしい経験でしたけど、期限と資金に限りがあり、また支援する側とされる側が対等では無いと感じていました。
アフリカからはたくさんのことを学ばせてもらいました。
恩返しがしたくて。
アフリカ人と対等な立場でビジネスがしたい。
その望みを叶えたくて入社しました。
自分がつくった製品を現地の人に使ってもらうことができる。
この上ない喜びです。

SDGsビジネスを始めたのではなく、やってきたことがSDGsに入っていた

【林】
日本で一般的にSDGsが知られるようになって、SDGsについての問い合わせを受けることが多くなりました。
ですが、SDGsを意識してアフリカ事業を実施してきた訳ではありません。

【辻】
「自社の技術で現地の課題を解決したい」。
そう思って取り組んできたことが、SDGsに含まれていた、そんな感じです。

【PREX奥村】
自社技術を用いて現地課題を解決する現在の同社。
しかし、進出を考えた1度目は失敗しました。
何が必要だったのか。次の記事でお話いただいています。

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インタビュー記事2:信頼できるビジネスパートナーを探せ

  • 掲載日:2022年11月5日
  • 企業名:辻プラスチック株式会社
  • 氏名:PREX奥村