より実り多い研修を目指して/JICA中小企業振興のための金融及び技術支援研修 (2013年3月)
2013年度中小企業振興のための金融及び技術支援(B)コースが2013年10月9日~11月8日に実施されました。目的は中小企業政策(主に金融・技術支援)実施の際の留意点について情報を整理し、帰国後所属機関に提案する中小企業振興のための行動案を作成です。
今回は特にこの行動案(アクションプラン)の作成のプロセスに改善を加えた研修を実施しました。
中小企業振興政策のコースとは
中小企業振興の研修には2コースが設定されています。
一つは中小企業振興政策でもう一つがこの中小企業振興のための金融及び技術支援になります。
後者は金融、技術の支援内容が追加されたもので1週間長く5週間で実施しています。
今回の中小企業振興のための金融及び技術支援コースの目的
本研修の対象国はタジキスタン、エチオピア、カメルーン、ソロモン諸島、ブータン、モルドバ、モンゴル、モンテネグロ、レバノン、ヨルダン10カ国10名で実施しました。
開発途上国では、中小企業の育成、振興が重要な課題として認識されています。
中小企業の振興には、雇用の増大、国家財政・国際収支の改善等の効果が期待されており、日本で中小企業振興における事例を学びたいというニーズが増大しています。
本セミナーは、日本の中小企業振興政策・施策に関する知識を習得し、帰国後、その成果を参加者の所属する組織と共有することによって、中小企業政策(主に金融・技術支援)実施の際の留意点について情報を整理し、帰国後所属機関に提案する中小企業振興のための行動案(アクションプラン)を作成することを目的としています。
アクションプランのポイント
研修員は来日前に自国における中小企業振興における問題点をレポートに書き提出します。
その課題に対し日本で学んだことでアクションプランを作成できればいいのですが、学ぶ情報が多く、どうしても印象の強いテーマになりがちでした。
そこで日本で学ぶ中小企業振興政策・施策に関する知識を「自国へ適用する必要があるか」「自国にその政策・施策はあるか、存在しても十分に機能しているか不十分か」で、メモできるアクションプランテーマ選定シートを用意しました。
このシートは研修中のすべての訪問、講義の内容が網羅されており、それぞれにつき、自国への適用の必要度がメモできる様式になっています。
研修が進むに連れて研修員は、自国における問題点と日本で学んだ中小企業振興政策・施策の自国への適用の必要度とを勘案してアクションプランのテーマを選ぶことができました。
アクションプランの完成度
適切なテーマが選ばれることで、アクションプランの実現可能性が高まったと思います。
研修員は帰国後所属機関で決裁をとり、アクションプランを実行します。
従来より説得力のあるアクションプランができたと思いますので、1年後の進展が楽しみです。
TOPIC 研修を担当して
アクションプランテーマ選定シート
このアクションプランテーマ選定シートの作成には労力を要しました。
研修テキストが出来あがったときに読み込み、必要なサブジェクトを抜き出し、シートに転記します。それを研修員に配布して使用してもらいます。
研修テキストの出来上がりが、どうしても研修当日の間近になりますので、配布がぎりぎりになり、研修員を圧迫させたかも?と反省しておりました。
でも、最終の研修の評価会で研修員から、あのシートはとても整理されていて、理解を深めるのに役立った、われわれとしても記入するのは大変だったが、とても有用なものであった、とコメントされたとき、ほっと胸を撫で下ろしました。
ケーススタディ
政策担当の行政官は、中小企業の経営につき全般的な知識は身につけているべき、そして中小企業支援機関の業務は概ね理解しているべき、という思いでそれぞれにつきケーススタディを実施しまた。
どちらも2グループに分け、片方は申請者、もう一方は承認者の立場で、ヒアリングと決定のプロセスを体験しました。
ビジネスプランをはじめて作ったという研修員がほとんどで、こういったケーススタディィの必要性を痛感しました。
国際交流部 森
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
阪南大学経営情報学部、中小企業庁、中小企業基盤整備機構、日本政策金融公庫国民生活事業本部、東京信用保証協会、近畿経済産業局、大阪商業大学 総合経営学部、大阪産業振興機構、株式会社 図羅、守口門真商工会議所、京都産業21、川並鉄工、国際協力機構産業開発・公共政策部 兼 中小企業支援室、歴史街道推進協議会、フジ矢、京都市産業技術研究所、清水電設工業、中小企業基盤整備機構近畿、今西酒造、ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)、北斗電子工業、大阪産業創造館、松下幸之助歴史館、大阪中小企業診断士協会