研修員から見た日本の中小企業(2016年8月)
ずっと続く強い中小企業に感動
今回の研修では企業訪問、特に(株)樽正本店への訪問が印象に残っています。
阪神 淡路大震災によってできたばかりの工場が全壊し、経営の危機に陥ったものの、補助金を積極的に利用した新製品の開発などによって経営を立て直したと伺いました。
100年近く続いている老舗であり、伝統的な面を大切にしながら「伝統を今に生かす」という理念で事業を行っており、これからもずっと続いていく強い中小企業であると感動しました。
中小企業は一つのチーム
日本の中小企業では、社員一人一人が一生懸命働いていることが素晴らしいと思いました。
企業訪問を通して、経営陣だけではなく、社員全員が会社のことを考えて高いモチベーションと責任をもって仕事をしていると感じました。
社員一人一人がアイディアを持ち寄ったり、情報を共有したりして働いている姿が印象に残っています。
また、相手に対して尊敬や思いやりの気持ちをもって接していることも日本の素晴らしさだと感じました。
小林職員のコメント:
「アルゼンチンやモンゴルには、資金面や競争力のある商品開発に課題を抱えている企業が多くあるそうです。」
コミュニケーションで中小企業を支えるMOBIO
研修で訪問したどの企業、団体、行政機関でも、大変参考になるお話を聞くことができました。
その中でも特に印象的だった訪問先の一つがMOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)です。
MOBIOの取り組み、特にMOBIO-CAFEは簡単に導入できて、かつとても有益な取り組みだと思います。
中小企業が「モノを売ること」をただ支援するだけではなく、いろいろな業種の人々との出会いをつくる取り組みを通じて、中小企業を支援する点が良いと思います。
亀田職員のコメント:
「研修員の皆さんの国が共通で抱える中小企業支援の課題の一つに、企業と行政のコミュニケーション不足があります。研修で学んだ日本の中小企業支援は、コミュニケーションを重視したものが多くありました。中でもM O BIO の取り組みは、場所を提供して企業に来てもらうことで、企業と行政のコミュニケーション不足の解消にもつながると皆さん熱心に話を聞いていました。」
「経営理念」を浸透させたい
日前の私は、なぜモンゴル企業からは日本企業のように世界の経営モデルが生まれていないのかと疑問を抱いていました。
3週間の日本での講義や企業訪問を通して、モンゴルの企業が抱える真の問題を見つけることができました。
それは、経営理念が従業員まで十分に周知されず、従業員が業務の意義を認識できていないということです。
訪問した多くの日本企業では、社長のみならず従業員も経営理念を非常に大切にし、従業員の働く姿勢に良い影響を与えていました。
モンゴルに帰国後は、わが社の「お客様に心のこもった商品を届ける」という経営哲学を社内に浸透させていきたいと強く思いました。
そして、モンゴル発の経営のモデル企業になれるよう精進していきます。
カイゼンと人の育成が結びついた経営
私の企業では数年に亘り5S活動を実行してきましたが、長期的に定着・継続させることが課題となっています。
(株)タナカテックへの訪問は、継続的なカイゼン活動を実施していく上で大変参考になりました。
タナカテックでは、カイゼンと人材育成が密接に結びついており、従業員がカイゼンの目的を理解して自主性を発揮していました。
特に、3S(整理・整頓・清掃)の徹底した実践によりカイゼンを習慣づけていたことは、とても印象に残っています。
わが社でも、3S活動を定着させることから始め、従業員が目的を認識して率先的してカイゼン活動を行うしくみを作っていきたいと考えています。
藤田職員のコメント:
「約5カ月間モンゴル日本センターで日本的経営を学んできた研修員の皆さんは、来日前から品質管理やカイゼン活動に力を注いできました。しかし、顧客のニーズへの対応という成果に結びついていないことが課題でした。今回の研修を通じて経営を向上させるためのノウハウとリーダーシップについて吸収しようと、日本の経営者と活発に議論をしていました。」