大阪府の経験を活かしてベトナムのものづくり人材を育成 JICA草の根事業大阪府・ドンナイ省のものづくり人材育成(2015年6月)
大阪府との連携で、2014 年度からスタートしたベトナムの「ドンナイ省におけるものづくり人材育成事業」は、ドンナイ省の職業訓練機関2 校をモデル校として、日系企業ニーズを反映した教育カリキュラム改善、指導担当教員の能力強化のため、3 ヵ年継続して日本側とドンナイ省関係者の間で、専門家派遣や訪日研修、またインターネットを通じた情報共有・確認などで事業を推進します。
「JICA 草の根技術協力事業」の「地域経済活性化」枠を活用し、ベトナムでの課題解決や地域間の交流のみならず、提案自治体である大阪府を中心とした関西の地域経済活性化に繋がることを目指します。
第2 年次となる今年度は、専門家派遣(2 回)と訪日研修(1 回)を計画しています。
ドンナイ省に進出する中小企業の「人材」の問題解決のために
ベトナムへ展開する関西の中小企業にとって、人材の確保や育成が課題となっていることから、当事業では3 年間で
- 現地に展開する日系企業のニーズに応える人材育成のためのカリキュラムづくり
- 大阪府における工科(工業)高校や工業高等専門学校(高専)でのものづくり人材育成手法のベトナムの職業訓練機関への移植
- 現地に展開する日系企業のニーズを継続的に人材育成の現場に反映できるような、企業と教育機関の間での関係の構築
を目指します。
具体的には、ドンナイ省の教育機関2 校(ラックホン大学とロンタイン・ヌンチャック職業訓練短大)をモデル校として、①企業経営者による講話と工場見学② 3S・5S の取り組み ③安全教育 ④現場で必要な日本語を教育カリキュラムとして実施するとともに、それぞれの学校に日本企業の現場や安全意識を体感できる「模擬生産現場」「安全体験室」を設置することで、実践的な「生産現場基礎力」を身につけた人材の養成を目標とします。
日系進出企業と現地教育機関との関係構築
事業の推進には、ドンナイ省に進出する日系企業との関係づくりが不可欠です。
また3 年間の事業終了後も、日系企業の声を聞きカリキュラムを改善するとともに、モデル校での教育を修了した学生が現地に展開する日系企業に就業できるような、教育機関・日系企業間の関係を維持し続けるため「事業推進委員会」を立ち上げます。
委員会は本事業に協力意志のあるドンナイ省進出の日系企業、ドンナイ省側のカウンターパートであるDIZA(ドンナイ省工業団地管理局)、モデル校2 校および日本側の専門家・PREX で構成され、日系ものづくり中小企業がカリキュラムの運用・改善へ継続的に関与してもらう場とします。
大阪府の協力、頼もしい専門家の面々
提案段階から、大阪府ものづくり支援課の領家参事(当時)には、ドンナイ省に展開する関西の中小企業のために何ができるかという視点で多くの知見やネットワークを提供してもらい、ベトナム側のDIZA やモデル校の皆さん、そして日本側専門家も多くの刺激を頂いています。
また、大阪府立高専の土井先生、淀川工科高校の木村先生からは、日本のものづくりを支えた人材育成の仕組みをドンナイ省のモデル校に紹介するとともに、ベトナムと大阪の学校との交流の場も作って頂いています。
さらに今年度からはハノイ工業大学で技能者育成支援プロジェクトを推進されていた森先生という心強い専門家にも加わっていただき、日系企業と教育機関、DIZA の3 者間での関係強化と教育機関での具体的なカリキュラムづくりを推進していきます。
国際交流部 瀬戸口