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PREXグローバルネットワーク 中央アジアフォローアップセミナー <2023年10月>

ソビエト崩壊から7年ほど経った1997年、PREXでの中央アジア対象研修がスタートしました。そして現在に至るまで、訪日・現地・オンライン研修合わせて1500名近い方がPREXの研修に参加しました。

その間、中央アジア各国での同窓会やオンラインでのフォローアップセミナーを通じ、各国の同窓生の皆さんが繋がりをつくる機会を設けてきました。そして今年は昨年に続きオンラインにて中央アジアのPREXグローバルネットワーク(PREXの同窓生組織)のメンバーを対象に、フォローアップセミナーを実施しました。

 

実は昨年のセミナー開催時、こんな願いを抱いていました。

「世界情勢の混乱が続く中、ロシア語圏の国境を超えた、個々人の顔が見える関係性を大切にしたい。今後、ウクライナやロシアの方々も参画できるようになってほしい。」

(昨年度フォローアップセミナー研修レポート:https://www.prex-hrd.or.jp/prex_island/7239/

2022年2月から続くウクライナへの軍事侵攻。先が見えない中、今年のセミナーはどのような雰囲気になるのだろう。一抹の不安を抱えながら迎えた当日、この願いが形になった姿を目にすることができたのです。

 

当日は、ロシア出身のアンドレイ・ベロフ氏(福井県立大学教授)と、ウズベキスタン出身の起業家であり世田谷区議会議員でもあるオルズグル氏(合同会社Y COMPANY代表)に話題提供者として参加いただきました。

ベロフ氏からは今年の干支である卯(うさぎ:rabbit)になぞらえてR(Russia:ロシア)、A(Allies:同盟国)、B(Bank of Japan:日本銀行)、I(Inflation:インフレ)、T(Taxes:税金)の五つの切り口で、現在の日本経済についてご説明いただきました。

次にオルズグル氏からは、14歳で大学の日本学科に入学、その後家計を支えるために日本語通訳や観光ガイドの仕事をしながら大学院を卒業、来日後の就職活動では53社に断られて54社目にして就職が決まったご苦労、そして現在のワインバーの経営や、区議会議員に立候補した経緯などを、情熱を込めて語っていただきました。

そしてお二人のお話を受けて、参加者同士の自己紹介と意見交換を行いました。

参加者の皆さんはオルズグル氏のお話に深い感銘を受けた様子で、「今から経営者の集まりがあるので、ぜひこのお話を伝えたい。人生でチャレンジすることは大事。人が何と言おうとやるべきだ。このような機会を通じた成功体験の共有も大切だ。」といったコメントも聞かれました。

また今回、2015年の研修で来日したウクライナの同窓生も参加してくれました。この方はZoom入室直後、来日時に研修講師をされたベロフ氏に挨拶したいと望まれ、お二人は再会をとても喜ばれていました。

昨年描いた「世界情勢の混乱が続く中、ロシア語圏の国境を超えた、個々人の顔が見える関係性を大切にしたい。今後、ウクライナやロシアの方々も参画できるようになってほしい。」

という思いが、図らずも、中央アジア各国、ウクライナ、ロシアという国境を越え、小さいけれど形になった瞬間でした。
そして、「日本から学ぶ」という形だけでなく、経験や情熱を持ち寄って語り合うこと、また再会を喜び合うことも同窓生の皆さんの背中を押すことになるのだということを気づかされる機会でもありました。

今後もPREXは、PREXグローバルネットワークメンバー間の「顔が見える」関係性を大切にし、それぞれの体験を共有する機会をつくり続けていきたいと思います。

2023年度PREXグローバルネットワーク 中央アジアフォローアップセミナー

★日程 2023年10月30日
★参加者 PREXグローバルネットワークメンバー 4か国7名
★参加国 カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、ウクライナ
★話題提供者(敬称略 順不同)
〇福井県立大学 経済学部教授 アンドレイ・ベロフ氏
〇合同会社Y COMPANY代表​/世田谷区議会議員 オルズグル氏

    

(担当:瀬戸口・髙山 2023年12月13日掲載)

*本研修に関するお問い合わせは、こちらへお願いします。
prexhrd-pr@prex-hrd.or.jp