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ドンナイ省ものづくり人材育成(2018年4月)

研修の成果:ドンナイ省ものづくり人材育成 /ベトナムの次代を担う人材を。

PREXは、2014年度からベトナム・ドンナイ省で、「ベトナム国ドンナイ省における『ものづくり』人材育成事業」を実施してきました。
3Sおよび安全の基礎など日本型ものづくりの知識と実施手法を理解し、「現場基礎力」を有した製造現場のリーダーを育てることを目的とした事業です。
これらのテーマを日本の高専や工科高校のような「参加型、体験型」授業で学べるように、ラックホン大学(電気・電子科)とドンナイ高度技術職業訓練短大(電気・電子科、機械科)の先生方を対象に3Sと安全を学ぶカリキュラムの整備や教員の育成を行いました。
窓口となるのはドンナイ省工業団地管理局(DIZA)です。
専門家として指導いただいたのは、大阪府立大学工業高等専門学校教授・土井智晴氏、大阪府・元JICAドンナイ省ものづくり人材育成事業家・領家誠氏、元JICA長期専門家・森純一氏、元大阪府立淀川工科高等学校非常勤講師・木村千良氏です。

2014年度から3年間はJICA草の根技術協力事業として、2017年度は経済産業省近畿経済産業局の事業の一部としてAOTSの支援を受けて実施し、4年間で専門家派遣7回と日本での研修を3回行いました。
この間さまざまな成果が出ていることから、今年度からはドンナイ省人民委員会の予算で2年間、事業が継続されます。
写真は、3Sと安全を学ぶカリキュラムの指導により生じた学校の変化ですが、今ではベトナムの先生方や学生の3Sと安全に対する意識と理解が深まり、学ぶ環境を自ら改善しています。
ラックホン大学や短大で、3S、安全の考え方を身につけた学生が、将来日系企業に就職し、少しでも早く、スムーズに現場で活躍できることが、このプロジェクトの大きな目標です。
この事業の成果をドンナイ省および周辺に展開している日系企業のみなさんに活用いただくことを願っています。

スタッフの声:ドンナイ省ものづくり人材育成 /このプロジェクトが成功している理由。

このプロジェクト担当の関野です。
4年にわたり日本の専門家とドンナイ省の大学と短大の先生が互いに行き交い、共にプロジェクトを進めてきたことで、相互に強い信頼関係を築くことができました。
この信頼関係があったからこそ、このプロジェクトは、さまざまな成果をあげることができたと考えています。
一番嬉しく思うのは、ベトナムの先生たちが、「自分たちが考え、自分たちで進めていかなければならない」と気づき、大学や短大での教え方や教材を自分たちでどんどん工夫していくようになったことです。
日本の専門家の先生方も、日本の経験を一方的に押しつけるのではなく、ベトナムの先生方が自発的に考え、動き出すことを待つ、懐の深い方ばかりでした。
これらが、ベトナムの先生方との信頼関係を築けた大きな理由だと思います。
ベトナムと日本、双方の先生方には本当に感謝しています。
また、ベトナムの先生からはこんな声をいただきました。
「プロジェクトが始まったばかりのとき、日本の専門家の方に『カリキュラムの構成や教材内容を教えてください、0から開発するよりそのほうが少ない労力で新しい授業を組み立てられます』とお願いしました。すると、専門家から『魚の釣り方をお教えするのは簡単ですが、魚を捕まえるのはみなさんです。自分たちで考えるからこそ、本当の力になるのだと思いませんか』と言われました。この言葉から、われわれの4年間がスタートしたのだと思います。日本の専門家の方々の指導を受けつつ、一歩一歩プロジェクトを進めていけることに感謝しています。」

PREX国際交流部 関野

プロジェクト当初から一緒に働いているベトナムの関係者 左から、ドンナイ高度職業訓練短大のBAC先生、DUC校長先生、DIZA・関西デスクご担当のDUC氏(一番左は事務局 関野)

プロジェクト当初から一緒に働いているベトナムの関係者
左から、ドンナイ高度職業訓練短大のBAC先生、DUC校長先生、DIZA・関西デスクご担当のDUC氏(一番左は事務局 関野)