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研修参加者の学びを集結した事例分析/JICA中米地域官民パートナーシップによる地域産業振興研修(2010年8月実施)


本研修では、徳島県上勝町の「いろどり」や奈良市の「清澄の里 粟」をはじめ特徴的かつ革新的な地域産業振興に取り組む地域を訪問し、その活動を支えるキーパーソンの情熱や信念から多くのことを学びます。
今年度は、各研修員が、事例から学び取ったことや感動を研修員間で共有するため、研修員間の情報共有ディスカッションの時間を研修の前半と後半の2回設け、それぞれ前半の事例、後半の事例について分析しました。
その中の一つ、京都の日吉屋の事例分析レポートから一部抜粋して紹介します。

国際交流部 コースリーダー 髙山真由子

日吉屋の事例分析を発表するエルサルバドルの研修員。

日吉屋の事例分析を発表するエルサルバドルの研修員。


研修員の事例分析レポートより
伝統は革新の連続:日吉屋(京都市上京区)

レポート①

1.日吉屋への訪問の目的は、同社の伝統産業の付加価値化と市場拡大への取り組みと、行政支援が果たした役割を理解することである。

レポート②

2.日吉屋は江戸時代創業で150年続く京和傘の老舗企業である。和傘は元来魔除けや権威の象徴であった。
しかし西洋文化が取り入れられるに従い和傘の需要は激減し茶道を嗜む人など一部の人にのみ使われるものとなっていった。
京都での製造会社も200社ほどあったのが日吉屋1社となった。

レポート③

3.2006年、従来の京和傘の技術と経験を活かした新たな製品「古都里(KOTORI)」を開発した。

レポート④

4.中小企業庁の支援を得て海外見本市に出展した。
日本古来の文化をふまえた独自の製品は海外市場において高く評価され、マスメディアをひきつけた。
マスメディアを通じて潜在顧客の開発が可能である。
広報についてはコストをかけずにマスメディアに取り上げてもらうという、驚くべき、ユニークで独自の新しい方法で行っている。

5.日吉屋の強みとしては、日本の伝統文化に付加価値を加えた品質の高い製品であること、購買力の高い潜在顧客がいること、伝統産業でありながらIT技術を利用しオンラインでも販売を行っていることなどが挙げられる。
中米諸国に活かすべき視点としては、伝統に付加価値をつけた新たな独自の使いやすい製品を開発するということである。
伝統、文化、歴史、自然資源などの地域資源を活用して市場の要求に合う製品を作るということが大切である。
またお金をかけずに広報の手段を作り出すということも重要である。
日吉屋は伝統産業の付加価値化により新たな製品を開発している素晴らしい事例である。


研修名
中米地域官民パートナーシップによる地域産業振興
実施期間
2010.8.30(月)~9.17(金)
研修参加者
中米3カ国(エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア)で地域産業振興に携わる行政官と重点産業の協同組合および商工会議所の幹部7名
委託元機関
独立行政法人国際協力機構(JICA)大阪国際センター
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
奈良県立大学 村田教授、近畿経済産業局、兵庫県商工会連合会、三田市役所、三田市商工会、志門特許商標事務所 下田弁理士、日乃本食産、つくしの里、三田屋本店、美郷商工会、徳島県上勝町役場、いろどり、日吉屋、永楽屋、Y.B.C.山脇ビジネス・コンサルティング 山脇代表、工房街道推進協議会、中尾農園、清澄の里 粟、天理市役所