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実用的といふこと- PREX Island

PREXスタッフ
スタッフコラム 山口

 英語以外の言語を勉強する場合、その言語を選択する理由にはどういうものが考えられるか。

 その国が好きだから、その国に行きたい、その言語の歌を歌いたい、等々「好き」という理由にも色々なバリエーションが考えられますが、実用性も大きな理由になるかと思います。いくら「好き」の理由が強くても、実用性のまったくない言語は選ばないかと思います。実用性というのは乱暴に言い換えると、使用人口の多さです。

 つまりは、「使う機会が多い」という直接的な理由です。私の場合は 大学の第二外国語で中国語を選択しましたが、ではなぜ中国語だったかというと、それは「単位が取りやすい」という専らの評判の外、もともと漢詩や古文が好きだったということがあります。国語が、日本語が好きなので、ルーツであるそれらも好きになるわけです。しかし、やはり中国語は使用人口が多いし、当時これから中国が発展して行くという期待もあったと思います。つまり、実用性という理由も大きかった。

 果たして、就職してからは、会社から上海に留学させてもらい、帰ってきて半年ぐらい後には、上海に駐在することになりました。帰国後も海外営業の仕事に就き、また、シンガポールにプロジェクトで長期滞在することにもなったし、台湾に支店を設立して駐在することにもなりました。中国語を勉強したことが業務で非常に役に立ったと言えます。実用的でした。

 と、この話、実用性が高い言語を学べという、そういう結論になるのか?と思われそうですが、実は違います。ここからが本題で、かなり歳上の私の友人で数年前に病気で亡くなった方がいます。彼は自分の死期がわかり、残された生を全うするために何をしようかと考えて、ラテン語の勉強を始めたのです。なぜラテン語かというと、残りの人生できるだけ意味のないことに費やそうと考えたとのこと。まったく実用性のないことをしようと。それで ラテン語を一生懸命勉強し始めたらそのラテン語の勉強が面白くて仕方がなくなった、というポストで彼の Facebook のタイムラインが更新されなくなっています。

 私も定年後に何をしようかと考えた時に何か実用的でないこと、意味のないことをしたいと思っています。それは語学に限りませんが。と、こう考えながらまだしばらくは業務に勤しみます。

  • 掲載日:2024年12月24日
  • 氏名:PREX山口
  • 役職・職名:国際交流部