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「見えない利益」を生み出す仕組みを。- PREX Island

日本企業の方々
インタビュー②:ヒグチ鋼管株式会社 山本氏、武田氏

ヒグチ鋼管株式会社(パイプ加工事業、大阪市平野区) 代表取締役 樋口 浩邦氏とベトナム人従業員の皆さん

 

ベトナム人の従業員とよい関係を築けている理由は?

ヒグチ鋼管株式会社の山本です。
弊社では、毎日15分、就業時間中に日本語教室を行っています。
今、参加しているのは18人。
一つのグループは日本人が教え、もう一つのグループは日本語の得意なベトナム人従業員が、まだ日本に来て間もない従業員を教えています。
テキストは、日本語検定合格に向けたものです。
日本語の得意なベトナム人従業員は、「教える」ことで、より高いレベルの日本語検定に合格できます。
日本語教室は3年前にスタートしましたが、それまではベトナム人従業員が増え、仕事をする中で真の意図やニュアンスが伝わらないという問題をずっと抱えていました。
安全面でも、私たちは何が危ないか伝えているつもりでしたが、日本語が理解できていないことから事故につながった事例もありました。
個人へのその時その時の対処療法では、あくまで応急処置になってしまいます。
それなら仕事の時間を使ってでも、全員に基礎から勉強してもらおうと考え、テキストをそろえ、環境を整えました。
その結果仕事の上でのミスは減り、「見えない利益」につながりました。
伝わらないことで話す時間が毎日かかり、その時間をトータルするといくらになるかということを考えると、見えない利益は大きいと思います。
効果は、チームワークや生産性、カイゼン、すべてにプラスになりました。
マイナス面はひとつもありません。

もう一つ、ヒグチ鋼管がベトナム人従業員とよい関係を築けている理由は、会社とベトナム人従業員の架け橋となるキーマンがいることです。
書類関係、組合対応、制度など事務的なことは自分が見ていますし、武田さんが、ベトナム人従業員の兄貴分的な存在で、採用から相談までベトナム人従業員のあらゆる面倒をみています。
日本にいるベトナム人が増えており、ベトナム人従業員は、他社の待遇や状況などの情報が自然と耳に入ってきて、自分の置かれている状況と比べるようになっています。
そうするとベトナム人従業員は「転職したい」「もっと待遇のいい会社があるのでは?」といった要望や不安を持つようになります。
武田さんはベトナム語が話せ、ベトナム語で「他は他、うちはうちの考えがある」と納得させてくれる力があります。
丁寧に、優しく、時には厳しく、相談にのってくれています。

 

 

ベトナム人従業員との間に、笑顔の架け橋を。

ヒグチ鋼管株式会社の武田です。
弊社には、とても素直でいい従業員ばかり働いてくれています。
採用の際には、「一緒に働きたい人」を採用しています。
みんなきちんと挨拶できるし、何も言わなくてもやるべきことをやってくれます。
「挨拶」は、簡単なことと思うかもしれませんが、コミュニケーションの基本でとても大切なことです。
ベトナム人従業員は何か聞かれたら、よくわからなくても「はい」と答えます。
実際は、わかっていないことが多いです。
日本語教室で輪になって先輩が後輩を教えるしくみができたことで、うちのベトナム人従業員は、工場の中でも「わからなくても恥ずかしくない」、「間違ったことを言ってもいい」という気持ちを持てるようになりました。
ベトナム人従業員と日本人社員がよい関係で仕事をするために普段心掛けているのは「笑顔」です。
笑うことによって周りが明るくなり、人が集まってきます。

 

  • 掲載日:2024年1月17日
  • 企業名:ヒグチ鋼管株式会社
  • 氏名:山本氏、武田氏