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日本企業の方々
テクノグローバル株式会社 代表取締役 高田 弘之氏

テクノグローバル株式会社 代表取締役 高田 弘之氏

代表取締役 高田 弘之氏

テクノグローバル株式会社 [ 大阪府八尾市]
従業員数:16 名/資本金:600 万円/売上:2億2,000 万円/
海外工場 テクノグローバルベトナム ドンナイ工場・ホーチミン工場
プラスチック製品の設計支援、試作金型・量産金型の製造及び成形等を行う。
2006 年設立。2014 年ベトナムドンナイ省に新会社設立。
10 月にはベトナムホーチミン交通大学にて工場 増設。


第1回ベトナム人社員向け管理者養成研修に、社員のクオンさんと一緒に参加された高田社長に、ベトナム展開と人材育成の状況、そして研修の評価についてお話をうかがいました。

<▼PREX 瀬戸口>

ベトナムのホーチミン交通大学にあるテクノグローバル社では、研修に参加されたクオンさんが活躍されているとお聞きしています。
今日は帰国中のクオンさんにお会いできるのも楽しみにしてまいりました。
まず御社の海外展開の状況や研修後のクオンさんの様子について教えてください。

<▼高田社長>

金型の技術が求められるベトナム

ベトナムには中古の設備が多いため、日本だと問題なく成形できる金型でもうまく成形できないことがよくあります。
そこで日本以上に精度の高い金型が求められます。
また、金型の修理が必要な場合もよくあります。
金型は20 年30 年と経験を積まなければ精度の高いものは製造できないものです。
クオンの金型製造や修理の経験は7 年ですが、技術力には定評があり、ベトナムでさまざまな金型の修理も行っています。
日本で廃業したベテランの金型職人の技術指導もあり、ベトナム工場は日系企業からの受注も順調に伸びています。

ベトナム人クオンさんとの出会い

ベトナム展開の経験を振り返ると、まずクオンとの出会いが大きかったです。
私自身は、金型製造の仕事で30 年程前から、製造委託の形で台湾、韓国、中国など海外とのつながりがありました。
5 年ほど前からベトナム展開について検討するようになり、金型の技術を持つベトナム人として、クオンを採用しました。
彼は既に大阪の金型メーカーで3 年間の経験があり、そこが廃業したため、新たな働き先を探しているところでした。
ちょうど家庭を持ち赤ちゃんも生まれたばかりでしたから、安定した日本企業で働きたいと思っていたようです。
タイミングよく当社に入社してくれたクオンは、技術力が高く、ゆくゆくはベトナム工場のリーダーに育てたいと思うようになりました。
一方で日本のビジネス習慣や日本人の考え方にはなかなか馴染めないようでした。
そんなとき、偶然PREX の「ベトナム人社員向け管理者養成研修」を紹介され、クオンと二人で参加することにしました。

二人で考え、学んだ2 週間

研修に参加したのは、クオンを採用してから2 年が経過していた頃ですが、製造や技術に関することは話をしていても、企業の経営や組織運営についての話はほとんどしていませんでした。
お互いの考え方も充分理解しあえていなかったと思います。
PREX の研修を二人で受講し、同じ講義を受け他の受講生と共に意見交換する中で、彼の考え方を理解し、信頼関係を築けたことは大きな成果でした。
ベトナム工場のリーダーを任せられるかどうかも、見極められたと思っています。
研修を終え、「クオンは変わった。こんなに変われるとは!」と社員みんなも驚いています。
2014 年8 月、研修の翌週にベトナムの工場を操業させました。
クオンは3S 活動に取り組み、ベトナムの現地従業員にも厳しく指導しています。
ただ、今は、ベトナムの現地従業員に何をどう教えたらいいのか悩んでいるようです。
彼が研修で学んだ改善や品質管理等を教えようとすると、現地の従業員は厳しいと感じるようで、辞める人もいました。
厳しい面もありますが、彼がいるとベトナム工場は引き締まりありがたいと思っています。

ベトナムでの経営は「ベトナム人」に!

ベトナムでのビジネスには人脈が重要です。
クオンがいることで、役所や地域との人脈を使って会社のさまざまな案件を進めてくれています。
海外で仕事をする場合、どの企業でも同じだと思いますが、現地の人が代表をするのが一番だと思います。
中国もベトナムも人材が不足しているので日本企業が指導する期間が必要でしょうが、会社を円滑に動かすためには、最終的には現地の人に任せるのがいいと思います。
基盤を作り、資金を調達するところまではうまくいっても、人を管理し、育てるのが難しい。
生まれ育った環境、文化、価値観を理解しないまま日本人がしゃしゃり出て経営してうまくいっている企業はあまりありません。
いくら理解しているようでも育った環境、言葉の微妙なニュアンスなど壁があるのだと思います。
となると、私たち日本人が現地に行って、現地の社員を動かして会社をコントロールするのは難しいということになります。
大事なのは「人」の問題です。
ベトナム人を信用できないから任せられないと考えていると、人間関係はうまくいきません。
信頼できるベトナム人に経営を任せることが大切です。

研修中の中で三元ラセン管工業( 株) を訪問し、高嶋博代表取締役から従業員育成や従業員満足のお話をうかがった後、工場を見学したベトナム人社員クオンさんと高田社長。(2014 年8 月)

研修中の中で三元ラセン管工業( 株) を訪問し、高嶋博代表取締役から従業員育成や従業員満足のお話をうかがった後、工場を見学したベトナム人社員クオンさんと高田社長。(2014 年8 月)

クオンさんへの期待と信頼

ベトナム工場は内装を整備し、今の4 倍の機械設備を導入予定です。
投資の額が大きかったのですが、クオンと相談して決めました。
彼には数年後にはベトナムの社長として現地で働く従業員と共に頑張ってほしいと考えています。
クオンにはベトナムのリーダーとして現地で働いている社員にじっくりと仕事の仕方を教えてほしいと思います。
日本人のように自発的に改善に取り組んだり、仕事の幅を広げていこうとするベトナム人がなかなか出てこないのですが、かれらにも勉強の機会を与え、良い組織作りをしていってほしいと期待しています。


クオンさん:
PREX の研修で、日本企業の考えを自分では理解しましたが、実際にベトナムで学んだことを伝え理解してもらうのは難しいです。
ベトナムの社員は、日本人とは仕事に対する考え方が全く違います。部下ができて初めてその難しさに気づきました。
ステップアップに応じて、同じようなコースに参加して勉強できたらと思います。

〈高田社長からクオンさんへのメッセージ〉
これまでは、一人で質の高いものを作り、評価してもらえましたが、ベトナムでは部下をたくさん持ち社員を動かすことの大変さを実感しているでしょう。
人を動かす仕事の苦労は、実際にその場に立って初めてわかるもの。
今は、一歩一歩進めていく状況だと思いますから、一緒に頑張っていきたいと思います。

高田社長とクオンさん

高田社長とクオンさん


  • 掲載日:2016年4月25日
  • 氏名:高田 弘之氏
  • 役職・職名:テクノグローバル株式会社 代表取締役