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中華圏の音楽 ~台語歌(福建歌謡)- PREX Island

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スタッフコラム 山口

 世界の大衆音楽が好きで、特にアジアの音楽は大好物ですが、中華圏に長く住んでいたので、やはり一番好きな音楽というのが実はこれなのです。
 中華圏の言語の定義が難しくて、説明しづらいのですが、台湾語(閩南語)の歌謡曲のことです。シンガポールやマレーシアでは福建語(Hokkien)と呼んでいてほぼ同じ言語なのですが、いわゆる福建語には閩南語の他に閩北語等があり、これがまた全然別物なのでややこしい。台湾人に「福建語は?」と訊くと全くわからないと答えます。これは台湾に閩北語を話す福建人が多く来ているからだと思います。しかし、くどいですが、我々がイメージする福建語と台湾語は同じモノです。

 台湾ではこの台語歌(タイギコア)と呼ばれる台湾語の歌のマーケットがあり、元々はいわゆる演歌が主で、日本の演歌のカバーが多いけどもちろん優れたオリジナルもありました。シンガポールではほとんどは台湾から入ってきた台語歌をそのままシンガポールの歌手が歌っていましたが、少数ながらオリジナルも存在しました。


*写真はシンガポールの歌台のステージ(開演前)

 シンガポールでは歌台と呼ばれる野外ステージでの歌謡ショーがあって、これは元々お盆に帰って来るハングリーゴーストを迎えるために行われる宗教行事だったものが、日本の盆踊りのような大衆の娯楽となり、現在ではお盆に限らず年中あちこちの会場で行われています。同様のものがマレーシアにもあります。シンガポールではかなりの箇所の歌台会場を回りましたが、マレーシアのそれには行けず仕舞いでした。
 一方台湾では中元節(お盆)の行事は大々的に行われていますが、歌台のような歌謡ショーはなく台湾語の演歌も段々と廃れて来ているように感じます。しかし逆に台湾語のロックバンドはあるし、盛り返そうという動きは思い出したように出てきています。中華圏の一方言の音楽ではありますが、受け継がれていってほしいと願います。

  • 掲載日:2023年10月26日
  • 氏名:PREX山口
  • 役職・職名:国際交流部