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対談:2021年度 JICA中小企業振興のための経営強化(金融アクセス)研修を振り返って- PREX Island

日本の専門家PREXスタッフ
研修は9年でどう変わったか?

研修は9年でどう変わったか?

2021年度 JICA中小企業振興のための経営強化(金融アクセス)研修を振り返って

PREX 島田

PREXは、多くの先生方のご指導をいただきながら、長年にわたり開発途上国の中小企業振興に資する人材を育成するための研修事業を実施しています。
林先生には、2012年からJICA課題別研修「中小企業振興のための金融・技術支援」や「中小企業振興のための経営強化(金融アクセス)」などを指導いただきました。
林先生に担当いただいた研修には、9年間に、47か国・地域から163名が参加しています。
これまでを振り返って、お話をうかがいたいと思います。
思い出深かったエピソードはありますか?

大阪商業大学 総合経営学部 経営学科主任・教授  林 幸治 先生

9年の移り変わりを考えると、2012年頃はフィリピン、タイ、ベトナムなどアジアからの参加者が多かったですね。
それがだんだん西の方の国々、例えば、中東やアフリカからの研修参加が増えてきました。
アジアの国々が成長したのだと実感しています。
それに最近の研修員の皆さんは、各自ノートパソコンを持参されますよね。
これも当初は考えられなかったことです。
この研修でお伝えしていたのは、日本の中小企業振興のための制度についてですが、「信用保証制度」は2012年頃はどの研修参加者も「自国にない」状況でした。
しかしその後チリ、アルゼンチン、インド、フィリピンなど、「自国にもある」という国が増えてきている印象です。

PREX 山内

研修員からは、毎回「信用保証制度はとても参考になった。自分の国でも導入したい」という声を聞くので、その研修員が直接かかわっていなくても、どこかで研修の成果が形になっていると嬉しいですね。

PREX 島田

コロンビアの商工会議所からの研修員が、帰国後中小企業診断士制度を創設したとか、ナイジェリアの商工会議所の研修員が中小企業支援のワンストップセンターを作ったとか、帰国後の活躍の知らせがちらほらあります。
コロナ禍で、世界中の国々が大変な状況かもしれません。
だからこそ、この研修を受けた中小企業を支援する立場の帰国研修員の皆さんには「現場」を見に行って、自分たちにあった中小企業支援策を立ててほしいですね。

林先生

この9年間、研修員の悩みで変わらないのは、自国の中小企業の資金不足です。
研修では制度やシステム、教育の整備が必要ということを伝えていますが、「どうしたら日本から支援が受けられるのか」という質問は最後までありましたね。
とにかく私たちが研修を通じて一貫してお伝えしたかったのは、「世界には、それぞれの国の文化や考え方があり、それぞれに良さがある。日本はこんな状況か、ということを知りヒントにしてもらえるのがいい」ということでした。

PREX 島田

林先生がお考えになる「世界に伝えたい日本の魅力」はどんなことだとお感じですか?

林先生

「中小企業」が日本の強みだと思います。
日本の企業は99%以上が中小企業。
まさに、日本の経済を支えているのは中小企業です。
中小企業の頑張りがあってこそ日本の経済が成り立っています。
中小企業の技術力が高いからこそ、日本の商品は性能がよく評価を得ています。
コロナでも頑張っている企業が、この東大阪にもたくさんありますよ。

PREX 山内

研修員が日本に来てくれていると、バスに乗って支援機関や企業を訪問させていただきます。
「ここが大阪の中小企業が集まる東大阪ですよ」と説明しながら、住宅地の中にある町工場に到着します。
社員の皆さんに迎えてもらい、実際に工場の中を歩いて社長さんにお話を聞く。
そいういう空気感から、日本の中小企業の魅力を感じてもらってこそ、共感や感動があると思っています。

林先生

そうですね。
やはり研修に参加される方には、日本に来ていただいて日本ファンになってもらいたいです。
私自身は、世界の中小企業支援に携わる方々のバイタリティ、真摯さに、日本にはない活気を感じ教えていただいた9年間でした。
帰国研修員の皆さん、コロナ禍ですが頑張ってください。
応援しています。

  • 掲載日:2022年2月5日
  • 研修名:2021年度 JICA中小企業振興のための経営強化(金融アクセス)研修
  • 企業名:大阪商業大学
  • 氏名: 林 幸治氏
  • 役職・職名: 総合経営学部 経営学科主任・教授