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株式会社伍魚福(ごぎょふく)の「チーム経営」の秘訣と今、大切にしていることをお話します。- PREX Island

日本企業の方々
株式会社伍魚福の山中勧社長に「チーム経営」の秘訣や今、大切にしていることをお話いただきました。

帰国研修員から「従業員が辞めてしまう、昇給といったインセンティブがないと動いてくれない。社員のモチベーションを上げるには?」という悩みがよく聞かれます。山中社長は、どうお考えですか?

山中社長:
社員は、日々忙しくても「この仕事を何のためにやっているのか、誰が喜んでくれるのか」ということが、はっきり分かるとモチベーションが違ってきます。
そこをもっともっと突き詰めていくのが、経営者の宿命です。
伍魚福の場合だと、消費者や家族・友人が伍魚福の商品を喜ぶ姿、小売業や協力工場の人が、伍魚福の存在を喜んでいることを社員にフィードバックすることが大切。
仕事として存在する以上、喜ぶ人が必ずいるはずで、そこを見えるようにするのが経営者の役目だと考えています。
伍魚福は「神戸で一番おもしろい会社」を目指しています。
社員一人一人「おもしろい」切り口は違います。
目標を立てて達成したからおもしろい、成長を実感できるからおもしろい、人の役に立ってありがとうと言ってもらっておもしろい。自分なりの「おもしろい」の切り口を見つけてほしいと願っています。

山中社長が目指す「チーム経営」とは?

山中社長:
経営は、経営者が自分のキャラクターに応じたやり方でやるしかありません。
私自身、先代のようにワンマンで経営することはできませんでしたし、次の後継者に「俺と全く同じようにしろ」といってもできないでしょう。
私のキャラクターに合うやり方は、「ワンマン経営」ではなく、「チーム経営」でした。
社員に怒ることはありません。
「怖いから言わないでおこう」となるのは避けたいですし、私は、社員にそうさせている自分が悪いと思う性格です。
それは、伍魚福のためにそうしているというより、そういう性格だからそうしているということですが。
会社の仕事は、陸上競技の「バトンリレー」のようなもの。
例えば、日本の陸上「男子400メートルリレー」のチームは、一人一人は世界レベルから少し劣るかもしれません。
でも、バトンの渡し方が上手く、チームワークが良いので、オリンピックでメダルを獲得しています。
仕事も同じで、それぞれのポジションがベストを尽くして、次の人にバトンをわたす。 例えば「お客さんの声」というバトンを営業が社内に持って帰り、商品開発部や協力企業に渡して、小売業の方にもお世話になって、「商品」にして、お客さんに届ける。
バトンを途中で落とす人や、走るのが遅い人もいるでしょう。
でもチームメンバーが、お互いをフォローして、工夫をして、走り続けることが勝利につながります。
これは仕事も同じだと思います。
この時の、経営者は、「バトンを持って走る」役ではないです。
経営者は、みんなが走れるようグランド整備したり、外から応援したり、栄養補給する役割です。
昔の感覚だと、「俺がバトンを持って走ったるわ」と思うでしょうが、そうではないだろうと思っています。
理想は「自創経営」で、部門経営者を育て、セルフマネジメントできる人を育てることです。

山中社長は「経営品質向上」を経営の軸とし、お客様にも、従業員にとっても、従業員の家族にも、地域社会にも「おもしろい会社」を目指されていますが、「経営品質向上」に取り組まれたきっかけは?

山中社長:
地震のドタバタで、サラリーマンを辞めて、家業の伍魚福に戻りましたから、「経営」ってどうしたらいいのかわかりませんでした。MBAをとっておかないといけないかと思っていました。
手始めに「経営品質」の勉強をし始めてみると、MBAより働く人にモチベーションを持っておもしろく仕事をしてもらうことを大切にしたいと思うようになりました。
経営品質向上の経営革新に取り組み、それが認められて表彰を受けるようになり、外部から見学に来てくれる方も出てきました。
自分たちの会社のことを、自分たちがいい会社だと説明しても理解されませんが、表彰されると、外部の方から「良い経営をされているそうですね」と評価してもらえます。
メディアでも紹介され、昔は「何の会社?聞いたことないわ」だったのが、「聞いたことあるわ」と少しずつでも知られる会社になったことは、社員のモチベーションアップにつながっていると思います。
「経営品質」の向上の取り組みから生まれたものに「伍魚福クレド(経営理念、品質方針、社員像、行動指針、人材育成の戦略等)」があります。
伍魚福の基本的な考え方としてこれを社内や協力企業、お得意様にお配りしています。
自分たちの考えていることを伝え理解してもらうことは、会社を継続させていくのに必要なことだと考えています。

※経営品質とは?

今、一番大切にされていることは?

山中社長:
「もっとお客さんに喜んでもらえるには?会社が成長するには?」といつも考えています。
「お客さんのニーズ」に合ってないから売れないのです。
言うのは簡単ですが、どんなニーズに応えていくのかを見つけるのが難しいのです。
今の全社テーマは「原点に戻って、商品開発をもっとどんどんやっていく」ということです。
会社が成長するためには「商品」があってなんぼ。
ここ数年、「品質管理」が厳しく言われる時代なので、「商品が大事」と言っている割には、商品開発チームもラベル表記のチェックなどに忙殺され、企画・開発に割く時間が限られていました。
そこで、この春からは商品開発にかかわる人員を増やし、その役割を明確にしました。
商品開発の途中の段階からお客様の意見を聞き、一緒にものづくりしようということも始めています。
経営資源を「商品開発」によりシフトしようということです。
いくら社員が楽しく仕事をしていても会社が成長しないと、根本的に一人ひとりの人生が良くならないですから。

今年度の新入社員は5名です。
先行投資ですが、「商品を開発する人材を増やし、商品開発をパワーアップするため」と社員に説明をし理解してもらっています。
また中小企業では珍しい月次決算を導入していて、その内容は全社員に発表しています。
さらにその中では、毎月一定額を積みたてているボーナスの原資とは別に、仮の営業利益の何パーセントを原資に加えることとして毎月公表しています。
今まで、ボーナスはトータルの金額を役員会で決めていました。
ボーナスが少ない方が会社の利益が多くなると考えている社員もいたと思いますが、今は違います。
みんなで働いて稼いだものがボーナスに反映される仕組みなので、社員皆が「生産性を高めよう」ということになります。
「忙しいから人を雇ってください」と言えば、決算内容に影響しボーナスが減るということを社員は理解しています。
そんな中で5人採用するのですが、これも「5年、10年先を考えた時、必要だ」ということを、しんどいかもしれないかもしれないけど理解してもらえています。
社員に対して、「こうしたら、こうなるよ」ということをもっと見えるようにしたいと考えています。

ビジネスモデルや売り場提案、お客様にとっても社員にとっても「おもしろい会社」でもありますが、特に統ブランドで販売する400種類の珍味はまさに「おもしろい」と言う言葉がぴったりです。
「一夜干焼いか」「いかなごのくぎ煮」「備長炭カシューナッツ」「サラミスライス」「北海道産つぶ貝甘辛仕立て」「ゴーダチーズ生ハムロール」、定番から思わず食べたくなる個性的なものまであります。山中社長の商品への思いは?

山中社長:
伍魚福の商品は、「AKB48」(女性アイドルグループ)のように新しい商品がいつも次々生まれ、単独でも人気があるのがいいと思っています。
場面や季節に合わせてセンターを変える、そんなプロデュースをしたい。
売れない商品は卒業して行くのですが、理想は「SMAP」です。
単品も強くて、グループでも強い。
若い人から男女、年配の方まですごく人気があるそんな商品を育てたいです。

株式会社伍魚福(ごぎょふく)

兵庫県神戸市。1955年創業。社員数70名。
「おもしろい会社」を目指したユニークな経営は、高く評価されており、ひょうご経営革新賞、グッドカンパニー大賞・優秀企業賞、関西経営品質賞・優秀賞等の表彰を受けている。

  • 掲載日:2020年9月3日
  • 訪問先:株式会社伍魚福
  • 氏名:山中 勧氏
  • 役職・職名:代表取締役社長