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持続可能な未来を世界とともに。- PREX Island

日本の専門家 SDGs
共生の根幹。

持続可能な未来を世界とともに。

21世紀に入って、今年ではや20年目です。
過ぎ去ってみればあっという間でしたが、その間に世界は大きく変貌しました。
国を超えた繋がりがあらゆるレベルで生まれ、強まっているのです。
その有機的な統合に向けた大きな流れの中で、世界は過去との連続性からは想像もできないような未来に向けて、私たちの背中を力強く後押しします。
このような時代を生きる私たちは、いま大きな局面を迎えています。

PREXが設立された1990年、私は大学生でした。
バブル経済の限界が見え始めていたとはいえ、日本は世界の中で、そしてとりわけアジアにおいて仮想トップのポジションにありました。
戦後の高度成長期を経て60年代の終わりには世界第二の経済大国にまで上り詰めた日本は、アジアの他の国々や地域の経済発展にも大きな役割を果たしてきました。
まさに、日本一極時代の経済秩序がそこにはありました。

しかし21世紀に入ると状況は一変しました。
例えば、グローバル・バリューチェーンの展開。
一国の産業や企業の多くは、今や国境を越えて広がるこの国際的な分業体制に組み込まれるようになりました。
日本企業のブランドを冠した製品でも、その部品の製造を担うのは異なる国々の企業ということも多く、完成品への組み立ても日本以外で行われるようになりました。
単独で強みを発揮する時代から、他者との繋がりの中で成長する時代へと移りわったのです。

20世紀においても、こうしたグローバルな生産体制はありました。
そしてその形成をリードしたのは、圧倒的な技術的優位性を持つ日本企業でした。
しかし21世紀に入ると、デジタル化やモジュラー化などの技術変革を経て、日本以外の国々が台頭しました。
そして産業分野によっては、後発と思われた国々が日本を追い越す事態も見られ、それらの企業がバリューチェーンを主導するようにもなりました。
技術的優位性に基づいた世界との一方向な関係だけでは、もはや持続可能な将来像を描くことはできません。
お互いの異なる得意分野を認め、補完しあう双方向なパートナーシップ関係への転換がこれからの時代を拓く基本路線です。

こうした路線においては、世界の多様性は財産です。
その理解と歩み寄りは、必ずしも簡単ではないかもしれません。
しかし相互が接続して初めて共生の道は開かれます。
日本、とりわけ関西が蓄積してきた知識と経験を世界と共有し、同時に世界の国々からも積極的に学ぶ。
この相互補完性の時代で世界と日本、特に関西がwin-win関係を作る場となる。
そして、その繋がりを深めて未来に橋渡しする。
こうした大きな仕事の中心的担い手として、PREXの役割は今後ますます重要となると考えています。
2020年3月28日)

  • 掲載日:2020年3月28日
  • 企業名:関西大学経済学部
  • 氏名:後藤 健太氏
  • 役職・職名:教授