世界は人で、できている。
HOME > PREX island > 日本の公的機関 > 領家流 仕事術。

PREXの帰国研修員から寄せられた「働く悩み」について、 大阪府庁の領家誠氏にアドバイスをいただきました。- PREX Island

日本の公的機関 仕事の流儀
領家流 仕事術。

PREXの帰国研修員から寄せられた「働く悩み」について、大阪府庁の領家誠氏にアドバイスをいただきました。

「日本で学んだことを活かそうとしても、上司や同僚の理解を得られない・・」
「問題点を変えたいと思っても、そんなに働いてどうするの?と言われてしまう ・・」
PREXの帰国研修員から寄せられた「働く悩み」について、大阪府庁の領家誠氏にアドバイスをいただきました。
(国際交流部 奥村)

バングラデシュ研修員からの質問

Q:行政組織に勤務していますが、頑張って働いても組織から評価されません。
そんなに働いてどうするの?と言われます。
日本の人はどのように働くモチベーションを維持しているのでしょうか?

大阪府庁 領家 誠氏

大阪府庁 領家 誠氏:
役所の仕事は世の中のために直接何かできる仕事。恵まれた職です。
人の役に立つということに対して、本来モチベーションが低いわけがありません。
しかし、以前大阪府庁でモチベーションに関するアンケート調査が実施されたとき、一番高かったのはケースワーカーや保健師などの保健・医療・福祉の専門職で、一般行政職は一番低いという結果がありました。
それは、自分の担当している仕事や政策が人のためになっているという実感がないからだと思います。
私自身は、40歳を過ぎたら関わる仕事はすべてライフワークにしようと思っていました。
業務上の相手でも縁があれば、ずっと関わり続けるつもりでいます。
役所に私みたいな人がいるということが、困ったときの相談場所としてお守り代わりになっているようで、様々な企業から相談を受けます。
頼ってもらえるのは公務員としてありがたいことです。
人の役に立つことが楽しくて仕事をしています。
評価という点では、上司との関係を良くするための努力はしています。
なぜならば、上司との関係が悪ければ、私の部下たちにもその関係性が及ぶことがあるからです。
例えば、上司が私に反対ならば、部下の仕事も反対されるといったことです。
議論は別にして、上司と喧嘩をすることも厭わないというタイプの人もいると思いますが、私はそうではありません。
かといって上司にゴマをするとかではなく、立ち位置としては上司が困った時に使える利用価値のある部下であろうと心掛けています。
そういう意味では、上司はもちろん同僚ともですが、「何を考え、重視しているのか」という価値観を把握するための日頃のコミュニケーションが大切だと思います。

 ウクライナ研修員からの質問

ウクライナ研修員

Q:従業員のクリエイティビティを伸ばすためには、どうしたらいいでしょうか?

大阪府庁 領家 誠氏

 領家氏:
大阪府の行政の仕事の場合になりますが、クリエイティビティは、
①課題を発見する力
②課題を解決するためのアイデアを生み出す力
③実行するため組織内外への訴求力とヒト・モノ・カネの動員力

この3つが合わさったものだと思います。
これを身につけるためには、ともかく経験、つまり場数を踏むしかありません。
経験は、自らするのはもちろんですが、他人や書籍・レポートからも得ることができます。

もっとも簡単な取組みは、「カイゼン」です。
カイゼンでは対象となる課題を見つけ、課題を解決すためのアイデア出しをし、改善事項をルールとして定着させるというクリエイティビティを伸ばすための要素が詰まっています。
身の回りの職場環境や社内の特定の商品やサービスについて、具体的なテーマでカイゼンに取り組むことをお勧めします。
より多くの外部の人と出会う機会を作る、組織内外で勉強会・研究会などを作ることも有効だと思います。
ただ、全員がクリエイティブである必要はありませんし、そもそも、そんな事はあり得ないのではないでしょうか。
結局のところは、役割分担と適材適所が大事です。
この人は何が得意なのかを把握して、業務の中で何であれば任せることができるのかを考え、それを頼むようにします。
また新しい活動を始める時、変化を嫌がって反対意見ばかり言う人、動かない人もいると思います。
反対意見には、良い意見とそうでない意見があります。
建設的な反対意見は聞くようにしています。
一方で、何を言っても反対する人がいます。
その人が反対する理由がわかればいいのですが、新しい仕事は業務量増になるので、最初からで きないと決めつけている人や私のことを気に入らないという人は、どこまで行っても説得は不可能です。
なので、スルーするしかありません。
まずは仲間を見つけ、やれることからやって実績を出してから説明する。
これの繰り返して、少なくとも反対はしないというところまで持っていくようにしています。

エクアドル研修員からの質問

エクアドル研修員

Q:起業家から相談を受けても、対応に時間がかかり、その結果、信用を失ってしまいます。

大阪府庁 領家 誠氏

領家氏:
誘致した企業(投資家)と地元の起業家とのマッチングに時間がかかるのは、日本でも同じです。
「どうすれば、市民の期待に応えることができるか?」という点ですが、私も最初に企業に対する直接支援を始めたとき、なんの実績も信頼もなく、「ほぼ、何もできない」からのスタートでした。
実は、今も企業が抱える経営課題は多様で、私も含め一人の支援者が解決できることは多くないと感じています。
これまでしてきたことは、経営計画、資金調達(投資家探索)、ビジネスマッチング、技術支援、海外展開支援、デザインなどの専門家や支援機関の紹介、最終的には「人の紹介」が8割と言っていいくらいです。
日常的にこうした支援者の発掘を行い、一方で企業と会いながら課題を顕在化させる。そして繋ぐ。
こうしたことの繰り返しを数多く行うことで、少しずつ信頼を得ることができたと思います。
市民の期待は多様でレベルも様々だと思います。
公的機関の部署によって、応えることのできる役割やレベルもまた、様々だと思います。
業務としては答えが出せない場合でも起業家の課題に寄り添い、他のリソースを紹介するなど応援することはできると思います。

領家 誠 氏
大阪府庁、「地方公務員アワード2018」受賞
ものづくり支援拠点「MOBIO」をオープンさせ、年間100回を超えるものづくり企業の交流の場「MOBIO-Cafe」を主催した。

  • 掲載日:2019年11月1日
  • 訪問先:大阪府庁
  • 氏名:領家 誠氏