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ドミニカとニカラグアを訪問/JICAフォローアップ調査- PREX Island

研修の参加者
ドミニカとニカラグアを訪問/JICAフォローアップ調査

2006年度から2011年度までJICA関西の「中米カリブ地域・日本貿易振興のためのキャパシティ・ディベロップメント研修」をPREXが受託し、6年間の研修を通じて、中米各国の輸出振興のためのサポートを行ってきました。2011年度には日本最大の食品見本市「FOODEX JAPAN」に中米から5社出展し、その後の商談が上手く進んだ企業も出てくるなど具体的な成果もあがりました。2011年度をもって訪日研修は終了しましたが、帰国研修員は企業への支援を継続しています。
2012年3月に本研修の現地フォローアップを実施し、ドミニカ共和国、ニカラグアの2カ国を専門家、JICAスタッフ、PREXスタッフが訪問し、今までの研修成果の把握、現状の問題点の把握と提言を行いました。

ニカラグア貿易投資センターにて。訪日研修でコースリーダーを務めて頂いた、上田栄一講師(右から2番目)、西 龍治講師(右から4番目)に指導いただきました。

ニカラグア貿易投資センターにて。訪日研修でコースリーダーを務めて頂いた、上田栄一講師(右から2番目)、西 龍治講師(右から4番目)に指導いただきました。

帰国研修員の活躍

ドミニカ共和国では現在帰国研修員9名のうち5名がドミニカ共和国貿易投資センター(CEI-RD)に所属しています。
2011年にはCEI-RD の帰国研修員が中心となり、JICAドミニカ共和国事務所、在ドミニカ日本大使館、ドミニカ輸出者協会(ADOEXPO)、ドミニカン・マンゴクラスター(PROMANGO)と連携し、現地企業の日本市場参入を促進するためのワーキングチームを結成しました。
ワーキングチーム主催による現地企業との定期的なミーティングや大規模なセミナーを通じて日本市場に関する情報提供を行った結果、日本最大の食品見本市である「FOODEX JAPAN 2013」のJETROブースの選考にドミニカ共和国の5社が合格し、うち4社が出展することになりました。
また、ニカラグアでも2012年度に貿易投資センターに所属している帰国研修員4名が、JICA帰国研修員の自主的な活動を支援するための助成事業であるフォローアップ事業に応募し、採択されました。
帰国研修員はフォローアップ事業の費用を使い、現地企業へ情報提供を行うための冊子の作成や生産者に対する出前講座等を実施しています。
今回のフォローアップ事業は、6年間の訪日研修でコースリーダーを務めて頂いた上田 栄一講師、西 龍治講師にご同行いただき、訪日研修の成果を把握するとともに、帰国研修員の今後の自主的な活動継続のための助言を行うことを目的とし実施しました。

現地企業に対するセミナーを実施

ドミニカ共和国とニカラグアでは現地企業やプランテーションの視察のほかに現地企業に対するセミナーを実施しました。
特に今回「FOODEX JAPAN 2013」へ出展することが決まったドミニカ共和国では、セミナーを2日間にわたって実施しました。
1日目のセミナーは日本市場に高い関心を持つ企業約50社を対象としたもので、生姜、カカオ、コーヒー、マンゴー等の生産者が出席しました。
2日目は「FOODEX JAPAN 2013」へ出展する企業(出展品:ラム酒(1社)、アボガドピューレ(1社)、コーヒー(2社))のみを対象としたセミナーを実施しました。
午前に上田講師、西講師、JETRO西澤氏から日本企業とビジネスを行う際の留意点や、「FOODEX JAPAN」のブースの装飾やブースでの対応のポイントに関する講義を受けた後、午後は実際に仮想ブースでロールプレーを実施し、午前中学んだことを復習しました。
仮想ブースでは、上田講師、西講師、帰国研修員がバイヤー役となり、出展企業に様々な質問を行いました。
上田講師からはバイヤーに配布する資料が準備不足であること、西講師からは商品を説明する言葉が抽象的すぎる等、「FOODEX JAPAN」への出展を成功させるための様々なアドバイスを頂きました。

日本市場参入にむけて

ドミニカ共和国及びニカラグアが日本市場に参入するためには克服しないといけない課題が多く存在します。
課題の1つ目は商品の競争力の強化が挙げられます。
日本への輸出を考えた場合中米地域では東南アジアと競合する商品が多くあります。
中米の方が地理的に遠いために輸送コストが高くなり価格面での競争が困難です。
商品の競争力を強化するためには非価格面で商品の付加価値を高めていくことが重要です。
商品PRの方法、有機認証の取得、商品デザイン、パッケージ技術等について企業に適切な指導をできる人材を育成していくことが求められます。
例えば、ドミニカ共和国が生産するマンゴーですが、東南アジアの国でも多く生産されています。
フレッシュマンゴーの場合、ドミニカ共和国から日本までは空輸での輸送になるためコストアップにつながります。
そのため、高くても売れるための商品戦略を検討することが重要となります。
2つ目は、国ブランドの確立です。
ドミニカ共和国・ニカラグアともに、日本人にとってはまだまだ馴染みの薄い国です。
消費者に国を認知してもらうためにも、ブランド戦略の構築が重要となります。
ドミニカ共和国では観光庁と連携し、ドミニカ共和国のPRを行うことを検討していました。
今後国ブランドの確立に向けて多様な組織と連携を深め、継続的な活動を行われることが期待されます。

ドミニカ共和国貿易投資センターでブランド戦略についての意見交換

ドミニカ共和国貿易投資センターでブランド戦略についての意見交換

ドミニカ共和国の4社が出展。「FOODEX JAPAN 2013」

フォローアップ事業の約2週間後、「FOODE XJAPAN 2013」が開催されました。
ドミニカ共和国の4社も大きなトラブルなく無事出展を果たしました。
バイヤーからの評判もよくサンプルや見積もりを送って欲しいという要望をたくさん頂きました。
今後は帰国研修員と出展企業が連携し企業への要望のフォローを行っていくとのことです。

コスタリカとグアテマラの帰国研修員も「FOODEX JAPAN」に参加

また、今回のフォローアップ事業では、ドミニカ共和国とニカラグアの2カ国しか訪問できませんでしたが、「FOODEX JAPAN 2013」のJETROブースにはコスタリカとグアテマラの帰国研修員も参加していました。
今回来日したコスタリカ貿易振興機構(PROCOMER)のアリアナさんは2008年度の研修員です。
PROCOMERでは、JICAシニアボランティアの助言を得て、数年前から日本への輸出促進に積極的に取り組んできました。
今回コスタリカからは4社出展しましたが、アリアナさんはこれらの企業の取りまとめ役として「FOODEX」に参加しました。
グアテマラの冷凍野菜・フルーツの製造販売企業「AGROINDUSTRIA LEGMEX」のCEOであるヴィクトルさんは昨年度に続きブース出展していました。
昨年から日本企業との取引をスタートさせるなど、着実に成果を挙げています。
訪日研修は終了しましたが、今もなお情熱を絶やさずに活動を続けている研修員の姿が印象的でした。
世界一高い品質基準を要求する日本企業とのビジネスには、乗り越えなければならない様々なハードルがあると思いますが、諦めずに地道に努力することで乗り越えて欲しいと思います。
最後に、6年間の訪日研修と今回のフォローアップ事業をご指導いただきました上田 栄一講師、西 龍治講師に改めて感謝申し上げます。

ニカラグア貿易投資センターで「FOODEX」での体験を発表する帰国研修員

ニカラグア貿易投資センターで「FOODEX」での体験を発表する帰国研修員

国際交流部 北村

  • 掲載日:2013年2月28日
  • 研修名:中米カリブ地域・日本貿易振興のためのキャパシティ・ディベロップメント研修
  • 氏名:PREX