2024年度 立命館大学 国際関係研究科 JDS特別プログラム 地方行政を学ぶフィールドトリップ<2024年11月>

研修レポート

2024年度 立命館大学 国際関係研究科 JDS特別プログラム 地方行政を学ぶフィールドトリップ<2024年11月>

綾部市議場での記念写真

研修種別

日程

2024年11月2日(土)、11月7日(木)

参加国

  • カンボジア王国
  • ラオス人民民主共和国
  • キルギス共和国
  • ネパール連邦民主共和国
  • ガーナ共和国
  • モルディブ共和国
  • ベトナム社会主義共和国
  • ブータン王国

開発途上国の行政官・経営者対象

参加者

立命館大学国際関係研究科 博士課程(前期課程)に在籍する留学生18名

目次

研修概要

立命館の博士課程(前期)に在籍する18名の留学生に日本の「地方創生」とは?なぜ中央集権 ではなく今「地方」なのか、このテーマを実感してもらうべく2日間のフィールドツアーが立命館国際関係研究科主催の下実施されました。PREXはその中で、訪問先との調整、各セッション実施のための準備などを担当しました。
日本では地方を元気に!というと、過疎問題や税収が減ることによって医療、教育の提供が難しくなる、といったイメージがありますが留学生の出身国は、まだまだ成長盛り。過疎問題よりは都市への人口流入が課題です。医療、教育は今は首都に集まっているので、これから地域により質の高いサービスを提供することも考えないといけなくなる、といった日本とは状況が違う国もあります。

日程

2024年11月2日(土)、11月7日(木)

担当教官

田中 聡 氏(立命館大学 国際関係学部 国際関係教学嘱託講師)

委託元機関

立命館大学国際関係学部事務室

SDGs

PREX担当

関野、狭間

講師

高田 迪 氏(デジタル庁参事官補佐 (企画・デジタル田園都市国家構想担当))
山崎 善也 氏(綾部市長) 

訪問先

グンゼ記念館、グンゼ博物苑
綾部市市役所

このフィールドツアーでは綾部市職員の方との「地方創生」に関するディスカッションが予定されていたのですが、このように両者の背景が違うとディスカッションもかみ合わなくなるのでは?と疑問がわきました。
この点を解消するために市役所を訪問する予習のために1日時間を取り、講義を行うとともに、留学生の間で地方創生、地域の課題解決についてディスカッションをしてもらいました。
冒頭に書いたように多くの国がまだまだ首都に資源を集中し経済発展を優先し、ある程度、国が豊かになった近い将来、次の段階として地方の課題を考えようとしているのだろう、と思っていたのですが、実は首都に人口が集まり過ぎることの弊害はすでに出てきており日本と意味合いは違えども地方の活性化、地方分権を目指していかなければいけない、もしくは目指していく方針である国が半数程度あったことは、興味深かった点です。

とはいえ、現状では首都と地方の格差が大きいため、まず地域の課題解決よりインフラ整備を先にしなければ、という意見や、地域で雇用創出のような動きをしたとしても生活環境が首都とだいぶ異なるのであまり地方で働きたいと思わない傾向がある、など率直な意見も聞かれました。
これに対して、担当教官の田中先生からは、この段階で議論を終えると、インフラ整備や環境整備には資金が必要で、政府が増収のために経済活動促進に注力すれば、チャンスの多い首都に企業が集まるのは自然の流れであり、それに合わせて人口も首都に集中したままになっては地方の課題はいつ解決するのか?現状が変わらないままではないか?という問いかけがありました。

上記のような事前学習を踏まえ、京都府綾部市を訪れ地域創生について考えてもらいました。
午前中は綾部で創業したグンゼを訪問し、創業からの歴史、地域への経済貢献の話を伺い、人を大切にする強い姿勢や地域に貢献してきた歴史を学びました。その後、綾部市役所に伺い市長から直接、今綾部市で起きている課題は何なのか、それらを解決するためにどのような取り組みをしているのかについて直接お話を伺うことができました。
さらには、綾部市職員の方に協力いただき「綾部市の課題(人口減少、雇用創出など)」をどう考えているか、どんな対策をとっているか」について意見交換をすることができました。
事前学習日に考えてきた質問を切り口に、市で実施している施策の説明を聞くとともに、現実はどうなのか、その施策を実行していくにあたり何に苦労されているのか、といった実際に現場で対応されている方々との対話ができ、短い時間ではありましたが留学生に貴重な経験をしてもらえたのではないかと思います。
インターネットや動画などでは得られない現職の社員・職員の方々との意見交換はとても現実味と重みに満ちていて、まさに「現場を知る」フィールドツアーだったと思います。
今回の研修を通じて少しでも新しい考えや、気づきが留学生の中に生まれるきっかけになり、いつか、母国に帰ったとき「あの時の話はこのことか」と将来の発見に結びついてくれば、担当者としてこれ以上うれしいことはありません。

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