ベトナムに進出する日系企業のものづくりの現場を支える人材の育成をめざして(2014年7月)

本年度から2016 年度までの3 カ年の事業として「JICA 草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)ベトナム国ドンナイ省におけるものづくり人材育成事業」がスタートしました。 この事業は大阪府が提案団体となり、PREX が実施機関として、自治体との連携で推進する事業です。7 月下旬の1 週間、この最初の活動として事前調査のため、専門家とともにベトナムを訪問しました。

ロンタイン= ヌンチャック職業訓練短大の実験設備も見学しました。

一本の電話からのスタート

ベトナムの日本の中小企業の進出について研究されている専門家からの一本の電話が、この事業をスタートさせるきっかけでした。「関西では経産局が中心となって“ 関西ベトナム経済交流会議” を通じ、各機関の連携や情報共有、また実際に中小企業の共同進出なども進められている。現地に展開した中小企業が次に直面するのは人材の課題だろう。PREX の人材育成の経験をそこに活かせるのではないか?」という言葉に、PREX の役割を見出したような思いに駆られ、すぐに経産局、そして大阪府を訪問。アイディアをいただき相談の結果、JICA の草の根技術協力事業として大阪府と連携・提案することとなりました。
PREX として、中小企業のグローバル化にどういう側面から関わるのかについて議論が進む中、やはり設立以来業務の中心に据えてきた「人材育成」を通じて取り組むべきである、と認識を新たにし、その活動が最終的には関西の多くの中小企業の方々に活用してもらえるように、大阪府との連携実施という形を取りながらも、「関西ベトナム経済交流会議」の中の一事業という位置づけで、経産局が連携協定を締結していたドンナイ省での実施を決定。経産局からも多くのサポートを得て約1 年前にJICA 草の根技術協力事業として提案しました。 この事業では、ベトナムに進出するものづくり中小企業に必要とされている、生産現場におけるテクニシャンクラス、リーダークラスの人材ニーズに応えるため、現地の技術者養成の中核を担う、職業訓練機関をモデル校とし、カリキュラムの改善と教員の指導能力向上を目指しています。

ラックホン大学では学生がロボットを製作していました

モデル校、DIZA の皆さんと

事前調査で見えた中小企業のニーズ

7 月下旬、関空からホーチミンに到着し、すぐに一路ドンナイ省のビエンホアへ移動。最終日を除いた5 日間はビエンホアに滞在しての事前調査活動となりました。当事業ではモデル校として、ドンナイ省にある「ラックホン大学」「ロンタイン・ヌンチャック職業訓練短大」の2 校を選定しています。
今回の調査では、2 校での教育カリキュラム、機材や設備の状況、教員の指導方法などを確認することとあわせて、現地に展開している日系中小企業の人材に対する課題やニーズを確認することを目的としました。
ドンナイ省には、ロンドゥック、ロテコ、アマタ、ロンタン、ヌンチャックなど多くの工業団地が整備され、日系のものづくり中小企業も進出しています。その中で今回は10 社を訪問しました。企業の進出段階や規模、製造工程などにより人材ニーズも異なりますが、共通して言えることは、管理者やリーダークラスの人材が不足していること、現地の職業訓練機関卒業者は実践的な教育が十分ではないため即戦力としては活用が難しいこと、そして日系企業の製造現場に共通して必要な3S、5S、安全管理などとともに製造現場に必要な基本的な日本語の用語などは理解しておいてもらいたいというニーズがあるということです。
今回の調査を踏まえ、当事業では3 年間をかけて日系中小企業の現場に必要とされている「基礎力」を養成できるようなカリキュラムの導入、また、事業終了後も継続できるような日系の中小企業と訓練機関の関係づくりなどを推進します。

本邦研修を10 月に実施

本年10 月から11 月にかけて、モデル校の幹部およびカウンターパートであるDIZA(ドンナイ工業団地管理局)の関係者が参加する本邦研修を実施する予定です。
本邦研修では、当事業に専門家として参画頂いている大阪府立大学工業高等専門学校及び大阪府立淀川工科工校での指導の様子を紹介するとともに、カリキュラムの改変などについて検討を進めます。更に、関西の企業の方々にドンナイ省を紹介、職業訓練機関の幹部とのネットワークづくりになるようなセミナーを実施する予定です。

国際交流部 瀬戸口

TOPIC 「関西企業の窓口、 関西デスク」

当事業の現地カウンターパート機関である「DIZA(ドンナイ工業団地管理局)」には、近畿経済産業局とドンナイ省との協力文書締結を受け、昨年10 月に「関西デスク」が開設されました。「関西デスク」はドンナイ省における関西企業のワンストップ窓口として、会社設立時の手続きやコンサルティングを担当しています。「関西デスク」ではスムーズで迅速なサポートを心がけており、今回の出張で訪問した中小企業の中にも活用・交流の実績のある企業もあったのですが、皆さんからの評価は上々でした。DIZA には大阪の寝屋川で働いた経験のあるベトナム人職員もいます。今は片言の日本語が分かる程度ですが、日本企業の皆さんと更にスムーズにやり取りができるように、現在日本語の特訓を受けているそうです。 今後、ドンナイ省への進出を考えられる際には、ぜひこの「関西デスク」を活用ください。

「関西デスク」
住所:ドンナイ省ビエンホア市
ビエンホア工業団地2 号26 番地2A 通り
TEL:+ 84―61―3892―381
FAX:+ 84―61―3892―379
E-MAIL:kansai@diza.vn
ホームページ:http://dongnaikansai.vn

国際交流部 瀬戸口

研修概要

実施期間
2014 年7 月20 日〜 26 日
委託元機関
JICA 関西
専門家
●大阪府立大学工業高等専門学校 准教授 土井智晴氏
●大阪府立淀川工科高校 教員 木村千良氏
●大阪府商工労働部 中小企業支援室 ものづくり支援課参事 領家誠氏
● PREX 瀬戸口、坂口

研修のテーマ :  経営管理