貿易促進と海外からの投資誘致、2つの経済成長エンジンを学ぶ(2013年11月、2014年2月)

「JICA 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修コース」を2013 年11 月15 日~ 12月13 日と2014 年2 月20 日~ 3 月14 日の2 回にわたって実施しました。目的は自国の経済発展に貢献する輸出促進及び海外からの投資誘致に関する能力向上です。11 月のコースは投資促進の担当者、2 月のコースは貿易促進の担当者が来日し、日本の投資促進機関や海外で活躍している日本企業を訪問し、日本の貿易・海外投資活動の実態を学びました。

(貿易投資促進A)11カ国12名の研修員が自国の投資環境と魅力についての効果的な情報発信方法を学びに来日しました。

(貿易投資促進B)近畿農政局での講義では行政主導の勉強会での民間への指導・情報発信方法が研修員の印象に残ったようです。

貿易投資促進支援の位置づけ

 JICA の民間セクター開発は、民間の活力を利用して開発途上国の経済発展を目指しています。そのメニューは中小企業振興、貿易・投資促進、産業基盤整備、産業技術、観光開発、民活・民営化などを切り口として民間企業等が発展するための支援・また発展しやすい環境造りを行っており、その中で今回の研修は貿易投資促進機能強化支援を目指します。PREX は過去、中小企業振興、観光開発、輸出促進などでの研修実績はありますが、投資促進分野での研修受託は初めてです。

研修の課題

最近、富岡製糸場の世界文化遺産登録が話題になっています。実は当時富岡製糸場は外国からの指導者を招き、技術導入はしたが、資金提供の申し出は断ったそうです。明治維新は旧幕府の対外債務を背負って、財政的にはマイナスからのスタートだったので外国に頼れない。頼れば植民地にされてしまう。以後、孤島ということもあって、明治後の日本はなんでも自国で作る「殖産興業」政策を取り、「20 世紀初頭では、戦艦からマッチまで国産品」だったそうです。

こと左様に日本は現在まで海外からの直接投資受入れには慎重で、投資誘致に関する日本の良い事例が少なく、そのため、UNIDO( 国際連合工業開発機関)、英国領事館、インドネシア領事館、タイ国政府貿易センターなど日本に進出している海外の機関の協力を研修の節目で得るように工夫しました。この海外機関との交流は研修員に大変好評で、来年度も続けたいと考えています。

研修員の課題と講師のアドバイス

10カ国を越える研修員を一堂に集め、貿易促進とか一つの課題テーマで勉強するには、各国の経済発展のレベルやビジネス環境の違いもあって様々な課題が交錯するので、研修員同士で学んだ事等の情報交換する場を増やし、他国の政策やプロモーション方法の良いところをお互いに学び合う場をもっと設けたら効果的ではないかとのアドバイスをいただきました。実際、一部の研修員からの同様の声もあり、来年度は是非実施したいと考えています。

国際交流部 シニア・コースコンダクター 森本亮造

自国の投資環境と魅力についての公開模擬投資セミナーを実施しました。

グランフロント大阪ナレッジキャピタルで研修員の発表会を実施

 11 月の研修では、プレゼンテーション能力の向上を目的に「JICA・PREX 開発途上国のビジネス環境発表会」と題して、模擬投資セミナーを行いました。この模擬投資セミナーは公開で行われたため、研修員の意欲が特に高く、研修員たちは、自分のプレゼン資料の作成だけでなく、自国のビジネス環境の資料やパンフレットを自国の大使館へ連絡し送付してもらうなど、聴衆にアピールする姿勢が強くみられました。当日の発表会には22 名の方から聴講の申し出があり、発表後の懇親会でも活発な名刺交換が行われていました。

左端、農園代表の長村善和氏

京都のいちご農園訪問

研修員の国から輸出したい商品に農産物が多いため、日本の農業の実情の一旦を学ぶために追加の研修プログラムとして農業の6 次産業化に取り組む京都・八幡市のいちご農園を訪問しました。この農園はいちごの観光農園を経営しており年間1万人以上の来園があるそうです。到着時間が遅くなり閉園時間を過ぎていたにも関わらず丁寧に対応いただき、約1 時間、研修員たちは「いちご食べ放題」を満喫していました。

いちごの収穫方法を聞く研修員

収穫したいちごは、このまま食べられます。

研修概要

本研修は、輸出促進もしくは海外からの投資促進に携わる政府機関などの担当者が、自国産業育成に貢献する輸出促進もしくは海外からの投資誘致に関する能力の強化を目的とし、自国内の民間セクターおよび海外への情報提供・プロモーション内容に焦点をあて、世界市場のニーズをつかみ、輸出促進・投資誘致戦略を立て効果的に自国の貿易投資環境を発信する方法や知識の取得をテーマに学習する。
研修では実践から学ぶ機会を重視し、研修テーマに該当する在日の海外行政機関や日本企業との交流会などを通し日本企業の文化やニーズ、日本企業が持つ自国への印象などを研修員に実感してもらうことで、自国を客観的に分析し、現実的なプロモーション計画を策定できることを目標とする。

研修名
「 JICA貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修A」
実施期間
2013年11月15日(金)~ 12月13日(金)
研修参加者
セルビア、モンテネグロ、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ガーナ、セネガル、カザフスタン、エチオピア、11 カ国12 名
委託元機関
独立行政法人 国際協力機構 関西国際センター(JICA 関西)
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●国際機関 日本アセアンセンター貿易投資部 中西宏太氏 ●慶応義塾大学総合政策学部 渡邊頼純教授●貿易アドバイザー協会 ●神戸市アジア進出支援センター ●サラヤイーストアフリカ社 ●池田泉州銀行●大阪商工会議所国際部 ●大阪企業家ミュージアム ●上組 ●ひょうご産業活性化センター●味の素 ●中小企業基盤整備機構 ●国際連合工業開発機関(UNIDO) 東京投資・技術移転促進事務所●日本貿易振興機関 ●住友商事 ●パナソニックエクセルインターナショナル●パナソニック ●サカタのタネ ●英国総領事館 ●フクナガエンジニアリング●山喜 ●バンドー化学 ●インドネシア領事館 ●フジ矢
研修名
「 JICA貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修B」
実施期間
2014年2月20日(木) ~ 3月14日(金)
研修参加者
アルバニア、エルサルバドル、スーダン、ニカラグア、パラグアイ、東ティモール、ブルキナファソ、マケドニア 8 カ国11 名
委託元機関
独立行政法人 国際協力機構 関西国際センター(JICA 関西)
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●大西マーケッティング ●国際社会貢献センター(ABIC) ●食品コンサルタント上田栄一氏 ●ヒューテック●近畿農政局 ●宇治の露製茶 ●東洋紡 ●日本貿易振興機関●ノースイ ●東急ストア 中目黒本店 ●慶応義塾大学総合政策学部 渡邊頼純教授●おさぜん農園 ●タイ国政府貿易センター大阪 ●坂ノ途中イーストアフリカ社
モンテネグロ
経済省変革及び投資部アドバイザー
ジウコヴィッチ・ミア
研修は来日前の期待以上にすばらしい内容でした。これが初回ということなので2回目以降がどうなっていくのかが楽しみです。
フィリピン
投資委員会アジア部投資専門家
ブエナフェ・アンナ・カレニナ・フェルナンデ
期待以上で感銘を受けました。また研修に参加し、日本では製造業に次いで大きな産業である造船や航空機関係の企業を訪問したいです。
ガーナ
ガーナ投資促進センター研究及び投資開発部上級投資促進担当官
アジェクム・アチアムポン・マイケル・クワメ
日本は先進国であることは知っていたが思っていた以上だった。日本人は礼儀正しく、規律があり、
賢明だ。休暇でアメリカやヨーロッパに行く同僚に日本に行くことを奨めたい。
パキスタン
パキスタン貿易開発庁商業部副部長
アシュラフ・ムハムマド・ウマル
かってムガール帝国のジャハーンギール皇帝が「この世に天国があるならば、それはカシミールである」
と言っていますが、自分にとっての天国は日本です。
研修のテーマ :  貿易振興