中央アジアのビジネスマンが関西の企業に学ぶ/JICA日本センタービジネス実務研修 (2013年11月~2014年3月)

ウズベキスタンの研修員は裏千家茶道資料館を訪問し茶道を体験しまし た。お手本を見せてもらった後、研修員もそれぞれお茶を点てました。

PREXは2013年度、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンといった中央アジアの日本センターのビジネスコース修了者、講師などを対象に4件の研修を実施しました。途上国の行政官や公的機関の職員が参加者である研修が多い中、ビジネスマンが研修対象となるものは限られていますが、PREXでは長年にわたり、日本センターのビジネスコース修了者などを対象とする研修を実施してきており、昨年度も関西を中心とした中小企業を数多く訪問し、企業経営者とも直接意見交換のできる研修となりました。

「日本センター」のある国

キルギスの研修員は3S に取り組む企業の現場を学ばせてもらいました。若い従業員が現場を案内すること自体もキルギスの企業経営者にとっては大きな気づきとなります。(山田製作所様にて)

日本センターは、JICA(国際協力機構)の支援のもと、中央アジアや東南アジアなどの市場経済移行国におけるビジネス人材の育成と日本との人脈形成の拠点として2000 年より順次開設されてきました。(日本センターの所在地:カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、モンゴル、ウクライナ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーの9カ国10 都市) 各センターでは日本および現地の講師によるビジネスコースの実施を通じて、「日本的な経営」「人材育成」「経営戦略」「生産管理、カイゼン活動」「マーケティング」など企業経営に必要なノウハウや知識を習得し、受講者自身が所属する企業の経営改善や発展、また新たな起業につなげることを目指しています。 ビジネスコースを優秀な成績で終了したビジネスマン、また、将来性のある起業家が、現地で学んだ理論に対する理解を深め、実際に企業経営に実践できるようにするため、日本での研修が実施されています。

コースリーダーのリードによる専門的な研修プログラム

研修実施に当たっては、現地での指導経験を通じて各国の企業の特徴や経済の事情にも明るい専門家にコースリーダーとして協力いただきました。ケイディーテックの佐藤先生は、カザフスタンでカイゼンコースを指導されており、現地での指導と日本での研修を関連づけることで、研修員が直面する課題に何を紹介すればよいかが明確になると同時に、企業訪問にも同行頂き研修員の理解を補足するためのアドバイスもしていただきました。 戦略コンサルティングファームの藤田先生はウズベキスタンでの指導を数多く経験されていますが、研修員自らが抱えている課題の本質を見極め、研修で確実に学びを得て帰国後活かせるように、個別の指導もされることで、研修員が帰国後すぐに取り組めるプランづくりにつながりました。 クリエイションの内海先生は、研修員が研修で何を学びたいのか課題は何かということに耳を傾け、訪問先で何を学ぶべきかを詳しく指導され、それぞれの目的に応じた現場での取り組みに対する理解の仕方を指導されました。

日本理解の壁を取り除くために

研修員の多くは初めて日本を訪問します。各国の日本センターで日本の文化や日本人にも触れ、また日本のビジネスも学んでいますが、歴史・文化・社会など多くの面で中央アジアと日本の間には大きな差があります。それらの差は日本の企業経営を理解する際に壁となることもあります。2013 年度実施した前述の4 件の研修では、来日して数日の内に日本の文化の特徴や日本の経済・企業経営に関する次のようなプログラムを実施しました。

一つは歴史街道推進協議会による「日本文化体感プログラム」の実施です。日本の社会や経済の歴史文化的背景の理解を深めてもらうため、座学に加え京都(清水寺、福寿園本店、宇治など)の現地視察を実施し、研修員からは「このプログラムを通じ日本人のメンタリティや考え方をより深く理解できた」と評価されました。

もう一つは福井県立大学のアンドレイ・ベロフ教授による「日本の経済・企業経営の特徴」という講義です。ベロフ教授のご出身はロシアですが、日本企業での勤務のご経験もあります。中央アジアの研修員とは、ロシア語という共通言語でダイレクトに対話ができるということだけでなく、旧ソ連諸国という社会的・経済的な背景も共通しています。ベロフ教授による講義での膨大な情報の提供とダイレクトにやり取りできる質疑応答の時間を通じて自国と日本との差を埋めることにつながりました。

研修員からは自分たちに近いメンタリティを持つベロフ教授ならではの情報提供は研修に不可欠であり、時間が足りないぐらいだったという意見も出ました。

研修員にとって始めて訪問する日本ですから、少しでも身近に感じ、短期間に理解を深めてもらうための工夫は今後も継続していきたいと思います。

国際交流部 瀬戸口

研修概要

研修名
【1】中央アジアビジネス実務研修A(ウズベキスタン日本センター)
実施期間
平成26 年1 月14 日〜23 日
委託元機関
JICA 関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●戦略コンサルティングファーム藤田忍代表取締役 ●福井県立大学 アンドレイ・ベロフ教授 
●歴史街道推進協議会 ●イズミヤ総研 ●伍魚福 ●イートアンド ●伝統工芸青山スクエア ●安久工機

研修概要

研修名
【2】 中央アジアビジネス実務研修B(キルギス日本センター)
実施期間
平成26 年3 月4 日〜14 日
委託元機関
JICA 関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●クリエイション内海政嘉代表取締役 ●福井県立大学 アンドレイ・ベロフ教授
●吉川晴喜氏 ●三元ラセン管工業 ●山田製作所 ●歴史街道推進協議会
●良品計画 ●グロービス経営大学院 ●イートアンド ●おたべ ●関西ホームサービス

研修概要

研修名
【3】 中央アジアビジネス実務研修C(カザフスタン日本センター)
実施期間
平成25 年11 月12 日〜22 日
委託元機関
JICA 関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●ケイディーテック佐藤和親顧問 ●クリエイション内海政嘉代表取締役
●福井県立大学 アンドレイ・ベロフ教授 ●三元ラセン管工業 ●松下幸之助歴史館
●歴史街道推進協議会 ●不二製油 ●イズミヤ総研 ●山田製作所
●3Sサミット参加企業(枚岡合金工具、三協製作所、鈴木製作所)●神戸ポートピアホテル ●ゼロ精工

研修概要

研修名
【4】 ウズベキスタン、キルギス現地講師育成研修
実施期間
平成26 年1 月20 日〜30 日
委託元機関
JICA 関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●クリエイション内海政嘉代表取締役 ●京都大学 都合弘特命教授
●福井県立大学 アンドレイ・ベロフ教授 ●歴史街道推進協議会 ●泉南乳業
●特発三協製作所、大阪産業創造館 ●ピーディーシー ●日本政策金融公庫 ●スーパーホテル
研修のテーマ :  経営管理