セルビア食品の輸出機会の更なる獲得に向けて/JICAセルビア「対外輸出促進」(2014年2月)

「日本の商習慣」の講義にて、お辞儀の仕方を体験。

セルビアは近年ビジネス環境の改善に向け経済及び法的な改革が実施され、輸出が伸びています。近隣のヨーロッパ市場に加え、日本を新たな市場開拓先の一つとして考えているものの、日本市場や消費者のニーズ、輸出に関する制度についての知見が不足しています。PREX では2011 年度より3 年間、「JICA セルビア共和国対外輸出促進研修」を実施し、今年度最終年を迎えました。

対日輸出上の課題と可能性

本研修ではまず国際貿易実務や流通制度に精通している専門家の方々から、「日本の商習慣」「関税制度」、「流通制度の仕組み」などの講義をしていただきました。欧州諸国とのビジネス経験を豊富に持っている研修員は、欧州諸国とは異なる日本特有のビジネス習慣、制度や仕組みに、少々驚いた様子でした。また、公的機関への訪問では、「輸出に関する制度」や「輸出促進に係る公的機関の役割」などの講義と活発な意見交換を通して、行政官や公的機関の職員である研修員たちは自らが果たすべき役割について深く考えることができました。

研修中盤から終盤にかけては、日本市場の特徴を目で見て、現場の方の話を聞いて具体的に理解してもらうために、座学のほか、セルビアの輸出産品である蜂蜜やワインを扱う専門店や健康志向者向けの商品や嗜好品を取り扱う店舗への訪問、またセルビアの商品を輸入している商社と意見交換を行う機会を多くアレンジしました。訪問先では、研修員が持参した商品のアドバイスや可能性について多くのコメントをいただき、自国の商品が日本でも受け入れられる可能性を感じとっていました。

アジア最大級の食品展示会であるFOODEX JAPAN へ参加し、バイヤーとの商談体験や販促方法を学びました。

食品展示会FOODEX JAPAN へ参加

本研修では、毎年開催されているアジア最大級の食品展示会FOODEX JAPAN に参加しました。ビジネス拡大の機会として、国内企業だけでなく、世界のあらゆる国、地域の企業が出展され、今回も大変多くの人で賑わっていました。コースリーダー、JICA シニアボランティア、コーディネーターのサポートのもと、研修員は各自持参した食品サンプルと商品データシートを用いて取引の可能性のあるバイヤーや輸入事業者と商談をすることができました。中でも民間企業の研修員は、営業部長という立場であり、熱心に商談に取り組み、今後の取引につながる話まで持っていくことができたようでした。また、既に日本への輸出経験のある海外企業の出展ブースを訪問し、日本市場への参入の厳しさやポイント、商品のプロモーション方法について情報を得ることができ、有意義な3 日間となりました。

ブルガリア共和国大使館へ訪問し、アロニアやバラを事例とし
た日本市場参入のための体験談を聞きました。

帰国後の取り組みに向けて

研修終盤に成果報告会を実施しました。報告内容は、①日本市場の特徴として商品のデザイン・パッケージ、量、価格帯、販売戦略、トレンド・消費者ニーズについて各講義や訪問先で学んだこと、②輸出促進のおけるセルビア商品の強みと弱み、③課題に対する解決策、④帰国後、取り組む活動と盛りだくさんでした。行政官や公的機関の職員は国内企業を対象とした対日輸出に関するセミナーの開催やデータベースの確立などを優先的に取り組む活動として挙げており、また民間企業の研修員は日本参入のためのマーケティング戦略を打ち出す、実際に取引先への資料を作成するなどとても実践的な活動を挙げていました。

また、過去の研修員が作成したハンドブック(日本とのビジネスを行う際の参考資料)を最終版として更新し、セルビア国内企業、JICA バルカン事務所、在日セルビア大使館などと共有する予定となっています。

事業概要

研修名
JICA セルビア「対外輸出促進」
実施期間
2014年2月25日(火)〜2014年3月14日(金)
研修参加者
セルビアの貿易振興輸出に携わる行政官・民間企業幹部 4名
委託元機関
JICA 関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
ゼータ、弓場代表取締役、寿精版印刷、イズミヤ総研、歴史街道推進協議会、流通科学大学、崔教授、ブルガリア共和国大使館、日本貿易振興機構、関西空港検疫所、ヴィノスやまざきそごう神戸店、ドラート、自然食品の店ひなたぼっこ、神戸物産

輸入蜂蜜専門店を訪問。セルビア産蜂蜜の可能性について代表と意見交換。

オーガニック/健康志向を売りに
−セルビア商品の可能性−

セルビアは南東ヨーロッパ、バルカン半島の中西部の内陸に位置する国です。豊かな土壌に恵まれ、伝統的に農業が盛んに営まれてきた国で、現在でも農業は国の主要な産業の一つとなっています。現在セルビアは、少量ではありますがワイン、冷凍ラズベリー、フルーツジャムなどの農産物の加工品を日本に輸出しています。
今年度参加した研修員は、対外輸出希望商品として蜂蜜、ワイン、バルサミコ果実酢、果物ジュース、フルーツバー、ドライプルーンの商品サンプルを持参してくれました。さすがヨーロッパというだけあり、パッケージデザインはとても洗練されているなという印象を受けました。また、化学肥料や食品添加物の使用しない商品、甘すぎず素材を活かしたセルビアの商品は、日本人消費者のニーズに合ったものだなと思いました。研修員は、講義や市場調査を通して、日本では近年オーガニック食品や健康食品市場が拡大していることを知り、日本における自国の商品の参入の可能性を感じとっていました。
同時に、日本ではセルビアの国の知名度が低い、セルビアから日本は輸送コストが高いといった課題があります。また、セルビアは中小企業がほとんどで、なかなか機械化が進んでいないのが現状で、大量生産、品質の確保、精密なパッケージ技術などの面で課題もたくさん残っています。日本市場への参入は容易ではありませんが、これらの課題を克服し、近い将来、今回研修員が持ってきた商品が日本のスーパーやコンビニの棚に陳列される日が来ることを心待ちにしています。

国際交流部 坂口

研修のテーマ :  貿易振興