太陽光発電技術の普及促進を見据えて/JICA太陽光発電普及のための計画担当者研修 (2013年8月)

炎天下での実習風景。日本人専門家、第三国専門家の指導の下、電圧、電流を測定する研修員たち。

ここ数年にかけて日本国内で導入が進んだ太陽光発電システムは、国外でもエネルギー資源の多様化、気候変動対策、不足する電力の供給、地方電化の手段として注目を集めています。PREXでは2009年度から4年間で38カ国105名の研修員に対して太陽光発電関連のJICA研修を実施してきました。依然として各国から研修実施の要望は強く、今年度から3年間かけて「太陽光発電普及のための計画担当者研修」を年2回受託することとなりました。

中間振返りセッションの中で、自国の太陽光発電の普及における技術的課題について議論をしている様子。

成果報告会にて帰国後のアクションプラン(PDM)を発表する研修員。

基礎知識習得のための座学および実習

本研修では開発途上国の太陽光発電分野に精通した専門家の方々にコースアドバイザーや講師として、導入計画、政策、制度に関する講義と設計、施工、維持管理技術に関する講義を行っていただきました。研修員は自国の太陽光発電の普及を担う行政官が大半ですが、技術者であったり、政策立案者であったり、それぞれの立場やバックグラウンドは異なります。各研修員のニーズや要望にできるだけ応えられるよう、また技術者には導入計画、政策、制度に関する理解の促進、政策立案者には基礎的な技術を習得してもらえるよう工夫しました。導入計画、政策、制度に関する講義では、エクセルを用いた費用対効果や事業性評価の計算演習を行ったり、日本の再生可能エネルギー政策や制度の背景や実状について理解を深めました。技術に関する講義では、日射量や気温、パネルの設置角度等でどのように出力が変化するか、また、直列、並列で電圧や電流がどのように変化するのかを理解するために、パネルやバッテリー、計測器などの機材を使って実習を行いました。講義の後には振返りのセッションを設け、自国における課題を洗い出し、取り組むべき課題を明らかにしました。

太陽光発電関連企業への訪問

関西圏には、太陽光発電を含む環境・エネルギー産業を担う関連企業が多く集積しています。本研修では、電力会社をはじめ、太陽光発電パネル、パワーコンディショナ—、バッテリー製造会社、施工業者等多くの企業を訪問させていただきました。電力会社では、日本の電力需要供給の概要や太陽光発電を導入する際の課題について詳しく話していただきました。研修員側からは、太陽光発電を系統に接続する際に直面する技術的な課題、故障時の対応、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの普及政策について企業の方に多くの質問を投げかけていました。太陽光発電関連機器製造会社では、製造ラインを見学させていただき、製品の特徴や性質について熱心に説明していただきました。研修員は、日本企業の徹底した品質管理、アフターサービスの提供に驚きを感じているようでした。再生エネルギーの固定価格買い取り制度導入後、太陽光発電関連機器の製造ラインが忙しくなっているようで、一生懸命仕事に打ち込んでいる従業員の様子を見て、多くの研修員が日本人の仕事に対する熱意やまじめさを肌で感じとっていました。企業訪問を通して、企業と研修員との間で人的ネットワークを構築し、今後の太陽光発電産業におけるビジネスの懸け橋となることを期待しています。

帰国後の取り組みに向けて

研修終盤、各研修員にPDM: Project Design Matrix(プロジェクトの概要を一枚紙にまとめたもの)を用いて、帰国後実施するプロジェクトの計画を立て、発表していただくセッションを設けました。
・未電化地域における太陽光発電の普及
・系統連系型及び独立型システムの効果的利用と促進
・メガソーラー発電における関税政策の発展
など、自国の優先課題をプロジェクトのタイトルに挙げていました。今後、自国の太陽光発電普及促進に向けて計画を実行してもらいたいです。

国際交流部 坂口

研修全行程終了後、JICA関西にて記念撮影(後列左端が筆者坂口)。

TOPIC 自国の発展に寄与する人材育成を目指して

現在日本は、世界的に認められる高い技術を持った経済大国となりました。その背景には、明治時代以降日本政府が欧米諸国にキャッチアップするために、欧米諸国から新しい技術や制度を学び、経済発展ための人材育成を重要視してきたという歴史があります。今日、開発途上国においても、人材育成が国の重要な課題として位置づけられるようになってきました。私はPREXに入局する前、青年海外協力隊として南東部アフリカにあるマラウイで、省庁機関で社会的弱者を対象とした開発プロジェクトに従事していました。上司や同僚である行政官たちと日々仕事をする中で、持続的な社会経済発展に取り組むためには、国づくりを直接担う人材育成が必要不可欠であることを、身を持って感じました。

今年4月にPREXに入局し、本研修で初めて研修カリキュラム開発から予算作成、研修同行まで、一連の研修事業の業務に携わりました。本研修期間は5週間で比較的長い研修でしたが、研修にご協力、ご支援くださった企業、団体、講師の関係者の数の多さに改めて驚きました。研修員たちは、企業・団体への訪問や専門家による講義を通して、より専門的な知識や正しい技術を身につけることができたと思います。また、研修員同士での活発な意見交換を通して他国の現状を知り、同時に自国の現状についても再認識できた良い機会となったのではないかと思います。帰国後、訪日研修で学んだことをそれぞれの国へ持ち帰り、自国の真の発展に寄与する人材として活躍されることを心から願っています。これからも、関係者の方々のお力を借り、より効果的な人材育成支援事業が実施できるよう、努力していきたいと思います。

国際交流部 坂口

研修概要

研修名
太陽光発電普及のための計画担当者(A)研修
実施期間
2013年8月13日(火)〜9月13日(金)
研修参加者
エネルギー政策に従事している行政官 10カ国13名: アルジェリア/ヨルダン/バングラデッシュ/カザフスタン/カーボヴェルデ/モロッコ /エジプト(3名)/パキスタン/グルジア/スーダン(2名)/インド
委託元機関
独立行政法人 国際協力機構(JICA)関西国際センター
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
〈専門家〉
・吉野コンサルタント事務所 吉野代表
・ジオプラス 塩田代表取締役
・第三国専門家 Peter A. Sablay
・関西電力
・歴史街道推進協議会
・シャープ
・日新電機
・GSユアサ
・浜田
・経済産業省資源エネルギー庁
・太陽光発電協会
・新エネルギー・産業技術総合開発機構
・ゴウダ
・大阪女学院短期大学・大学マッカーティー教授
・関西文化学術研究都市

研修のテーマ :  環境