省エネルギーと大阪府・上海市の連携・交流を目指して/大阪府・上海市JICA草の根技術協力事業 訪日研修(2013年6月)

平成23年5月に誕生した新たな大阪の玄関口「大阪ステーションシティー」の設備の表と裏を丁寧に見学させていただきました。

昨年、尖閣諸島問題で延期されていた「JICA草の根協力事業(上海市省エネ指導者育成事業)」の2013年度訪日研修を6月19日から6月28日の10日間で実施しました。上海から参加した9名の研修員は環境先進地域の大阪で、工場やビルの省エネ技術及び省エネ活動を学びました。また研修員と大阪の省エネ関連企業との交流会が企画され、企業は自社の製品、技術を上海に向けて発信されました。

上海市の環境改善、コスト削減に貢献

大阪では大阪府をはじめとする自治体が独自の省エネルギー対策を実施しており、また各企業が省エネルギーに対する取り組みに熱心であることなど、環境先進地域です。本研修は、そうした省エネルギーや環境改善に関する経験を、大阪府の友好交流都市である上海市に対して紹介・技術指導し、上海市の環境改善に貢献するとともに、大阪府下の省エネ技術を持つ企業との交流を通じ、上海の工場・事業所で活用できる日本製品・技術を導入する機運を醸成する目的で実施しました。

省エネの標準化と人材の育成をめざして

研修を実施するにあたっては、上海市における行政の省エネに対する取組が促進され、企業の省エネ振興が推進されるために以下の具体的な成果が出るよう実施しました。まず訪日研修や専門家派遣での知見が上海市行政官内で共有されるよう、「電機システム」の省エネ推進マニュアルを完成させ、製本して配布できるようになること。次にそうしたマニュアルを作成できるような、また完成後は様々なセクターで省エネの指導ができるような人材が育成されること。育成にあたっては、大阪の専門家が「電機システム(ポンプ・送風機・コンプレッサー・空調系統)」の省エネ方法を指導すること。また加えて訪日研修実施中に大阪の省エネ技術を持つ企業との交流会の実施があります。

研修員と事前準備

研修員は、上海市省エネルギーセンター戦略発展部主任秦宏波氏を団長とし、省エネルギーセンターから6名、上海市閔行区経済委員会から1名、上海電器科学研究所(集団)有限公司から1名、同済大学から1名の合計9名が参加しました。
上海市全体の2010年の電力消費量は1,295億KW・h、その内、産業部門の電力消費量は795億KW・hと全体の60%を占めています。また産業部門用の電機システムによる電力消費量は約75%を占めているにもかかわらず、電機システムの運転エネルギー効率は諸外国の先進事例に比べて約20%低いと評価されています。このような状況の中、上海市の「第十二次5カ年計画」では電機システム全体のエネルギー効率の向上をめざし、その中でも特に高効率ファン、高効率ポンプ、高効率エアコンプレッサを押し広めることを目標としています。研修員は訪日前に「電機システムの省エネ技術改善に関する指南」を作成して本研修に臨みました。

研修に参加して

研修員は連日様々な工場やビルでの省エネルギーの取組みを見学しました。見学時には数多くの質問が出され、関心の高さがうかがわれました。研修員からは最新機器に対する関心だけでなく、各事業所で日常的に取り組まれている情報管理や省エネルギー対策の運用についても興味深いと指摘がありました。例えば、日報等が整然と整理されて関係者で共有していることや、こまめに冷房の電源を切ることなどが具体例として挙げられました。

今後の活動

研修員は訪日研修で学んだ技術や情報、省エネ活動を参考にして指南書を改訂します。10月に予定されている大阪の省エネルギー関連専門家による上海訪問時に、指南書を確定します。また専門家によるセミナーを実施して、今回の9名の研修員を核とした省エネを推進できる人材を組織化する予定です。

国際交流部 森

6月27日には大阪商工会議所にて地元企業8社との交流を実施しました。大阪の企業が持つ高度な省エネルギー技術が上海市に導入され、上海市の環境が改善されることを期待しています。

テレビ局からの取材を受ける上海市省エネルギーセンター戦略発展部主任秦団長。「日本ではこれまで見たことのない省エネ技術を見ることができた。今後も技術交流を継続したい」とコメントされました。

TOPIC 大阪の企業8社との交流会を実施

2013年6月27日大阪商工会議所において「大阪—上海 環境・省エネ技術交流会」が実施されました。本交流会は、JICA2013年度大阪府・上海市草の根技術協力事業「上海市省エネ指導者育成事業」の一環として実施され、大阪府の呼びかけに8社の地元企業が参加されました。交流会に先立ちテレビ大阪から研修についての取材があり、研修員の団長がインタビューを受けました。団長は「来日してこれまで見たことのないような省エネ技術を見ることができた。技術交流はこれからも必要なので続けていきたい」とコメントしました。また参加された企業の方は、「以前は工場進出という形がよくあったが、今後はコラボしながら現地の方々と取り組む形が出てきた」とし、現地行政府担当者である研修員に、直接技術をアピールできる機会を歓迎されていました。インタビューは交流会の映像と併せて同日夕刻のニュース番組で放送されました。
交流会では8社がプレゼンをされ、自社の省エネルギー関連商品について説明されました。中には通訳を介さず、直接中国語でプレゼンをされた社もありました。発表を受け、上海からの研修員も積極的に発言があり、数多くの技術的な質問が上がりました。研修員の満足度もとても高く、「エネルギーの可視化は有効な管理方式であり、中国国内企業もこのように精密な管理によってエネルギーの消費をコントロールすることが大変重要である」「日本の製品は性能が良く、省エネで環境に配慮されており、帰国後需要の有りそうな企業に紹介することができる」などのコメントが寄せられました。
この交流会をきっかけに、大阪の企業が持つ高度な省エネルギー技術が上海市に導入され、上海市の環境が改善されることを祈念します。

国際交流部 林

研修概要

研修名
2013年度JICA草の根技術協力事業上海市省エネ指導者育成事業 訪日研修
実施期間
2013年6月19日(水)〜28日(金)
研修参加者
上海市において省エネ(特に空調、ポンプ・送風機、エアコンプレッサー)を推進・指導する立場の専門家9名
研修内容
  1. 研修員が自治体や企業の省エネに対する取組みを視察する。
  2. 研修員が日本で学んだ内容をどのように上海における指導や自社での運用に活用するかについての行動計画を作成する。
  3. 研修員が電機システム(空調、ポンプ・送風機、エアコンプレッサー)の省エネマニュアルの素案を作成する。
  4. 大阪府下の省エネ技術を持つ企業との交流会を実施し、上海市における工場・事業所で活用できる日本の製品・技術の導入を検討する。
委託元機関
JICA関西
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
〈専門家〉
・省エネルギーセンター 津守宏計氏
・アズビル 橋本重行氏・大藤協四朗氏
・ダイキン工業 平野芳和氏 〈訪問先〉
・近畿経済産業局
・省エネルギーセンター
・大阪ターミナルビル
・大阪エネルギーサービス
・大阪ガスファシリティーズ
・ダイキン工業 ショールーム「フーハ」
・サントリー酒類 京都ビール工場
・酉島製作所
・ダスキン大阪 中央工場
・大阪府立労働センター
・ダイキン工業 金岡工場
〈交流会参加企業〉
・グンゼエンジニアリング
・桜川ポンプ製作所
・立花エレテック
・中央電機計器製作所
・テラル
・阪神動力機械
・ミヤワキ
・ユニックス

研修のテーマ :  環境