西安市の浮遊粒子状物質の削減を目指して/京都市・西安市JICA草の根技術協力事業 訪日研修(2013年2月)

京都市測定局での研修風景。京都市の地図を見ながら訪問測定局の役 割や意義を確認しました。

本事業は、西安市の友好都市である京都市が進めてきた大気汚染対策等の経験を伝えることで西安市の大気環境改善に貢献し、両市の友好関係の更なる発展につなげることを目的とした3年間のプロジェクトです。2008~2010年に実施した大気環境改善全般をテーマとした研修成果を踏まえ、2012年度より浮遊粒子状物質対策に重点を置いた新たな事業が3年間の計画でスタートしました。今回は、昨年7月の専門家派遣で得られた情報を基に本邦研修を実施しました。

実はずっと前から

近年、中国から飛来する浮遊粒子状物質(PM2.5やPM10等)の問題が日本で関心を集めるようになりました。本邦研修は丁度そのようなタイミングで実施されたため、その様子を多くのメディアに取り上げていただいたのですが、その際、よくマスコミの方々に聞かれたのが「中国からの浮遊粒子状物質問題の深刻化を受けて急遽この研修を実施したのか?」というような質問でした。

この質問に関連してお伝えしたいのは、本研修の構想は2011年の夏に西安市側の意向・問題意識を基に京都市とPREXが練り、同年秋のJICAの公募に応募し、その結果2012年度事業として採択された案件であるということです。実は日本で大きく取り上げられる前から、西安市の環境分野の行政官は問題の危険性・深刻さを十分認識しており、様々な環境問題の中から解決しなければいけない課題としてテーマを選択し、京都市に事業の実施を求めるに至った経緯があります。地方自治体である西安市ができることには限りがあり、急に全てを改善することは難しいかもしれませんが、西安市が真剣にこの問題に取り組もうとしているのは確かなことです。

国際交流部 折井

研修概要

研修名
京都市西安市大気環境改善
実施期間
2013年2月21日(木)~3月6日(水)
研修参加者
西安市の環境分野の行政官5名
委託元機関
独立行政法人 国際協力機構
関係機関
関西経済連合会
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
京都市 (環境指導課・環境管理課・衛生環境研究所・歩くまち京都推進室・北部クリーンセンター・北部環境共生センター)、立命館大学 周教授、堀場製作所、環境省、国立環境研究所、パナソニックセンター東京、大日本印刷

マスコミから取材を受けたPM2.5対策の研修

すっかり耳慣れた「PM2.5」、昨年同時期にこの意味を知っている一般市民はかなり少数派だったと思います。PM2.5とは、大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質よりも小さな粒子です。PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。PREXでこれまで実施してきた研修事業の中でも、これだけマスコミからの取材が殺到したものはありません。尖閣問題で中国人の訪日が限られている中、大気環境改善のための研修を受けに日本に来ている行政官は、格好の取材対象であったことは間違いありません。JICAやPREXについてはほとんど報道されなかったのは残念ですが、研修員も日本がこの問題にこれほど強い関心を持っていることを肌身で感じたことは疑いなく、帰国後一層力を入れて職務に励まれることでしょう。

国際交流部 酒井

研修のテーマ :  環境