ベトナムで離職率を下げるには(2012年11月)

「評価や給与の仕組みを工夫し離職率が低い」と自社の事例を紹介した研修員(中央)。

8月1日、大阪国際交流センターで近畿経済産業局、JICA関西、パナソニックエクセルインターナショナル、PREXが協力し、ベトナムとの関連がある関西の企業8社と「経営塾」研修に参加したベトナム人経営者23名が「人材の採用と育成」「改善活動」、「品質管理」「研究開発」をテーマに意見交換するプログラムを実施しました。PREXは、今年度から「関西企業のグローバル化支援」プロジェクトに取り組んでおりその一環として企画したものです。意見交換の一部と研修に参加した日本向けのソフトウェア会社のベト氏からの所感を紹介します。

日本企業が抱える課題は「人材」

研修員は、日本の企業とも取引を持つ化粧カートンボックス製造会社(従業員600名)、機械装置・部品製造会社(従業員52名)、紙製パッケージ製造会社(従業員140名)、鋳鉄製品会社(従業員120名)等、ベトナムの裾野産業を担う企業の経営者・経営幹部等23名です。意見交換会のAグループでは「人材の採用と育成」をテーマにディスカッションを行い、「報酬」や「評価システム」のあり方について日本企業の考え方とベトナム人経営者の経営理念の違いが顕著に表れました。 まず、ベトナム人経営者の「ベトナムでの経営にどのような課題を感じているか」との質問に対しベトナムに進出している日本企業からは「教育、人材の質や人材の不足」、「離職率の高さ」が上げられました。 ベトナム人経営者からは「ベトナム人と日本人では給与に対する考え方にかなり違いを感じる。日本企業の給与は、アメリカの企業に比べて始めは遜色がないし、教育も非常にしっかりしてくれる。ただ3年目以降の昇給のスピードが緩やかになるため、分岐点でアメリカの企業に移る人が多い」、「ベトナム人は成果報酬を期待している。評価と給与のシステムがよくわかるとやりがいを持って働くのではないか」、「当社では、社員を2つのグループに分け評価している。リーダー以上は成果主義で評価し、一般スタッフはチームで評価している。少しでも長く会社に勤めてもらうため長年働いた人にはボーナスを支払っている。それに追加し3カ月に一度はボーナスを支払う仕組みや社員の積み立てをテト(お正月)に一気に手渡すようにして社員のモチベーションが高まるようにしている。離職率は低い」と、日本企業の「報酬」や「評価」の制度に改善が必要ではないかという点が強調されました。

ベトナム人経営者23名とベトナムと関連のある関西企業8社が 「日本企業がベトナムに進出する際の課題」をテーマに意見交換した。

民間外交で信頼関係を構築

一方、日本企業からは「成果主義の先には、自分さえよければいいという考えに行き着く。日本人にはチームワークを大切にしてプライドを持って仕事をするという気持ちがある」「離職率が高いのは、経営者の責任。社員教育は心から挨拶する、履物をそろえる、トイレの掃除から始まって5Sがある。教育を通じてトップの考えを浸透させることが大切である」と「本人の仕事に対する考え方」や「教育」を大切にする経営理念について説明がありました。 「報酬」や「評価」、「働くことの価値」について双方から率直な意見が出されましたが、日本企業の経営者からは「日本でも人材については苦労する点が多い。必要なのは一緒に働く人への思いやりがあり、自ら改善ができるまじめな人である。ベトナムの方は優秀な人が多いし、ベトナム企業と日本企業の民間外交で信頼関係を構築していきたい」、「グループに分けての意見交換は良かった。ベトナム人経営者の中には勉強しているしっかりした人もいたが、まだ日本の経営を修得していない。今後交流していけばよいと思う」、「今回初めて参加し、PREXの存在を知った。フィリピン、タイなど東南アジア全般に関心があり、PREXの事業は今後ますます重要になると思う」等の意見をいただきました。 PREXでは、海外に事業展開しようとする関西の中小企業が各国の研修員と交流する場づくりに努めています。参加企業からは、「研修員との交流から、海外の生の最新情報が得られた」、「ビジネスを超えた出会いや交流は貴重である」といった声をいただいています。また研修員からは、訪日研修を通じて多くの日本の経営者の考えに触れ、「是非日本企業と仕事がしたい」とメッセージが寄せられています。 今後もこうした交流を通じて、日本企業が海外とのネットワークを築き、ビジネスに繋げていくお手伝いができればと考えています。

ベトナム研修員の声はこちら→ http://www.prex-hrd.or.jp/modules/training/content0142.html
 

国際交流部 菅原、浅沼

研修のテーマ :  経営管理