中小企業支援策を互いに学ぶ/JICA中小企業振興のための金融・技術支援(1)(2010年5月実施)
自国の政策の在り方について話し合うバングラデシュ銀行のアラム氏(右)とインドアンドラプラデシュ州女性協同組合・金融公庫のヴェンカト氏(左)

PREXでは、本年度、「中小企業振興」に関連する研修として、上級編「中小企業振興のための金融・技術支援」研修2件と基礎編「中小企業振興政策」研修3件の計5件の研修を実施します。中小企業の集積する関西で、多くの中小企業を訪問しその経験に学ぶことで、途上国の幅広いニーズに応えることができます。

今回は、JICA(国際協力機構)より受託し、今年度よりスタートした「金融・技術支援」を紹介します。

金融支援・技術支援・ディスカッション重視の研修

同研修では、中小企業整備基盤機構や東京都中小企業振興公社などの訪問により経営支援など全体的な支援策を学ぶ時間を設けると同時に、日本の信用保証制度や現在ある融資システムの改善の動き、技術支援を行う公設試験所や高い技術力を持つ企業への訪問など金融支援・技術支援策に特に重点をおいてカリキュラムを構成しています。

もう一つの特徴として、同研修ではディスカッションの時間を多く取り入れることにしました。研修期間が4週間にわたるため、訪問先も16箇所と多くなります。そのため、講師や訪問先から学んだ知識をまとめ定着させるための時間としました。また、金融支援と技術支援に携り、ある程度経験のある12カ国から16名の研修参加者が自身の知識と経験に照らし合わせながらお互いの国からも学びあうためです。

12カ国16名の研修参加者

バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、ラオス、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、スリランカと12カ国から16名の行政官が今回の研修に参加しました。アジア・大洋州が対象となっていますが、それぞれが多様な文化、多様な背景を持った国々です。宗教も違えば言葉も違う、主要産業や経済の発展度合いも大きく異なります。シチュエーションレポート発表やアクションプラン発表、ディスカッションを通して見えてきた各国の制度や課題について少しご紹介します。

各国の制度確立の違い

互いの国の中小企業振興について学びあう研修員

マレーシア、インドでは信用保証制度が確立されており、両国からの参加者は日本の信用保証制度から改善点を検討していました。その一方、他の国では導入されていません。導入検討段階にあるモンゴルからの参加者は、信用保証制度確立のための調査担当者であったこともあり、大変熱心に研修に参加されていました。また、バングラデシュではいったんは取り入れられたものの円滑な運営ができず制度が廃止されてしまったそうです。現在は再度取り入れようと検討していると参加者は述べていました。

また、生産性と品質の向上を目指し、技術を向上させて輸出も検討していきたいという考えは多くの国で見られる共通の課題のようです。ネパールでは主要産業であるカーペットの技術、スリランカでは染色と成型の技術を向上させる技術支援センターを設置するというアクションプランが発表されました。

12カ国から訪れる研修員は日本の制度だけでなく、シチュエーションレポート発表やディスカッション、空き時間などを通して、お互いの国からも学び合っています。日本の状況とは大きく離れる制度を持つ国々で他国の事例が参考になる場合や同様の悩みを話し合う場合もあります。相互の学びあいは日本で集まったからこそできる大切な機会です。ここ日本で集まって「中小企業支援施策を学び、自国で適用できる施策を提案する。」という共通の目標に向かって研鑽しあいながら学び合う。この機会を活かして研修員がさらに活躍することを楽しみにしています。

国際交流部・コースプランナー 奥村 玲美

事業概要

研修名
中小企業振興のための金融・技術支援(A)
実施期間
2010.5.31(月)~6.25(金)
研修参加者
中央省庁、地方自治体、公的支援機関などで中小企業振興(金融・技術支援)に携わる行政官16名
委託元機関
独立行政法人国際協力機構(JICA)大阪国際センター
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
兵庫県立大学 経営学部 事業創造学科 佐竹隆幸教授、大力鉄工、阪南大学 経営情報学部 関智宏准教授、兵庫県中小企業家同友会、新星電気、中小企業基盤整備機構、東京中小企業投資育成、日本政策金融公庫、東京都中小企業振興公社、二葉、ビジネスプランニング勝瀬典雄代表取締役、外池酒造店、近畿高エネルギー加工技術研究所、大阪府商工労働部、京都信用保証協会、京都信用金庫、音羽電機工業、高丸工業
研修のテーマ :  中小企業振興