30周年を記念して集うアセアンの同窓会/関経連アセアン経営研修30周年記念事業(2009年11月)

下妻 博

関西経済連合会 会長

「関経連アセアン経営研修」30周年記念事業を開催できたことを大変うれしく思う。この30年間に、本研修にご参加いただいた皆様、並びにインドネシア商工会議所(KADIN)やインドネシア・日本企業家協会(HIMPUNAN)をはじめとする協力団体などご協力を賜った皆様に対し、心より感謝申し上げる。

日本・アセアンの経済関係

日本とアセアンの経済的な結びつきは、近年ますます強固なものとなってきている。日本のアセアンとの貿易総額(輸出+輸入)は、約22兆円で、中国、米国と並ぶ最大の貿易パートナーである。

アセアンにとっても日本は、中国やアメリカ、EUと並ぶ最大の相手国となっている。日本とアセアン諸国は、相互依存関係を深めている。

具体的には、貿易、投資などの実体的な経済関係の発展に加え、経済連携協定(EPA)や包括的経済連携(CEP)協定の交渉、さらに金融面での協力など、将来的な東アジア全体の経済統合も視野に入れた動きが加速している。 さらに、2008年7月に発効した「日・インドネシア経済連携協定」によって、今後は貿易・投資だけでなく、多方面の交流が活発化することが期待される。

アセアン経営研修

関西の企業は、日本の中でも比較的早い時期から、インドネシアをはじめアセアン各国に進出し、関係を深めてきた。

「アセアンの経済発展を人材育成の面で応援していきたい」─こうした思いから、関西経済連合会がアセアン諸国の企業経営幹部を対象に、「関経連アセアン経営研修」をスタートさせて30年たった。当初は1ヵ国ずつ5名規模で実施したのが、今や10ヵ国15名規模にまで広がっている。経済環境が変わると企業経営のスタイルも変わる。その変化、求められる企業経営スタイルに対応できる人材の育成、人材育成分野における関西の取り組みなど、30周年記念行事としてインドネシア・ジャカルタで話し合った。同窓生、アセアン各国の経済団体、アセアンの企業などが参加した。

PREXは、1990年から関西経済連合会から本研修を受託し実施してきた。また本事業には、支援団体として企画運営に携った。関経連は、1980年に「アセアン経営研修」を開始した。アセアン各国の企業経営幹部を対象に、日本的経営の特色を学び、日本企業のみならずグローバルな視点でビジネスを円滑に行う目的で実施してきた。

パネルディスカッションの模様。インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムを代表したパネリストからアセアンの関係強化に資する人材育成のあり方について意見が述べられた。

この研修では、30年間で現地研修を含めると約1千名の研修生が受講し、アセアンの経済界はじめ各界に人材を輩出してきた。これもひとえに、アセアン各国の協力団体の皆様のご支援がなければできなかったことであり、御礼申し上げる。また、日本・関西においては多くの企業、特に中小企業に受け入れなどで協力をいただいた。この場を借りて御礼申し上げたい。今回、関経連は「ジャカルタ宣言」という形で、「アセアン経営研修」に加え、関西が強みを有する環境・省エネの分野で新しい環境人材事業を実施していくことを打ち出した。今後ともPREXと連携しつつ、アセアンの発展のために、人材育成事業への取り組みを強化してまいる所存である。

シンポジウム閉会の挨拶では下妻関経連会長から「ジャカルタ宣言─アジアを世界の環境先進地域に」が発表された。

フォローアップ研修ではインドネシアの同窓生の企業を訪問。

担当者のレポート

懐かしい同窓生の顔ぶれ

懐かしい同窓生の面々と。

「三浦さんだよね。」受付にいると、次々声がかかる。アセアン各国から、同窓生が集まってきたのだ。それぞれ違う思い出を持って。

今回の一番懐かしい同窓生は、1980年代に参加された研修員(フィリピンとシンガポールからの参加)だ。

案内状を見て、大阪滞在を懐かしく思って参加したとのこと。「訪日研修で松下電器(当時)に表敬訪問したときは、松下正治会長だったよ。今回息子さんに会えるんだ」と時代を感じさせる発言。参加当時すでに経営幹部だった彼らは20年たった今、ますます忙しくされている。

「日本に行ってきたところだよ」とシンガポールの同窓生は言う。ピューター(錫を主成分とする合金)製品で有名なRoyalSelangorの役員だ。「研修を受けてから日本は身近になったよ。日本人との付き合い方もうまくなったかもね。」と、市場開拓に余念がない。次はどこに行くのだろう。

固い絆で結ばれるアセアンの同窓生たち

「関経連アセアン経営研修」はたった1週間の訪日研修だが、アセアン各国からの研修参加者は、ともに過ごした仲間同士、研修後も連絡を取り合っているとよく聞く。

今回参加した1996年の同窓生も結束が固い。アセアン出張の度に連絡を取り合い、時間を見つけては食事をしたりしているという。中には家族ぐるみの付き合いになっている人もいるそうだ。

研修を企画するPREXとしては、研修で得たことが企業経営に役立てばと願っている。学んだ知識を仕事に活かしてくれる話もうれしいが、このように友情が育まれていると聞くと、これもまたうれしい。今回もセミナー終了後、早速同窓生同士で出かけて行った。インドネシア、フィリピン、シンガポール、そして、日本。これからもいい関係でいたい。

日本の生産管理を導入し成功するインドネシア同窓生

そして、ホスト国であるインドネシア同窓生。場を盛り上げようと、多くの同窓生が参加してくれた。中でも企業訪問を受け入れてくれた同窓生に感謝したい。

彼の会社の工場では、日本の生産管理方法を導入し、順調に業績を伸ばしている。5S、カイゼン、カンバンなど、インドネシア従業員にとっては初めての概念だったことから、浸透するまで1年はかかったそうだ。日本の工場から見たらまだまだ改善しないといけないところは多いが、「改善しつづける」との力強い言葉を述べたこの企業はまだまだ伸びそうだ。

「40周年でまた会おう」が私たちの合言葉になった。その時には何をしているのだろう。お互い胸をはって、これから10年の歩みを報告したい。

国際交流部 担当課長 三浦 佳子

「関経連アセアン経営研修」30周年記念事業

開催場所
インドネシア・ジャカルタ市
記念シンポジウム
開催日
2009年11月10日
参加者
アセアン経営研修同窓生、各国の協力団体、インドネシア商工会議所、日本大使館、ジャカルタ・ジャパン・クラブ、使節団メンバー、プレスなど150名
プログラム
【テーマ】
「変化するアセアン経済と日本・アセアン間の関係強化に資する人材育成のあり方」
【主催者挨拶】
下妻博 関経連会長
【来賓挨拶】
  • クスモ インドネシア商工会議所 日本・インドネシア経済委員長
  • ダルマディ インドネシア工業省運輸
  • 通信機器総局長
  • 西村英俊 東アジア・ASEAN経済研究センター事務総長
  • 塩尻孝二郎 特命全権大使
【基調スピーチ(1)】
松下正幸 関経連副会長・国際委員長
【基調スピーチ(2)】
サヤカーン・アセアン事務局次長
【パネル・ディスカッション】
モデレーター:
小田野純丸 滋賀大学経済学部教授
パネリスト:
  • クスモ インドネシア商工会議所委員長(インドネシア)
  • サティット 元タイ投資委員会長官(タイ)
  • フィリップ サンテ社社長(フィリピン)
  • フン ベトナム商工会議所 ホーチミン市支部副支部長(ベトナム)
【閉会挨拶】
下妻博 関経連会長(ジャカルタ宣言)
同窓生フォローアップ研修
開催日
2009年11月11日
テーマ
「これからのアセアンで求められる企業経営と人材育成の役割」
内容
インドネシア同窓生の企業への訪問と討議
参加者
計40名(①「 関経連アセアン経営研修」同窓生, ②アセアン各国のカウンターパート)
お世話になった方々、企業・団体他(敬称略、五十音順)
滋賀大学 小田野純丸教授、インドネシア商工会議所、松下ゴーベル財団