カンボジアの最新動向とODA の現状レポート(2014年8月)
JICA 中部 所長(前JICA カンボジア所長)
鈴木康次郎
カンボジアは1970 年代から1991 年の長い内戦の時期があり、暗いイメージを持つ方も多いと思います。迫力あるアンコールワット遺跡群があり豊かな田園風景がある一方でプノンペンの町では高層建築やおしゃれなカフェ、日本食レストランが急増しています。2009 年から2012 年12 月までJICA カンボジア事務所所長を務めましたが、今カンボジアは「投資の旬」の国といえるのではないでしょうか。
多様化が進む日系企業の進出状況

カンボジアへの投資のメリットとしては、

  1. 政治的・社会的安定性
  2. あらゆる分野でのODA に基づく良好な二国間関係
  3. 高い経済成長と安定したマクロ経済
  4. 自由な外資政策と外資優遇策
  5. 安価で豊富な労働力
  6. 南部経済回廊に位置する地理的優位性
が挙げられます。
日系企業の進出状況としては、従来は縫製業が主でしたが、2010 年からは様々な分野に広がっており、電子・輸送機器部品製造業の進出も進んでいます。また現地需要をターゲットとした小売業も急増しています。主な企業を挙げますとデンソー、ミネベア、矢崎総業、住友電装、コンビ、スズキモーター、味の素、ロート製薬、イオンモール、王子製紙(植林・木材チップ)、などがあります。

 

カンボジアの抱える課題と日本の支援

カンボジア日本人材開発センターではビジネス人材育成のためのセミナーが開催されています。PREXでは関連の訪日研修を受託して実施しました。(2013 年9 月撮影PREX)

カンボジアプノンペンの町の様子
(2013 年9 月撮影PREX)

課題としては

  1. 熟練技術者や中間管理職の層が少ないこと
  2. 物流インフラ及びコストが比較的高いこと
  3. 電力供給の不安定さと価格の高さ
があります。
人材育成については産業界の求める基礎的能力の備わった質の高い技術系人材の労働市場への供給が課題となっています。
JICA では、カンボジア工科大学の能力向上のための技術や日本人材開発センターでのビジネス人材育成などの支援を行っています。経済インフラ(道路、電力、港湾)の整備については、ODA による南部経済回廊の整備、主要都市における系統電力線網の整備、シハヌークビル港の整備への協力を実施しています。またカンボジアの社会の安定を支援する様々な事業を展開しており、目に見える成長につながっています。

 

  • この10 年間で安全な水にアクセスできるようになった人口は97 万人超となりました。
  • 民法・民訴法が制定され2011 年12 月には内戦後初の適用となりました。
  • 地雷犠牲者は450 人(2006) から186 人(2012) に半減しました。
  • 米生産量は7 年間で626 万トン(2006) から939万トン(2013) と50%増加しました。
カンボジアの対外関係

中国はカンボジアに対して2013 年までの約20 年間で約104 億ドルの民間投資があり最大投資国となっています。特に水力等のエネルギー、観光、縫製業などの分野で活発です。二国間貿易についても近年飛躍的に増加しています。2011 年は総額25 億ドル(前年比73%増)。両国は2017 年までに年輸出入50億ドルを目指しています。経済援助は、2000 年代後半から優遇借款を中心に急増し、総額では2010 年に日本を抜いてトップドナーとなっています。

日本は2009 年まで経済援助のトップドナーでした。カンボジアにとって日本は特別な国となっています。国民は非常に親日的で町中に日本の国旗がデザインされた工事現場の看板を見かける地域もあります。JICA は日系企業の投資促進のための各種支援スキームを準備しています。カンボジアの成長に寄与する投資が実現することを期待しています。