インドから見た日本企業(2013年1月)

2月7日、インド人行政官と関西の企業経営者が
「日本企業の強み」について意見交換しました。

2月7日、JICA青年研修事業「インド地域における中小企業振興コース」に参加したインド人行政官18名と関西の企業経営者等7名が「日本企業の強み、労働倫理、働き方、人材の確保」等をテーマに意見交換するプログラムを実施しました。PREXは、今年度から「関西企業のグローバル化支援」プロジェクトに取り組んでおりその一環として企画したものです。インド人の日本に対する率直
な疑問を中心に意見交換の一部をご紹介します。
日本の企業の強みは? 小さな企業が大企業になるには?

「日本企業がこれほど品質を大切と考えていることがわかって興味深かった」
インド全国小工業公社 ディレンデル氏

Q. インド行政官の質問

日本滞在中、人材の高齢化、人のいない機械化された工場があることに気がつきました。立ち寄ったお店には中国製品があふれていました。日本人は、これからの自国の強みや他国との競争力をどう考えていますか。

また、日本の戦後の経済復興を支えた企業の強みはどこにあったのですか?小さな企業が大きな企業になった経験からアドバイスをいただきたいです。

A. 日本企業経営者の回答

日本企業は、日本人の勤勉さ、誠実さ、強調性、技術力、従業員の会社に対する忠誠心などが強みだと考えています。今後は人的資質に依存するサービス、ソフトウエア技術、ロボット、デザイン、エンターテインメント、医療など、ものづくりにソフト・サービスを融合した新分野へ、競争力をシフトしていくと考えています。

戦後の経済復興を支えた企業の強みは、日本人の「仕事に対する姿勢」ではないでしょうか。「日本人は100の仕事を頼めば120の仕事をする」と言われています。

企業を大きくするアドバイスは、「品質の追求」です。当社も初めは小さな企業で、常にいい品質の製品を作ることを目標にしてきました。企業理念は「Happy Surprise(! 驚きを与える商品、サービスでお客様を幸せにする)」です。他の会社が作れないものを作りたいと考えています。

なぜインドが一番のビジネスパートナーではないのか?

「日本企業に是非インドに来てほしいです」
インド小企業開発銀行 ムラディラン氏

Q. インド行政官の質問

日本では、ビジネスパートナーと言うと中国、タイのあとにインドがあがるようです。インドの優先順位が低いのはなぜでしょうか。インドのハンディクラフトの製品などは滞在中に見かけなかったです。

また、日本では経営の意志決定はトップダウンでなく、部門横断的な横方向での意志決定と言われていますが、どういうことでしょうか。

A. 日本企業経営者の回答

まずは、距離的な問題。それから文化的、宗教的な面で、インドは遠い国という印象があります。インドというと日本でもカレーやヨガ(ダルシム)が有名ですが、ビジネスでの相互の交流が少なく、インドでのビジネス情報の少ないのが現状です。

意志決定については、経営方針や経営目標の決定は、日本でもトップダウンです。但し、その方針や目標を実現させる戦略や戦術の面で経営層が部下の意見に耳を傾けたり、意志決定する前に、実現可能なのかを部下に聞いたりするので、日本は、横方向の意志決定方法が多いと思われがちです。

日本は意志決定に時間がかかると言われますが、決定する前に社内の同意を取っている場合が多いので、いったんものごとが決まると、それは覆されることはなく、強い関係を構築できます。

インドで求める人材を採用するには?

「インドでは親、子、孫と一つの企業に働き続ける家庭が多かったが、経済成長の中より条件の良い企業で働きたい若者が増えている」中小企業庁 サガル氏

Q. 日本企業からの参加者の質問

インドに駐在員事務所があり、インド全域へ日本製品を売り込む販売促進員を採用したいと考えています。現地でどのようにしたら良い人材を採用できるでしょうか。

A. インド行政官のコメント

人材紹介・斡旋業を営む民間の経営コンサルタントに相談するのがよいと思います。経営コンサルタントは、ウエブサイトに多数掲載されています。

インドでは、日本のハローワークのような公的な人材紹介サービスは整っておらず、民間の経営コンサルタントが人材リクルートも支援しています。大手の経営コンサルタントは日本のみならず欧米企業の人材リクルートも請け負っています。専門分野別の人材のデータベースも持っており、良い人材が登録されています。

インドでは良い人材を採用するには、基本給に加え、成果を出した社員にボーナスや追加の報酬を与えてモチベーションを上げるような給与体系を明示してリクルートをするのが効果的です。インドでも日本のように、経営者に敬意を払ってずっと同じ会社に勤め続ける人もいます。また条件が良ければ一つの会社で働きます。ただ、インドは雇う側も雇われる側も選択する機会が拡大しています。若い人たちにとって会社での役職や給与、社会的地位が働く意欲に大きく影響します。

12億人の人口を有するインドでは雇用創出力の高い、労働集約型製造業の発展が目標です。インド商工省は、2011年11月国家製造業政策を公表し、2022年までの10年間でGDPに占める製造業のシェアを現在の16%から最低25%にするとし、同時にこの間に製造業で一億人の雇用創出を目指します。製造業育成にあたっては、インフラストラクチャーの整備、制度構築、サポーティング・インダストリー育成等の面において課題があり、特に進出してくる外国企業を支える金型、鋳造、めっき等の基盤技術を有する地場のものづくり中小企業群の育成が追い付いていないと言われています。本研修は、日本の中小企業と中小企業振興施策の現状を学ぶことによりインドの製造業発展の一助となる人材を育成することを目的にしています。研修に参加したのはインド中小企業庁、インド小企業開発銀行等で中小企業振興を担う行政官です。意見交換会では関西の企業や公的機関を訪問して疑問に感じた「日本の労働倫理」「日本人の働き方」等に関心が高く、具体的な質問があがりました。

(国際交流部 三浦、関野)