太陽光発電導入の現状とニーズ―モロッコ、インド、エルサルバドル、タイ(2011.10月)
2011年9月に実施した「JICA太陽光発電導入支援計画研修」には、アゼルバイジャン、バングラデシュ、コスタリカ、エルサルバドル、インド、ヨルダン、モロッコ王国、パレスチナ、サウジアラビア、セイシェル諸島、タイ、チュニジア、ウルグアイの13カ国・地域の行政官が参加しました。このうちの4カ国について太陽光発電導入の現状とニーズについて紹介します。

モロッコ王国
西は大西洋、北は地中海に面している北アフリカ北西部に位置するモロッコは、日本と同様に石油や天然ガスなどの天然資源を持ちません。このため、エネルギー需要の95%を輸入に頼っています。エネルギー需要は年率7%の伸びを見せており、ここ10年で電力供給能力を倍増していかねばならず、そんな中で同国政府は水力・風力・太陽エネルギーなど再生可能エネルギー分野に重点的に取り組む姿勢を示しており将来的には欧州へ再生可能エネルギーを輸出する計画も持っています。
太陽エネルギーでは太陽熱と太陽光で2020年に電力消費量全体の14%をカバーする目標を立て、2000MWの発電設備建設を掲げています。
本研修には昨年に引き続きモロッコ環境省からの参加があり日本の太陽光産業の発展の歴史や制度・政策、持続可能なオペレーションやメンテナンスについて習得されました。(写真右がモロッコの研修員)
 

インド
インドでは4億人が依然電気をアクセスできない状況であり、また、年率8%の経済成長を維持するためには発電能力を今後 10年間で現在の水準の2.5倍に拡大する必要があると言われています。そういった観点から、インドでは地方電化の促進や持続可能な成長に向けた国家エネルギー政策の立案・実施が強く求められています。インドの総合エネルギー政策をみると、2022年までに、全エネルギー供給量に占める再生可能エネルギーの割合を10%にすることが目標とされており、太陽光発電については、2013年の 1.3GWを2022年には22GWに増強する計画となっています。今回の訪日研修には再生エネルギー大臣の私設秘書と再生可能エネルギー開発庁の技官の2名が、日本の太陽光発電産業のベストプラクテイスや政策について理解を深めるために参加されました。(写真右がインドの研修員)
 

エルサルバドル
エルサルバドルは人口 700万人、国土面積は日本の100分の6という小国です。国土が狭い割に人工が多く、中米諸国の中で人口密度はトップです。海に囲まれているため、水産物、観光が主たる産業ですが、農産物ではコーヒー豆が有名です。エネルギーの供給源は水力が7%、再生可能エネルギーが63%、石油系が30%となっています。再生可能エネルギーのうち27%は木材バイオマスで、木材加工業の加工工程で発生する副産物を、木材乾燥熱源として木質焚きボイラのエネルギーとして利用しています。残りの36%に太陽光、風力が含まれています。地方の農村の電化率は81%であり、エルサルバドルではこの地方の電化率の向上と石油依存の低減、豊富な日照時間を活用して、太陽光による発電と供給を増大させる目的で、国家エネルギー協議会地方電化部局から1名とレンパ川水力発電執行委員会から1名が参加されました。写真右がエルサルバドルの研修員)

 

タイ
 2010年度におけるタイのエネルギー消費の内訳は、重油が 16%、天然ガスが63%、褐炭が 10%、天然ガソリンが9%、再生可能エネルギーはわずか2%となっています。タイでは低炭素社会への貢献をめざし、2022年には再生可能エネルギー比率を 20%まで高める方針を作成しました。そのために(1)日本あるいは世界が取り組んだ太陽光の経験、(2)最新の太陽光の研究開発状況、(3)持続可能な太陽光マーケットを作るための方針、(4)屋根付タイプの住宅用太陽光発電を進めるための方針、等々を学ぶためにエネルギー省代替エネルギー開発局から1名と科学技術開発庁電子工学技術センターから1名の行政官が参加しました。今回太陽光パネルの研修で訪れたシャープは、タイの大規模太陽光発電所(73MW)の保守・メンテナンス業務を受託契約し、2010年8月に着工以降、薄膜太陽電池モジュール・周辺システムの供給、建設を進めています。