世界は人で、できている。
HOME > PREX island > PREXベトナム人リーダー育成研修を利用いただいた方の声②中農プレシジョンロングインタビュー

中農プレシジョン ナム社長&リー副社長ロングインタビュー- PREX Island

PREXスタッフ
PREXベトナム人リーダー育成研修を利用いただいた方の声②中農プレシジョンロングインタビュー

中農プレシジョン(株式会社中農製作所 ベトナム社)のナム社長とリー副社長にインタビューしました。

 

お二人は、2013年度にベトナム人リーダー育成研修をテスト実施した際に参加いただきました。
その後、ベトナム拠点の責任者としてホーチミンで企業経営に携わっておられます。
2022年11月、PREXの岡本専務理事と前田智帆職員がベトナム出張の際に同社を訪問しお話を伺いました。

中農プレシジョンについて教えてください。

2017年に設立され、現在5年が経過しました。
それまでは中農製作所の駐在員事務所として3年間活動していました。
100%中農製作所の資本による設立です。
現在、社員は40名で、24時間3交代制で稼働しています。
メインの製品は金属切削部品、組み立て、油圧シリンダーや半導体、ロボットの部品などで、加工を中心に、材料の調達から熱処理工程、完成品まで対応しています。
加工精度の高いのが特徴で、日系企業を中心に台湾企業との取引もあります。
製品の95%は日本の中農製作所との取引ですが、ベトナムにある日系企業とも取引があります。
工場の面積は840平米です。
ダナンなどベトナム中部地域への第二工場の設置も計画中です。

リーダーの役割について、日本とベトナムの間で理解の違いはありますか?

ベトナムでは、社長以外のリーダーについて、それぞれの役割の違いや必要性への理解が異なると思います。
リーダーそれぞれの役割やその意味について理解を深めて、次のリーダーや幹部になるための時間や、そこでの経験が大事で、それによって分担して力を発揮できるのだと思います。
次のリーダー候補となる人材は、社長が何をしているのか、どういう考え方をしているのかを見ておくことが大切なのですが、ベトナムでは、日本企業の組織や役割についての考え方と理解が違うため、昇格することは賃金が上がるだけと思う人もいて、何のために昇格するのか、役職に就くのかを理解されていないと感じます。
当社では現在、社長が総務・経理・人材の部門長を、そして副社長が生産・品質・購買・営業の部門長を兼任しています。
次の部門長が育たないといけないと思うので、次の10年でリーダーを育成することも役割ですね。

日系企業で働かれているお二人の強みは何でしょうか?

私は経営者としてやりたいことを達成したい、と考えながら働いています。
当社は日系企業ですが、管理者は全員ベトナム人なので、珍しいと言われることもありますが、それが強みだと思います。
当社のような会社では、日本人とベトナム人の間で、技術や方法だけではなく、考え方を合わせることが大事だと思います。
私も2年ぐらいそれについて考えてきました。
今は社員の退職もほとんどありません。
人を育てることは大事だと思うので、丁寧に教えるようにしています。
今では、社員自身が自分の力を伸ばすため、また必要な仕事を早く終わらせるため、自発的に残ったり、週末も一所懸命頑張ったりしてくれていて嬉しいです。

そんな風な組織になるために大事なことは何でしょうか?

信頼関係ではないでしょうか。
私も上からではなく社員と目線を合わせて、理解するようにしています。
もちろん、優しすぎたり、厳しすぎたり、また自由過ぎるだけでは上手くいかないですから、人材育成は難しいのですが、人を育てることはとても大切だと思います。
当社では毎週朝礼を実施して、社員の頑張りも伝えて、叱咤激励しています。
そのためには、しっかりと社員の働きを見ておくことが必要です。
叱ることはもちろんありますが、それ以外は笑顔を忘れず、社員のサポートや協力をする関係です。
社員同士の教え合いや情報の共有も大事ですので、それぞれの成長がお互いに大事だと思えたらそれもスムーズにいくと思います。

人の成長をとても大事に考えておられるのですね?

組織にとって人の成長は大事です。
それで初めて会社が成長するのです。
その結果、いい製品ができたら市場でも受け入れられます。
それらを支えるのは「人」ですから。

お二人のお話を聞いていると、勢いややる気、そして会社の成長を感じます。

コロナの影響はありましたが、昨年から売上は30%アップしました。
目標は高い方がいいと思っています。
頑張らないと嬉しいと思えないのではないでしょうか。
難しい目標であればもっと頑張らないといけないでしょうが、それが結果につながったら嬉しいです。
難しい目標にチャレンジしてほしいし、もしもそれで失敗してもそれは責めません。
でも結果につながったら、とても嬉しいのではないでしょうか。

いま、ナムさんには大きな目標はありますか?

もっと難しいことをしたい、というのが目標です。
将来的には、製品を作るための自社製の加工用の設備を作ってみたいです。

日本人がこちらで働くこともあるのですね?

はい。
中農製作所の人材を受け入れて、ベトナムで営業などの仕事を経験してもらい、欧米での仕事につなげたいという方針です。
最近は海外で働きたいと思う日本人は増えていますが、日本で働くベトナム人が日本の習慣を学ぶように、日本人にもベトナムのやり方に慣れてもらう必要はあります。

日本での勤務経験のある社員さんも多いのでしょうか?

社員のうち10名ほどは3~6年間、大阪の中農製作所で働いていました。
その後、ベトナムに帰国するタイミングなどで中農プレシジョンに入社しています。
そのため、日本の品質もよく理解していて、その経験を活かして頑張ってくれています。
中農製作所とは人材の面で協力していて、私たちがベトナムでエンジニア候補の人の面接を行って、日本に紹介することもあります。

お二人にとって中農製作所での学びはどんなことでしたか?

西島社長は営業が専門なので、いろいろと教えてもらえました。
中農会長や西島社長がいなかったら、私は今ここにはいないと思います。
ずっと中農で働きたいと思うのは、お金ではなくて、素晴らしい上司・人々と出会えたからです。

人材育成についてお考えを教えてください。

まず、社員を信頼して、任せることが大事なのではないでしょうか。
そして、学びの場を与えるだけではなく、学ぶ側が学びたいと思う気持ちも大事です。
例えば、現在の自分の仕事にとって重要なことや、分からないから知りたいと思うことがあれば、それについて学ぶ意欲も高まり、学んだら実践・応用することができるはずです。
先に自分で考えて、失敗して、その上で学ぶことで実践的な知識を理解できるし、学んだらすぐに実践することで身につくのだと思います。

 

訪問を終えて

ナムさんは大学卒業後、ベトナムの国の仕事をしていましたが、その後大学に入りなおして大阪の中農製作所へ入社、リーさんは大学卒業後すぐに中農製作所へ入社されました。
そこからお二人はずっと一緒に働いているので、お互いのことをよく理解していて、息もぴったりでした。
日系企業ですが、ベトナム人であるナムさんとリーさんお二人に運営は任されていて、お二人で力を合わせて経営されていることが良く分かりました。
日本での勤務経験を活かして、中農製作所や日系企業ともしっかりコミュニケーションをしながら、ベトナム人の社員さんとともに中農プレシジョンを発展させてきた背景には、お二人の日本での経験、またお二人の働くことへの姿勢、そして中農製作所の皆さんや中農プレシジョンの社員とともに夢に向かってこられたからこそ、だと思います。

現場も見学させてもらいましたが、整理整頓もされていて社員さん皆さんが明るく挨拶してくれます。
3Sやカイゼン活動、また品質管理や人材育成もしっかり実践されていることが垣間見られ、まるで日本で企業見学をさせていただいている錯覚に陥りました。
こういう企業だからこそ、多くの企業が安心して取引できるのだと思います。

 

中農プレシジョン(株式会社中農製作所 ベトナム社)の詳細は、下記からご覧ください。
Nakano Precision Co.,LTD (nakanos-s.com.vn)

 

  • 掲載日:2023年3月2日
  • 研修名:PREXベトナム人リーダー育成研修
  • 氏名:PREX瀬戸口・前田(智)・岡本

関連記事