チェンジメーカーが社会を変える(3)/シンポジウム2018パネルディスカッション(2018年6月)

201857PREXシンポジウム パネルディスカッション

チェンジメーカーが社会を変える(3)





■後藤 健太 先生

東南アジアを回って企業へのインタビュー調査をしています。苦労して集めたデータを論文にするのですが、昔は公開せず、自分だけで使っていました。誰かに分けると、先に論文を書かれるのではないかと心配したからです。でも、オープンにすると、意外とよい方向に動くことが多いことがわかりました。小野さんの話にもあるように、オープンにするというのは、自分じゃない他人をどう信頼するのかということになるのですが、いろんな失敗もあるにせよ、大きく見ると成功につながるのかなと思いました。

 

【会場からの質問】

協働ということはシンポジウムのキーワードだったと思います。パネリストの皆さんにお聞きしたいのは、どうやって持続されているのか、という点です。始めるより、もっとつらいご苦労ではないでしょうか?

 

■小野 邦彦 氏

人生とはそういうものですね。坂道をボールを押してあがっていくイメージで、楽にならないっすよね。続けることは、すごく大事です。チェンジメーカー、社会起業家と言われ外からはすごいことをしているかのように言われますが、実際は泥臭いことの積み重ねです。社会起業家仲間は、死屍累々なわけです。多くの人を巻き込んで事業を進めているので、逃げ出すわけにもいかずどうにか続けている。そんなのが社会的企業のリアルだと思います。

大変さを乗り切るために心掛けていることは、客観性を持つということです。社会の課題を自分事としながら、自分については他人事感を持つことが大事かと思っています。

あとは、明確にステージの変化を意識することが必要です。創業の初めは、メンバーも少ないので、自分がすべて意思決定をして最短距離を走るというのがテーマです。社員が増え50名になると、自分ですべての意思決定をすることが最速な方法ではなくなります。多様性のある組織をつくって、それを力にしていくべきです。企業に勤めていると課長と部長で振る舞いを変えようと気づけると思うのですが、自分で起業するとずっと肩書は代表です。だからこそ、ステージを意識することが大事だと思っています。

 

■北村 記世実 氏

パレスチナ・アマルは5年目ですが、事業を続けるのは本当にしんどいことです。坂を上がっているというより、崖っぷち感を感じます。でも、いいこともあって、ガザに行くという私の夢の一つが叶いました。神様がご褒美をくださったのだと思いました。サポーターの方をどう巻き込むかということやしんどさを共有してくれる仲間をどう増やすかということも大切だと思っています。

 

■藤原 明 氏

どうやって持続するかということですが、銀行に勤めて26年、銀行を変えるプロジェクトを推進して15年、とやっていると、引くに引けなくなっているというのが実情です。この結果がどうなるか、最後はわかりません。こうしたシンポジウムに登壇をすることも、会場の皆さん方とコミットするということでさらに引けない状況を作っています。これを糧に銀行を変える活動を続けていければと考えています。

 

■後藤 健太 先生

では、シンポジウムの最後に、皆さんから是非言っておきたいことを、お話しいただきたいと思います。

 

■小野 邦彦 氏

目の前の食べ物と向き合って食べてほしいと提案したいです。味わって食べると全然違いますから。雨が続いた後に収穫した野菜は、水っぽいものです。光合成が足りていない味わいというか。同じピーマンでも7月のものと10月のものは肉厚さもみずみずしさもまるで違います。そしてそれぞれの楽しみ方、味わい方があります。品質の安定を追求するのではなく、ブレを楽しんでほしい。

野菜の多様性を楽しむようになると、人の多様性も受け入れられ、人間関係も柔らかくなっていくのではないでしょうか。その結果、世界が全体として生きやすい社会になることを願っています。

 

■北村 記世実 氏

いま、「刺繍難民にならない!ガザ難民女性300人の尊厳を守るモノ作り」というクラウドファンディングを立ち上げています。73パーセントまで来ています。新しいクラウドファンディングへの挑戦を通してこれまで応援してもらっている方の好意も、より多くの方に知ってほしいと思っています。是非、このクラウドファンディングを応援してほしいですし、ガザの人々やUNRWAの窮状を、マスコミに取り上げてほしいです。

 

■藤原 明 氏

もし私がチェンジメーカーと言えるのでしたら、この会場に集まっているみなさまとともに「SDGs」のそれぞれのテーマについて、何をやらないといけないのかという「やるべきこと」と「強み」の明確化のお手伝いをしていければと思っています。明確化された「やるべきこと」と「強み」を共有することで、新しい価値が生まれて、ビジネスが展開できるということを提案させてもらいたいです。

 

■後藤 健太 先生

独立するということは、独りでできることだと思いがちだが、独立している人というのは、仲間がいて助けてくれる人がいる、そういう人だと思います。人を引き付けることができる人です。引きつける力がないと助けてもらえません。これは今日お話しいただいた4名の皆さんに共通していたことでした。

ガンジーの言葉にあります。「Be the change that you wish to see in the world

世の中いろいろな問題があるのですが、それに不満を持って文句を言うのではなく、あなたがチェンジになりなさい。誰かが何かを起こしていかないと、チェンジは生まれないということです。今、日本にチェンジを受けいれる土壌があると思います。チェンジを引き起こせる人に私たち誰もがなれるのです。4名のお話は大変勉強になりました。

チェンジメーカーが社会を変える(1)
チェンジメーカーが社会を変える(2)

 


―2018年5月7日(月)、大阪国際交流センターにて開催したPREXシンポジウムの内容をまとめたものです。