「関西アジアフォーラム」に参加して 政策研究大学院大学/アジア太平洋研究所 大野泉 氏(2017年2月)

政策研究大学院大学
教授

大野 泉 氏

2016年11 月28 日~ 12 月1 日に関西経済連合会( 以下、関経連) がPREX と連携して開催した、「関西アジアフォーラム」にリソースパーソンとして参加しました。これは1980 年に始まった「関経連アセアン経営研修」の特別企画で、未来志向の観点からアジアと日本、関西の関係を考え、今後の「アセアン経営研修」のあり方を見直すことを目的としたものです。アセアンから8 カ国11 名の経済団体幹部が参加しました。

日本は圧倒的な「先生」ではない

プログラムの1 日目は、問題提起セッションや過去のアセアン経営研修を振り返る講義で、2 ~ 3 日目は、企業・工場訪問や施設見学など、関西の強みを活かした様々な取組の視察(環境・防災、ニュービジネス・ベンチャー、裾野産業振興、イノベーション、農業振興など)や、関西の中小企業や支援機関との交流が行われました。最終日は、内部ディスカッションと公開フォーラムで、関西の人材育成機関や総領事館などの代表を招いて、得られた示唆や提言について意見交換しました。

4 日間を通して強く感じたのは、本研修が本格化しPREX が実施を担うようになった1990 年代初期と比べ、日本とアジア諸国の関係性が大きく変化したことです。

 

第1 に、もはや、アジアにとって日本は圧倒的な「先生」ではないこと。今回、参加者が口々に述べていたのは、各国における中国や韓国企業の存在感の急速な高まりと、これら企業の発信力やデジタル化の取組、意思決定の迅速性でした。シンガポール(今回は不参加)もスマートシティ構想でIT を駆使した社会システムづくりに取り組んでいるとのことです。

 

「日本との新しい関係」への期待

 第2 に、マレーシアやタイなどの中進国は、(先生・生徒の関係を超えて)相互学習や互恵的関係の強化を日本に望んでいること。タイ工業連盟の幹部が、「われわれは日本と新しい段階へ進む必要がある(Weneed a new chapter with Japan)」と述べていたのが印象的でした。実際に、日本企業のアセアン展開は地産地消型へと変化しており、研究開発・設計・流通販売を含め、「現地化」がますます重要になっています。日本は従来の「オールジャパン型」の官民連携を、相手国の人材・組織を深く巻き込んだ「共創型」へと進化させる必要があります。

アジアと日本の中小企業同士の交流を

同時に、日本の魅力・強みについては、参加者間でコンセンサスがありました。企業がマインドセットを鍛え、現場主義やチームワークを徹底させて人材育成を行っていること、自治体や商工会議所が多様なメニューで地元中小企業に寄り添って支援していることです。日本企業が誇る品質や生産性は、関係者の一貫した努力に支えられている点に気づきがあったように思います。ビジネス拡大、マインドセット涵養や人材育成に取り組むうえで、自国と関西の中小企業同士が直接つながる機会を増やしてほしいとの要望が寄せられました。

アセアン諸国の発展段階は多様ですが、産業人材育成と地場中小企業の強化は各国共通の関心事です。今回、日本の中小企業や支援機関との直接交流はアジアの産業ニーズに適っていることを改めて確認する機会になりました。これはまた、関西の中小企業のニーズとも合致していると考えます。