途上国に役立っている!日本の省エネ/IKEUCHIエネルギー企画代表 池内祥晴 氏(2016年12月)

IKEUCHI エネルギー企画 代表 

池内 祥晴

「JICA 省エネ技術と技術普及のための行政の取り組み」研修のコースリーダー、講師として、池内祥晴先生(IKEUCHI エネルギー企画代表)にご指導いただきました。研修員は、池内先生から日本の工場、ビルの省エネルギー推進手法についての講義や、アクションプランの作成指導も受けました。研修を終え、この研修の意義についてお考えを伺いました。

日本の省エネ推進は途上国に応用できるのか?

世界的なエネルギー、気候変動問題への対応として、省エネ対策は極めて重要な課題になっています。開発途上国の省エネ対策は、技術・意識面等の問題から遅れている状況です。日本の省エネ対策は、2回のオイルショック後、着実に成果をあげており、行政、民間部門には経験とノウハウが蓄積されています。これらを知ってもらうことは世界の省エネ推進に役立つと考えています。

日本の省エネは、オイルショック後、大企業の、特に産業部門が中心となり進められました。企業は、本社にエネルギー管理部門を設け、ここをセンターとして、支社や工場のエネルギー部門と連携をとり、省エネにつながる問題点の摘出、改善点等を現場から引き出しました。そして、それを全社的にローラー方式で展開するしくみで省エネを推進してきました。

問題点を見つけ出すための「エネルギー診断」や「小集団活動」等は省エネ推進には有効な手段でした。「小集団活動」というと、日本独特の活動で、各国に根付かせるのは難しいのではという考えもあると思いますが、「5S」が世界に広がっているように、「小集団活動」による省エネ推進もJICA のプロジェクト等により一部の国で広がっています。省エネ診断の専門家としてインドやブルガリア、カザフスタン等を訪問し、省エネ指導をしましたが、「エネルギー診断」技術の習得や「小集団活動」は、省エネ推進に有効な手段だと思いました。省エネ診断用の教育設備を設置して省エネ診断士の育成により省エネが進んだ国もあります。また、インドやベトナムではエネルギー管理士育成のプロジェクトが進んでいます。

省エネを進めるポイントは?

省エネ推進には、ビルや企業のエネルギー設備を、省エネの機能を持つ最新機器に替えることが効果的です。二つ目は、工場診断を受け、問題点を見つけ出し、改善して、エネルギー利用量( 原単位) を管理することです。この二つがポイントとなります。 省エネ推進には国と民間のコラボレーションが必要です。

今回の研修に参加した国は、省エネ法など省エネを推進する法律を持っていますが、日本ほど、細かなガイドラインはありません。日本では、省エネ法と併せ、企業が守るべき基準がガイドラインで細かく定められています。このガイドラインを守ると、必ず省エネができるのですが、そこまで細かいものは、受け入れられそうにありません。

研修はエントリーポイント!

研修期間は、約一カ月。研修員の抱える課題が多岐にわたることから、日本の省エネに関するあらゆる事例をみてもらいました。日本の法制度や日本企業の取り組みをそのまま自国に持ち帰るのは難しいと思います。しかし、さまざまな国からの参加者どうしが相互に情報を共有することで、自国と似た状況の国から得るヒントもあるでしょう。研修は、研修員の課題に対する答えを与えるものではなく、これからの方向性に気づきを得てもらう「エントリーポイント」です。この研修で、帰国後に実行するテーマを一つでも掴んで、周囲の理解を得ながら、粘り強く取り組んでもらえればと期待しています。