「まちの宝の創生」と「感動を呼ぶ研修」をめざして/四條畷学園大学・教授 嘉田良平氏(2016年2月)

四條畷学園大学 教授 総合地球環境学研究所 名誉教授

嘉田 良平

この研修では、嘉田良平先生(四條畷学園大学・教授、総合地球環境学研究所・名誉教授)に研修講師・コースリーダーをお願いしました。日本の農学者・環境学者の立場から、コロンビアの地域産業・観光振興にむけて、日本の農村振興、自然産業化の現状・人材確保・地域おこしのポイント等指導いただきました。研修を終え、今回の研修の意義についてお考えをお聞かせください。

日本の地域を訪問した研修員の驚き

 研修が終わった時の研修員の喜びの表情を見て「感動を呼ぶ研修にしよう」というねらいが成功したと嬉しく思いました。参加者は、研修で初めて顔をあわせるメンバーです。研修の初日には、不安な表情も見られましたが鳥取県、鳥取市、智頭町、高島市、甲賀市、近江八幡市、京都市と特色のある地域の取り組みを見て回るうちに、彼らの表情はだんだん前向きになり、最後は満足し感動した表情でした。

研修最終日、コロンビアの帽子をプレゼントされた嘉田先生と鳥取大学の澤田廉路先生。

伝統と現代をつなぐ地域の取り組み

研修が成功した要因は、何より見学できた日本の地域の取り組みが素晴らしかったことです。初めはコロンビアの研修員が日本の田舎を訪問し学ぶべきものがあるのかと不安に思うこともありました。しかし、実際に訪問し、私自身も日本の地域力を再認識しました。

地域の取り組みのキーワードの一つは、「伝統と現代をつなぐ」です。各地域は歴史・文化・伝統など地域に残された「宝」を組み合わせ「知恵」をだしあって「いま」につないでいます。この切り口は、どの国、どの地域でも何らかの取り組みにつなげられる視点です。きっとコロンビアの皆さんの活動にも取り入れられるでしょう。

ふたつ目は、「自治体の役割」です。地域では、自治体が民と連携し、足りないものを引出し、結びつける役割を果たしています。これは途上国では弱い部分ですが、非常に参考になったようです。

途上国の産地形成、地域振興のシナリオには、先進国の新しいマーケティング方法だけでなく、日本各地の地に足のついた取り組みが参考になると思います。

双方向に学びあう「共振性」

研修は、日本側が研修員に教える「一方向」のものではなく、「双方向」に学びあう場です。研修には「共振性」があるのです。研修員との対話を通じて、海外の人が私たちの取り組みにこんな反応をするのか、と日本人側は感じます。そして、自らの活動をさらに良い方向へ進める機会となります。これも研修の重要な意義のひとつだと考えています。

この研修は、来年度も継続して実施されます。次のステップとしては、さらに学びあい、試行錯誤できる環境を作っていきたいと考えています。日本とコロンビアの共通の課題を軸に、解決の切り口、ひらめきを双方が出しあい、相乗効果を作っていくことで共に学びあう場をめざしたいと期待しています。