注目を集めている中央アジア/福井県立大学教授・PREX研修アドバイザー アンドレイ ベロフ氏(2015年12月)
福井県立大学教授  PREX 研修アドバイザー
アンドレイ ベロフ

ウズベキスタンでのベロフ教授の講義の様子。講義には3 カ国で計77 名の同窓生が集まった。

カザフスタン・キルギス・ウズベキスタン3 カ国での同窓会フォローアップセミナーの講義、研修員との懇談会、研修員の企業への訪問、JICA 日本センターでの話し合いにおいて印象に残ったことを述べたいと思います。

3 カ国の特徴と研修員の様子

今回訪れた3 カ国には明確な特徴があります。カザフスタンにできつつある政治経済制度は一言で言いますと「石油国家」です。つまり、石油景気への依存が強く、石油収入の再分配を行う国家権力も強力です。キルギスは民主主義政策を取っていますが、民族・政治グループなどの「圧力集団」間の調整は難しく、自由の風潮と共に社会情勢には不安定な側面も感じられます。ウズベキスタンの国際経済交流は限られていますが、1990 年代から制度的に行われた輸入代替政策及び国内産業支援は成果を上げています。
各国の特色は帰国研修員の様子にも影響を与えています。カザフスタンの研修員は勤めている企業の具体的な問題を捉え、その解決のために研修に参加しています。キルギスではビジネスのやり方についての基本的な知識が今でも不足しているため、経営に関する基礎教育が最も重要です。ウズベキスタンには独特なビジネス環境ができており、この環境の中で成功するための新しい「アイディア探し」が研修員の期待となっています。

共通する日本に対する深い興味と感謝の気持ち

このように研修に求めるものはそれぞれですが、3カ国の研修員には重要な共通点があります。これは日本に対する深い興味と感謝の気持ちです。講義で受けた質問からは、日本の経済・経営についてだけではなく、日本の地域状況、福祉制度、人口動態などについて是非知りたいということが分かります。また日本での研修に参加したことによって、研修員は各国において日本の最も誠実な友人になっています。これこそわれわれの仕事の一番重要な成果ではないでしょうか。
これからの研修に関する結論を三つにまとめますと、第一に、私の入門講義の重点を「コーポレート・ガバナンス」、「系列・企業集団」、「労資関係」などの大企業を扱う事柄から、中小企業の状況に移転します。第二に、中小企業の活動環境を説明するために関西・京都・大阪などの地域の特色の紹介をするのが望ましいです。第三に、フォローアップ活動はこれからも積極的に続けたいです。そのためには何が必要なのか、PREX の方々及び研修員の方々の相談の上で決めていきたいと思います。

福井県立大学のアンドレイ・ベロフ教授には、2007 年よりPREX の研修での講師をお願いしています。ロシア人であるベロフ教授から、日本の経済と企業経営についてロシア語で研修員に講義してもらうことで、日本への理解の壁を低くしてもらえるとともに、初めて来日した研修員の様々な疑問にもダイレクトに説明をしてもらえることも、ベロフ教授の講義が毎回好評である理由です。
これまでは来日時の講師という立場で研修に関わってもらっていましたが、このたびの同窓会フォローアップにはPREX アドバイザー講師という立で参加してもらい、各国で講義をしていただきました。
また、帰国研修員の企業訪問や報告会にも同行していただき、研修成果の確認と今後の研修の充実にもアドバイスをいただきました。