ミャンマー再訪/滋賀大学特任教授 小田野純丸 氏(2013年3月)
滋賀大学
特任教授
小田野 純丸

ミャンマーのマーケット。活気に満ち溢れていました。

ミャンマー再訪

1月下旬にミャンマー、ヤンゴン市を訪問する機会を得ました。現地商工会議所連合会での講演と、いくつかの現地企業を訪ねることが目的でした。ヤンゴンには8年前にPREX企画による研修事業で訪ねたことがあり、この期間にどのような変化が生まれているのかを観察し、東アジアの最後のフロンティアの現状をつぶさに見る絶好の機会と考えていました。

8年前には、現地事務所を抱えている日系企業関係者は、いつ経済封鎖が解除されるかを待ちつつ、その当時の細い限られたパイプをいかに持続させていくかに腐心していました。当時の政治体制が大きく変わるとはだれも予想していなかったと思います。現地商工会議所連合会の人たちとの会話も、政治テーマを極力避けつつ、半ば諦めと思われる雰囲気の中で厳しいビジネス環境を語っていたことを覚えています。安い人件費であっても、押し寄せる中国製品には太刀打ちできないという話も聞かされました。当時は、ビジネス活動に必要な様々な制度そのものが未整備であったためでした。

急速に変わりつつあるミャンマー

今回は、ヤンゴン空港到着直後から、ミャンマーは急速に変わっているという印象を受けました。綺麗に整備された空港は、欧米や日中韓からの多くの観光客でごった返していました。空港から市内までの30~40分の間に、車が渋滞する交差点がいくつか観察されました。車社会はすでに始まっていることが想像できます。自由化、開放化という政治的決断で、経済活動に大きな弾みがつき、まず商業活動が勢いを増すことになったと考えられます。大型商業施設が造られ、外食産業も華やかになってきたという印象を受けました。ヤンゴン市内のホテルは外国人観光客やビジネス関係者で溢れかえっていることは事前に教えられていました。実際にも、ホテル内のレストランの混み具合を経験して、中高級ホテルに限らずどこも予約が難しくなっているという出国前の説明が思い起こされました。

企業訪問、工場見学を通じて、急速に変わりつつあるミャンマーを実感しました。輸出競争力や品質向上に向けた取り組みの中に、ビジネス関係者の意気込みは間違いなく8年前とは雲泥の差があると実感させられました。『現地企業』の工場現場を見ると、3S活動が導入され、綺麗に整備された生産環境の中で輸出市場開拓などのテーマが真剣に議論されていました。工場の生産性の改善のために、日本の経験や方式が大いに役立っているという説明を受け、特に現地中小企業にとって日本の貢献の余地は殊のほか大きなものがあると直感しました。

日本企業はNATO No Action, Talk Only

講演の質疑の中で、日本の企業を総称してNATOという評価があるという指摘を受けました。「No Action, Talk Only」ということです。要するに、日本からのミッションは多く、投資活動に関わる打診は多数あるものの、実際の進出になると、中国や韓国企業に比べると鈍牛過ぎるという批判のようです。その批判に対しては、リスク評価に慎重である一方で、決定後の投資行動は加速化するという説明をしたのですが、大きく動き始めているミャンマー経済の関係者からは「日本企業よ、どうか乗り遅れないでくれ」というメッセージが発せられているように思われました。豊富な資源賦存を足掛かりに、先行するベトナムやタイを追いかける構図が想像されるだけに、ミャンマーの発展の可能性は大いに期待できると教えられた今回の訪問となりました。最後のフロンティアがこれからどのように変貌していくのか、注目をしていきたいと考えています。PREXには、長期的にミャンマー事案に取り組んで欲しいという期待をしているところです。